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< 幕間 コーネリアとスレーン >

 話を雅則たちがワリキュールに来た頃に戻す。

 雅則は、リサとイビルを連れてワリキュール王国にやってきた。リサとイビルは人間体に変異出来る魔族で、見た目は人族と区別がつかない。そして冒険者協会で冒険者登録をして翌日、街の観光を楽しんだ。

 その後、冒険者協会で冒険者登録をしてくれたソリアに声をかけられた。

「馬車で街を観光案内してもらってきた」

 雅則がそう話すと

「そうですか。意外に広いでしょう」

「のどかで平和って感じだね、この街は。冒険者など必要ないような印象だ」

「この辺りは、大きな山からは離れているし、でも街の周りには魔物が居ます。協会は魔物狩り以外に街のいろんな困りごとも扱っています。それに街を広げるのに、元の霊地とかも開拓してきたので、ミステリーエリアはけっこうあるんです。そういうところに行って命を落とす冒険者もいます」

 ソリアが嬉しそうに話してくれる。

「これなんか、地主さんから依頼を受けているんですけど、引き受けてくれる冒険者がなかなか居なくて・・」

 ソリアが依頼書を見せてくれた。見せられても雅則は文字は読めない。

「街の北側で牧場を経営している主なんですけど、わざわざ作った貯水池の近くにオーグが棲みついて困っているらしいんです。そのオーグを退治して欲しいそうですけど、手ごわくて命を落とした冒険者も居て・・オーグを退治してくれれば、多額の報酬と別荘の権利書をくれるそうです」

「オーグなら倒せるかな。引き受けていい?」

 雅則が即答すると

「強いそうですよ」

とソリアが念を押すように言った。

「倒したことがある。エランデルで」

「そうなんですか」

 ソリアはいとも簡単に引き受ける雅則に驚いた顔をして

「じゃあ、牧場に案内しますけど」

 雅則たちはソリアにスミス牧場に案内してもらった。


 牧場に着くと

「スミスさん、冒険者を連れてきました」

とソリアが牧場主のスミスに駆け寄っていった。

 スミスは雅則とリサ、イビルを見て心配そうな顔をした。

「凶暴ですよ、やつらは。今までにも何人もの冒険者が犠牲になっています」

「オーグは倒したことがあります」

 雅則が言うと

「エランデルから来た冒険者のようです」

とソリアがスミスに自信を持って言った。

「オーグを退治してくれるなら歓迎します」

「オーグは何匹くらいいます?」

「けっこういますよ。10匹くらい」

「なら、早速、退治しましょう」

 雅則たちはスミスに貯水池近くまで連れて行ってもらった。

「貯水池の対岸の山にやつらは棲んでいます」

「では早速退治してきます」

 雅則とリサ、イビルは貯水池に向かった。

「イビル、火炎魔法で山を火事にするなよ」

 雅則はイビルが火炎魔法を使えるので注意を促した。

「山ごと丸焼きにすれば簡単なのに」

「そう言うだろうと思った。オーグだけ倒せ」

「面倒くさいなぁ」

「そういうところは俺に似ているけど」

 雅則たちは短時間でオーグを退治した。


 ◇


 牧場付近に現れたオーグを退治した雅則は、牧場のオーナーのスミスから多額の報奨金と別荘の権利書をもらえることになった。住むところがあれば暮らしやすくなる。

「街に近いところはありませんか?」

「ありますが・・お勧めしません」

「どうしてですか?」

「霊が住みついてしまって・・近くに墓地がありまして、どうもそこの霊に別荘がきにいられたようで、私も建てたはいいが、数日で住むのをあきらめました」

「では、そこをもらえますか?」

「ほんとうに霊が出ますよ」

「オーグより怖くないでしょう」

 雅則たちは早速、宿から館に移った。

 確かに大きい。庭も公園がつくれそうなくらい広かった。

「霊が出るって本当でしょうか?」

 リサが思い出したように聞いた。

「リサは霊が怖い?」

「そんなことはありません。霊が何かは知りませんけど」

「こっちの世界にはお化けはいないのか。それともリサたち魔族は、そういうものには縁がないのか。そもそもお化けのたぐいは人間が作り出したものだろうから」

 リサとイビルはシームア領に棲む魔族のダマリンの配下で、人間体に変異出来るミーア族という魔族だ。故あって雅則がエランデル国からワリキュール王国に来る時に連れて来た。

「私は、夜はお酒を飲んで寝ちゃうから」

とイビルが意外なことを口にした。

「イビルはお酒を飲むのか?」

「このワリキュールに来て覚えたの。他の冒険者に誘われて。酔うと気分がよくなって・・」

 イビルは嬉しそうに話した。


 ◇


 そして夜中に目を覚ますと部屋の中の椅子に女が座っている。年齢的に女子中学生くらいか。若く見える。可愛い。白いドレスを着て、幽霊と言われれば信じていいような雰囲気だ。

