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第二話 『偽』

本作はフィクションです。

喧嘩、暴力、いじめなどの表現や、それに伴う精神的苦痛を含みます。

登場する人物・団体・出来事はすべて架空のものです。

2015年12月 白波第一中学校


殴り合いの後、近くの大人が止めに入った


近くの施設に入り、お互い別室に入れられた


数分後、駆けつけた先生に事情を話し、一度学校へ戻ることになった


「どうしてこういうことを起こしたの?」

「…あいつが俺のことを汚いとか風呂入ってないっていうから…」

「だからって殴ったの?」

「最初はあっちから…」


その時、ドアからいじめっ子と話し合いをしていた教師が入ってきた


「"死ね"って言われたから殴ったと本人は言ってるよ」

「言いました…でも…」

「はぁ…いい?そういう言葉は言っちゃいけないの。どっちが先とか関係ないの。そう言うことをいうからこういった喧嘩が起きちゃうの」

「…」


何を言っても、結論は最初から決まっている気がした


数分後、いじめっ子が同じ教室に入ってきた


いじめっ子が自分の前に立って


「殴ってごめんなさい」


殴って?

違う。それだけじゃない。

汚いとか風呂入ってないとか憶測だけで全て罵倒してきた事を謝れ


「彼もこう言ってるよ」


は?

だからなんだ

だがこれ以上、傷つきたくなかった

ここは自分も謝って帰ろう


「僕も良くない言葉を使ったり、殴ったりしてごめんなさい…」


もう、どうでもいい

ここに自分の味方をしてくれる人はいない

いたとしても信用ならない


帰ろう

家に帰って寝よう


そして過去の自分を殺そう

我慢するんだ

我慢して、我慢して、過去を殺す


==============================


その後も中学を卒業するまでは定期的に"いじめ"を受けた


だがあの事件以降、あいつからの"いじめ"はなかった


心を守るため、偽りの自分を生み出した


そのおかげで、友達もでき、部活では部長にもなった


これでよかったんだ

これで…


「本当にそれで良かったのか?」

「…え?」


目の前にあれだけ憎たらしい顔をした自分がいた

怒りが沸々と湧いてくる


「君の心は本来の形とは似ても似つかないものになっている。何度も壊れては修復したのだろう」

「…」

「自分を守るために偽りの自分を作りあげていけば、君は"本来の自分"に戻れなくなる」

「それのなにが悪いというのか。俺はそれを望んでいる」

「いいかい?君の物語は1ページも進んでいないんだ。今進んでいるのは偽りの物語だ。笑って、話して、評価されて。でも、それは君じゃない」

「俺の物語はもう最終回を迎えた。俺は自分を殺した」

「…僕はまた君の前に現れる。まだ間に合うと思うから」

「お前の勝手にすればいい。答えは変わらない」


==============================


2017年4月 白波学園高等学校


新しい生活がスタートした


読んでいただきありがとうございます。

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