表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

1-8.コーネリアを守れ

 スラーレン法国に戻ったリンメイは、自分の居場所が無いことに改めて気づいた。

 両親は亡くなり、リンメイの身を気遣ってくれたシルビアやマクレスも、ただリンメイの力を利用していただけで、ワリキュール王国をわが物にしようとして雅則ハーロックに倒された。


 リンメイはアレイン家のオルコックを訪ねた。

 オルコックはスラーレン王家の御三家の一つで、次兄のオルコックは長兄が亡くなった後、国王になる予定だった。しかし大神官のアスターにより、長兄エクレール家の長女、プロティナが女王として玉座に就いた。そのためオルコックは国王になれなかった。

 オルコックは温厚な性格で、リンメイも幼い頃から世話になっていた。

「リンメイか。元気だったか。ワリキュール王国に行ったと聞いていたが」

「はい。シルビア様もマクレス様も亡くなり、ワリキュール王国とエランデル国のほうに行っていました」

 リンメイは自分の今までのことをオルコックに話した。

「苦労してきたのだな」

「たいしたことは・・それにワリキュール王国は変わりつつあります。馬車に代わるSLなる乗り物が走りはじめ、街には油に代わる電気というものの明かりが灯りはじめました」

「そうなんだ。私もスラーレンを出たことが無いから、他の国のことは皆目わからない」

「・・・」

「リンメイがスラーレン法国を離れている間に、マルケドーラ帝国が進攻してきた」

「え?」

「だが魔王が現れてスラーレン法国は帝国から守られた。その代わり、プロティナが女王の座を下され、今は魔王が国王として玉座に座っている」

「本当ですか。その魔王とは・・」

「ヒュンケルというらしい。もう一人、ハーロックという魔王と2人でスラーレン法国を守ってくれた」

「ハーロックが・・」

 ハーロックというのは、ワリキュール宮殿でシルビアを倒した、あの男なのだろうか。

「で、これからどうする? 私のもとで力になってもらってもいいが」

 オルコックがリンメイを気遣ってくれた。

 リンメイはオルコックが信頼できる人物だと思っているが、またスラーレン王家に仕えることになるのを懸念に思うようになった。

「ありがたい話ですが、いろいろ考えるところがあるので、すぐおいとまします」

「そうか」


 ◇


 プロティナが宮殿の第3の塔に居ることを知ったリンメイは宮殿に忍び込んだ。

 国王であった父の後を継いで女王になったプロティナは、スラーレン御三家のエクレール家の長女ではあるが、妹のシルビアや弟のマクレスを失い、リンメイ同様、今は天涯孤独の身になっていた。

