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*前回までと比べ、変更点があります。
①今回はステータスは用いず、純粋な記述内容の論理性や的確さを成否の判定基準にするよう、依頼しました。
②試験的に、プレイヤー役もAIに担当してもらう予定です。問題があれば、途中介入するかもしれません。
外の強い陽射しとは裏腹に、病院の広い廊下はひんやりしていた。
色分けされた案内板の矢印がいくつも交差し、遠くのエレベーター群が到着音を重ねる。
中庭の緑に目をやりながら、背を伸ばしたあなたは、甲高い悲鳴に振り向いた。
声はすぐ近くの休憩室からだった。
ドアを押し開けると、看護師の田村恵子が壁際へ後ずさりしながら震えていた。
視線の先には、机に突っ伏したまま動かない事務局長・高橋和也の姿がある。
首元のシャツは肉に食い込み、恰幅のある体格をいっそう窮屈に見せていた。
顔は苦悶に歪んで、喉は異様に腫れ上がり、恐怖の瞬間を刻んだまま固まっている。
室内には、冷えた空気がまとわりつくように漂っていた。
「救急カートを!」
あなたの声に、田村は足元をもつれさせながらナースステーションへ駆け出した。
院内は瞬く間に騒然となった。
駆けつけた救急医が処置を引き継いだが、喉の腫れは呼吸を完全に塞いでおり、救命の努力も虚しく、やがて死亡が確認される。
通報から30分後、制服姿の警察官が到着し、休憩室の入口には黄色い規制テープが張られた。
職員たちは立ち入りを制限され、ざわめきながらも遠巻きに様子を見守るしかない。
現場確認と事情聴取は、事件直後の混乱の中で淡々と進められた。
第二発見者として、そして最初に救命措置を試みた医師として、簡単な質問に答えたあと、あなたは規制テープの張られた休憩室を後にし、自分の科へ戻った。
皮膚科外来には既に患者が待っており、事件の余韻を抱えたまま、診察を再開するしかなかった。
湿疹の経過を確認し、治療の説明を行い、処方箋を記す――日常の業務は、騒然とした院内の空気とは別の時間を刻んでいた。
夕方、最後の患者を見送り、カルテの記録を終えたところで、診察室のドアが静かにノックされた。
振り返ると、看護師の藤原美咲が立っている。
「先生、今日のクライオプローブの使用記録をまとめておきました」
報告を終えた美咲は、書類を机に置きながら、翌日の予約患者のカルテを開く。
「こちらは、生検の病理報告が届いていましたので、すでにカルテに綴じてあります」
病理診断名のページを開き、ピンク色の付箋を貼ってあなたに示した。
あなたは軽く頷き、その気配りに心の中で感謝する。
藤原美咲――普段は物静かで控えめ、決して目立つタイプではない。
だが必要なことを先回りして整える有能さゆえに、すでに病棟内では欠かせない存在となっていた。
ただ一つ、厄介な点を除けば。
美咲は一息ついてから、ふと声を落とした。
「……休憩室の件、先生も居合わせたんですよね?」
その瞳は、いつもの穏やかさとは違う鋭さを帯びていた。
一度疑問を持つと、納得するまで追い続ける――
彼女のそうした性格を知るあなたは、次の言葉を慎重に選ばざるを得なかった。




