表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ

お伽噺の中の存在であった蒼い月が、初めて人間の子供たちにオルゴールを送った。その中に、一人だけ蒼い月が『ココロ』の底から親しみを持ち、自らの手でオルゴールを作り渡した。



それは、世界にただ一つしかない蒼い月のオルゴール。その特別な()を聞きたいと世界中の人たちが、その少年の許に訪れる。



その少年は毎日訪れる人たちの心が醜く、自分の事を珍しそうに見てくる目に疲れ果ててしまった。



それを見ていた蒼い月は、『少年を助けたい』と思った。



ーー『ココロ』を持たない蒼い月は、自分の中に芽生える『何か』の意味を問い続ける。そんな蒼い月の背中を黄色い月は寂しさを隠して、後押しをする。



斯くして、蒼い月は弟である黄色い月に仕事を任せ、人間に姿を変えて少年の許に向かう。



それは、蒼い月が初めて『ココロ』から思った感情。自分が持った事のない、この感情の意味を知るために旅に出る。



蒼い月は人間に何を思い、付き合っていくのか。それを知っているのは世界を造った創造神だけ。



そして、黄色い月は何を思い、兄の蒼い月を送り出したのか。



さて、物語を語りましょうか。



「蒼い月はずっと、夜にしか存在していられなかった。


何故なら、自分が月だったから。それでも、人間たちを見ていた。


毎日、人間たちが起きてから寝るまで、観察しては思っていた。


どうして、人間は楽しそうにしているんだろう。


人間になれば、楽しくなるの?


考えた末に、思いだった。


――そうだ、自分が降りればいいんだ――


蒼い月は人間になる術を探し求めた。


そして、ようやく知った。


ある夜、蒼い月は人間の姿に変えて降りてきた。


彼の名前を蒼月と云う。


その容姿は白髪に蒼い瞳の青年だった。


そして、彼は旅に出て行く。


これは、長きに渡る旅の始まりに過ぎない。


まずは、いつだったか、少年にあげたオルゴールから辿っていこう。


きっと、少年は元気でいるだろうと思い、会いに行くことにした。


何も持たずに、その足で少年の噂を求める。


――彼は、色んな場所を渡り歩くーー


それは、時間すらも超越するほどに。


誰も彼の素性を知らず、昔からの知り合いのように接する。


彼が、何世紀も昔からいる事を知らない。


皆が懐かしいと思うのは、彼が蒼い月として夜に君臨していたからだろう。


今は、彼の弟である黄色い月が夜を暖かく見守っているから。


だから、彼は気兼ねなく旅を続けていられる。


彼の知っている物語は、童話という形で語られている。


しかし、語られる物語はどれも年代がバラバラである。


彼は何を想って、旅を続けては物語を語っているんだろう。


誰もその理由を知らない」



さて、これはまだ物語の序章に過ぎないよ。次から、話が始まるからさ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