 マルケドーラ帝国がスラーレン法国に進攻してきたとき、帝国をハーロックとヒュンケルが潰し、プロティナは雅則ハーロックに玉座から下ろされ、ヒュンケルの臣下にされた。

 それを知ったリンメイは

「変わったのはワリキュールだけではなかった。スラーレンも変わっていた」

と思った。


 リンメイが第3の塔に潜入すると

「リンメイ。戻ったの?」

とプロティナに言われた。

「ワリキュールやエランデルに行ってました」

「そう。・・ハーロックの動向はつかめた?」

「いえ・・」

「どこかで魔王風を吹かせていると思っているのに」

「ワリキュール王国は変わりつつあります。油に代わる明かりが灯りはじめ、SLなる馬車に替わる乗り物が動き始めました」

 リンメイはプロティナにワリキュール王国の今を伝えた。

「ふうん。興味はあるわね。・・でも私の今一番の思いはハーロックへの復讐。何か手はないかしら」

「・・・」

 あの穏健なプロティナが雅則ハーロックに怒っている。

 プロティナの心の中はハーロックに対する怒りで燃え滾っていた。

「ハーロックが市中に紛れているのは本当なの?」

「はい。普段は姿を見せません」

「たしかハーロックにはコーネリアとかいうセキュバスの小娘が居ると言ってたわよね」

「・・はい」

「連れてきて」

「え?」

「彼女をどうこうするつもりはないわ。私は争いも血を見るのもいや。・・彼女を私の手元におけば、ハーロックも手出しは出来ないでしょう」

「・・わかりました」

 リンメイは王宮を出た。

「プロティナ様は性格も変わってしまったのかしら」


 ◇


 リンメイはまたワリキュールに向かった。

 気がかりなこと。それはコーネリアの身だった。

 ハーロックに恨みを抱いているプロティナが、何かを企んでいるように思えてきた。


 ワリキュールに行ったリンメイは雅則たちが住む館を監視した。

 コーネリアがリサと美緒の3人で馬車で館を出て行った。牧場に向かっていた。

 牧場にはチーズ工場とバター工場も出来ていた。コーネリアはチーズやバターつくりを手伝っているようだった。

 ただ、リンメイはチーズもバターも知らなかった。


 コーネリアがバター工場からチーズ工場に戻ろうと外に出た時、何者かが現れた。

「誰?」

 チーズ工場から出てきた美緒が急いでコーネリアに駆け寄った。

 現れた者は美緒に魔法攻撃をかけようと魔法陣を手元に出した。

魔術師マジシャンね」

 美緒は魔法攻撃を防御魔法で防いだ。

「ひとりじゃないわね」

 上からも攻撃を仕掛けてきた。

「セイントソード」

 美緒は聖剣を呼び出すと、魔法攻撃を跳ね返した。


 リサも追うように出てきて、襲ってきた者にかかっていった。が、魔法で跳ね返された。

「リサ」

 魔術師たちが数体現れて襲い掛かってきた。美緒はコーネリアを守るために駆け寄った。すると魔術師の攻撃魔法が美緒の体に当たった。

「やってくれるわね。ソードスラッシュ」

 美緒は魔術師に光を飛ばした。巧みによける魔術師。

 そこにリンメイが駆けつけ、魔術師たちに襲い掛かった。

 魔術師たちは形成が不利になると去るように消えた。


 リンメイは美緒に

「なぜ、あなたがここに・・」

と聞かれ

「彼女たちはスラーレンのシャドーコープスという組織。コーネリアを狙ってきたの」

と話した。

 リンメイはプロティナが新たなシャドーコープスにコーネリアを誘拐してくるように命じた情報を得ていた。

「どうしてスラーレンの・・組織がコーネリアを? コーネリアがセキュバスだから?」

「今は違う。プロティナの命令で動いているだけ。・・私のせいで・・」

 リンメイは美緒にそう言うと姿を消した。


 ◇


 シヤドーコープスの女たちは雅則たちの館にも目をつけた。それを知ったリンメイが彼女たちを倒そうと動いた。

「プロティナからセキュバスを殺せと命じられたの?」

「連れて来るように言われたけど、面倒だから抵抗されたから殺めたと報告するつもりよ」

「許せない」

「リンメイ。プロティナ様に逆らうって何を考えているの?」

「プロティナ様は変わってしまった。優しい心を失ってしまったようだわ。あなたたちもスラーレンに帰って」

「私たちの力を甘く見ないで」

 リンメイと魔術師の女たちは屋根の上を飛び回りながら戦った。レベル80のリンメイも苦戦するほど、彼女たちの力も強い。しかも相手は複数だ。


 リンメイは落とされた。やられるのは時間の問題だった。

 そこに雅則がやってきてリンメイに駆け寄った。リンメイは

「大丈夫か?」

と抱きかかえられ、思わず

「どうして・・」

と雅則に聞いた。雅則に助けられる立場ではない。

「コーネリアを守ってくれたお礼だ」

 雅則に言われて

「彼女らはスラーレンの魔術師マジシャン、シャドーコープス」

と雅則に言った。

「ああ、聞いた。しかしどうしてリンメイも襲われている」

「プロティナの意に従わないから」

「詳しく聞きたいが、そんな状況じゃないな」

「コーネリアが狙われたのは私のせい」

「え?」

「魔王の傍にコーネリアが居ることをプロティナに話してしまったため。・・だからコーネリアを守りたかった。彼女たちはコーネリアをプロティナの元に連れて行く気はありません。葬るつもりです」

「そうか・・リンメイの代わりに俺があいつらを倒す」

 魔術師が

「一緒に片付けてやる」

と雅則にマジックアローを放ってきた。

 雅則が素手でそれを跳ね返そうとし、結界魔法が発動され雅則とリンメイを防御した。

「レベルは少なくともリンメイくらいはあるということか」

 魔術師たちが雅則に襲い掛かってきた。

 だが彼女たちはバタバタと倒れていった。唖然とするリンメイ。

 リンメイは雅則の時間をコントロール出来る力と相手の脳を破壊する『Destroy』という能力を知らない。

「目立たないように、店の中に隠すか」

 雅則は倒した魔術師たちを誰も使用していない、元セキュバスが開いていた店に移した。

 そして

「俺は治癒魔法ヒーリングマジックをまだ使ったことがない」

と雅則に言われた。

「助けてくれただけで・・礼を言います」

「経緯を説明してくれ」

 リンメイはプロティナが雅則に憎しみを抱いてコーネリアを誘拐してくるように言われたが、拒否したのでシャドーコープスに狙われたと雅則に言った。

「プロティナを生かしておいたのがまずかったか。いずれ始末に行くようだな」


 リンメイは雅則に教会に連れていかれた。

「ナターシャ、リンメイを治癒してくれないか」

 雅則がナターシャに頼んでいた。

 リンメイはナターシャが結界魔法士あることは知っているが、なぜ教会に居るのかは理解していない。

 ナターシャがリンメイに治癒魔法ヒーリングマジックをかけはじめた。

 リンメイはナターシャが治癒魔法も使えることを知った。

「私のような者のために・・」

 リンメイは申し訳ない気持ちだった。が、ナターシャは

「私は詳しい事情は知りません。ただ治療してくれるように言われただけだから」

とリンメイに言った。


 リンメイは傷は癒えたが治癒魔法で体力は回復出来ない。

「館に連れて行きたいがどうしよう」

 雅則が悩んでいると、イビルが現れた。

「じっとしているのは向かない性格だからさ」

「来てくれてよかった。リンメイを館に運びたい」

「わかった。リサに連絡する」

 リンメイは迎えに来たリサの馬車で館に運ばれた。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