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第自由語:不名誉な二つ名は『駆けまわる最凶の白兎』

◆◆◆□


「ハクト~、何とかならない~?」

「だから、俺はクエストなんか――」


 ありすからクエスト参加の申請を断りながらログハウスに入ると、見覚えのある女魔法使いがソワソワした様子で立っていた……。そして俺を見るなり――。


「きゃああああああああ! ファイヤーボーーールッ!!」

「ぎゃああああああ」


 俺は急いでありすの後ろに隠れる――。が、火魔法は発動しなかった。


 ふう……あぶなかった、あぶなかった。一安心して、ありすを見上げると拳を握っている。そうだ、この不届きものにガツンと言ってやれ――。そう思っていたのだが、現実は違った。


「あんた……、相棒の私を肉壁(にくかべ)にしようとしたでしょおおおおお」


 そう言って、俺の脳天にゲンコツを食らわすのだった。まだ朝食も食べてないのに……。


「……ありす先輩、相棒になった白兎(しろうさぎ)って。今、街で(うわさ)になってる……『()けまわる最凶(さいきょう)白兎(しろうさぎ)』だったんですか?」


 かけまわる……何だって……。ありすと目が合ったがピンと来てないようだった。


「「……はい??」」


◆◆◆◇


 ありすの後輩の話は朝食をしながら、テーブルを囲んで聞くことになった。現在、高校三年生のクレアの話によると……。


 イベントクエスト時の俺の害悪な動きと、『アロハシャツ専門店』が俺たちの来店を最後に店を閉じたままであること……。金熊都市で不滅要塞(ふめつようさい)と呼び声高い『オール・ニード・キル』の店主にブレスを使わせたなど……。


 プレイヤーたちの間では……歩く天災、(わざわい)を呼ぶ白い悪魔などと、呼ばれ……。


 (めぐ)(めぐ)って、現在は『()けまわる最凶(さいきょう)白兎(しろうさぎ)』と不名誉な二つ名で呼ばれているらしい……。


 そして、ありすの後輩のクレアもパーティメンバーには不意打ちをしたと思われ、それが原因でクビになったらしい…………。なるほど……。俺は心の中でクレアにドンマイを送った。


「って、ありす先輩! 一緒にいて大丈夫なんですか? 何か悪いこと起こったんじゃないですか?」


 おいおい……、人を疫病神(やくびょうがみ)みたいに言うなよー。ご本人、ここに居ますけど……。と、思っているとありすが口を開いた。


「あははははははは、ハクトが『()けまわる最凶(さいきょう)白兎(しろうさぎ)』ってウケるんですけど。ハクトったら『俺はすでにFIREして一生安泰だ』ってクエスト断るぐらいよ」


 ありすはそんな噂話を笑って吹き飛ばした。……ってFIREが何のことか分かってたんじゃねえか。


「それならなおさらっ! 三人でクエストクリアしましょ!」


 どうやら、ありすの変なスイッチが入ったらしい……。


「「えええええええええ」」


 この時はさすがにクレアと息が合った。

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