「早速出たか。名前聞いていい?」

「コーネリア」

「名前はあるんだ。霊なのか?」

「霊は知りません」

 薄幸な美少女という雰囲気。霊でなければ何なんだ。

「じゃあ、コーネリアは何?」

「セキュバスです」

「セキュバス?」

「ここは、もともと私たちが棲んでいたところです。人族が街を大きくするのに私たちの土地を奪ったんです」

「そういうの多いよね、人間は。・・で、他に家族とか仲間は?」

「父も母も他の仲間も魔術師マジシャンに殺されました」

魔術師マジシャンに?」」

「スラーレン法国から来たらしいです」

「そう。・・一緒に住む?」

「え?」

「俺達もここをねぐらにしたい。街に近いほうがいいから」

「私もここを出たら、住むところがありません」

「足はあるよね。なら一緒に住まないか?」

 雅則の提案にコーネリアは信じられない顔をして

「私を追い出さないのですか?」

と聞いた。

「行くところがないんだろう? 空いている部屋を使っていいから。それとも一緒に寝る?」

「変わった人族」

 雅則はセキュバスにも変に思われた。

「俺は異世界の者だから」


 ◇


 そして雅則は冒険者協会に行くと冒険者のスレーンから声をかけられた。

「セキュバスに会いたい? 店を知っている。男を楽しませてくれる店。行ってみたくない?」

「街にあるのか?」

「もちろん。・・実は仕事にあぶれちゃって、遊ぶ金がないんだ。案内するから連れていってくれないか? 料金はそんなに高くないから。ああ、俺はスレーン。よろしく」

 その夜、雅則はコーネリアをリサとイビルに預けて、スレーンと待ち合わせをして、セキュバスの店に案内してもらった。


 その店『ココア』は路地裏の目立たないところにあった。

 中に入るとドレスを着た女性たちが出迎えてくれた。ほんとうに異世界なのか?・・と思った。

 大学に入ってから何がきっかけだったか、スナックに誘われたことがあった。

「友達を連れて来た」

「あら、いらっしゃい」

 スレーンに友達にされた。

「新人さんは精気たっぷり。いただいちゃうわよ。これで長生き出来るわ」

「え?」

「人族はカクテル。私たちは人族の精気。楽しみましょう」

「悠介なら喜んで彼女たちの相手になるかもしれないけど、嫌いじゃないけど経験してないからな」

 雅則はソファに座らせられて、隣に座った女、セキュバスに精気を吸われた。

「セキュバスって、どんな力があるの?」

 雅則は聞いてみた。

「あまりないわ。悪魔の中でも弱い方。人族と共存を望んでいるの」

「そうなんだ。可愛い悪魔ってところか?」

「いい表現だわ。私はアリスって言うの。仲良くしたいわ。吸わせて」

 アリスは雅則の匂いを嗅ぐように顔を近づけてきた。これが吸血鬼なら、襟首に噛みつかれるところだ。

「いくら吸っても吸いきれない。普通の人族じゃないわね」

 セキュバスたちも雅則が普通の人族と違うのを感じた。

「吸うとどうなる?」

「ライフ、生命力が高まるわ。長生きの効果も得られるし。吸われた人族には影響ないから」

「なら遠慮なく吸って」

「ありがとう。カクテル、サービスしちゃう」

「いや、アルコールは強くないから」

 そこに

「手入れよ!」

と声がした。

 アリスは青ざめた顔をした。

 侵入してきた女が

「お客さん、すぐ出て行って」

と雅則に言った。

 スレーンは早くも逃げ出していた。

「彼女たちはセキュバスなのよ」

「知っている。セキュバスをどうするつもりだ」

「殺すのよ」

「いきなり入ってきて、ぶっそうな話だ」

「まさか、あなたも悪魔?」

「どうかな」

 女は魔法陣を作り出した。

 雅則はコーネリアの言葉を思い出し

「スラーレンの魔術師マジシャン?」

 雅則が確認するように言うと、女は雅則に電撃ライトニングを放った。

 雅則はそれをてのひらで跳ね返すと女に跳ね返って女は倒れた。雅則の防御魔法、魔法反射マジックリフェクトが発動した。

「私たちのために・・どうして?」

 アリスは雅則が味方をしてくれることに驚いていた。

「何故だか助けたくなった。彼女らはスラーレンの魔術師か」

「ええ」

 スラーレンンの魔術師が、なぜセキュバスを襲っているのかはわからないが、雅則はセキュバスを助けたいと思った。

「なぜセキュバスの味方をする」

「さあな、なぜかお前たちを倒したくなった」

 雅則は時間をコントロールし、彼女たちスラーレンの魔術師のこめかみに指を当てると脳を破壊した。すると魔術師たちは次々と倒れていった。

「助けてくれたのは感謝するけど、あなたは・・」

 アリスも雅則が味方をしてくれるのを不思議に思った。

「そうだな。・・魔王ハーロックだ」

 雅則は、そう名乗った。

「きみより若いセキュバスからスラーレンの魔術師から狙われていると聞いて、つい彼女たちを倒したくなった」

「若いセキュバスって、もしかしてコーネリア?」

「知っているのか? 彼女は俺が守ることにした」

「感謝します。・・騒ぎが広まらないうちに立ち去ってください」

「きみたちは?」

「逃げ場所がありますから」

 雅則は館に戻った。

































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