ヲタッキーズ161 妖精の元カレ
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第161話「妖精の元カノ」。さて、今回は妖精の結婚式で、花嫁の付添人が殺されます。で、花嫁は主人公の元カノw
結婚式の怪しいゲスト達に次々と容疑がかかる中、悪の巣窟のようなホテルの中で捜査は難航します。主人公の渋谷時代が鍵となって…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 妖精の結婚式
「ゾフィ!ゾフィ!」
昭和な特撮番組の最終回か?聖地に進出した悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"で懸命の人探しが始まる。
紫色のドレスの2人は花嫁の付添人。彼女達を従えて、大声を上げるのは花嫁の母親。そして、肝心の花嫁は…
ウェディングドレスで"ゾフィ"の部屋のドアを連打中w
「ゾフィ!私の式まであと15分よっ!」
母親が花嫁に追いつく。
「もうお終いょ!式が台無しだわ!」
「ママ、式よりゾフィの方が心配ょ。そんなコトばかり言わないで」
「昨夜あれだけシャンパンを飲んだら当分起きないカモ」
紫ドレスを着た付き添い人が嘆く。
花嫁は通りかかったメイドに頼む。
「あの!マスターキーをお持ち?ココを開けていただけます?緊急事態なの」
一目瞭然の緊急事態だ。メイドはうなずき鍵を開ける。先を争い部屋に雪崩れ込む花嫁と花嫁の母。先ずベッドルーム!
「いない!」
「しかも、昨夜寝た形跡も無いわ!ヴィネ、ドレスがあるかクローゼットを見て確認!」
「そうね」
腰に手を当てて指図スル母親。
花嫁がクローゼットを開ける。
「キャー!」
中から"ゾフィ"の死体が転がり出るw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地が良くて客の回転率は急降下。メイド長はオカンムリだw
今宵の御屋敷は…
「もっとキツく縛ってくれ!」
「ROG」
「ちょっちテリィ様?一体何を…SMショーですか?」
イスに座った僕を常連でハッカーのスピアが縄でグルグル巻きにしている。カウンターの中ではミユリさんが呆れ顔だ。
「テリィたんが執筆中のSFでスーパーヒロインが縛られルンだけど、上手く切り抜けられるかの実験中ょ」
「リアリティを出すには主人公の身になって描くのが1番だ」
「そんなコトなさらなくても、お得意の"妄想力"を使えば良いのでは?あ、SMはお嫌いでしたっけ…」
"嫌い"ではない。"大好き"ではナイだけだw
「リアリティが欲しいんだ。きつく縛ってくれ」
「それじゃテリィ様を縛って…嫌だわ。私、ヘンなコトを逝ってるカモ」
「あれ?ミユリさん達は何処へ逝くの?」
縛り終え、仕上げ?にガムテープでグルグル巻くスピア。
「ミユリ姉様の出る"冬のメイドミュージカル"のリハーサル。見学するの」
「スピアのお目当ては、配達人役の2幕で出て来るイケメン声優でしょ?」
「バレた?…テリィたん、ホントに口も塞ぐの?」
既にガムテープでミイラ男状態の僕はうなずく。
「リアリティを出すためだ。何度も語らせるな。僕は、モノホンを…」
最後まで逝う前に口にガムテープw
「じゃテリィたん、行って来るね。帰りは姉様とショッピングしてくる。そんなワケだからいいわょね?」
ハグしたついでに財布からカードを抜かれるw
「コレもテリィたんの元カノ教育の成果だから」
「全く誰に似たんだか。いってまいります、テリィ様」
「フガフガ」
口にガムテープを張られると喋れない。勉強になるなw
御屋敷の真ん中で椅子に縛られミユリさん達を見送る…
まさにその時、スマホが鳴って…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"の廊下。怪訝な顔をしてスマホを切るのは、万世橋警察署の敏腕警部ラギィだ。
「ゾフィ・ロンソ。35才。"blood type BLUE"。乙女ロードから来てる」
「結婚式のゲスト?」
「付添人みたい。妖精です」
ヲタッキーズのエアリが報告スル。
「ヘアメイクに現れないので、新婦が心配して部屋を見に行ったら、遺体がクローゼットに入ってたw」
部屋に入る。付き添い人の死体を囲む。エアリからタブレットを渡される。今回も超天才ルイナの"リモート鑑識"だ。
「死因は?」
「おそらく窒息死。気管の壊れ具合から見ると、背後から絞められたようね。喉に挫傷がある他、右のピアスが1つなくなってる。引き千切られたみたい。耳に裂傷」
「部屋中探したけど、ピアスは見つからなかったわ」
エアリが補足。被害者からスーパーヒロイン反応が出たコトから、自動的に万世橋警察署とSATOとの合同捜査となる。
南秋葉原条約機構は、アキバに開いた"リアルの裂け目"由来の脅威に対抗スル防衛組織。僕達はSATO傘下のPMC。
「ホテルの警備員に画像を配信して、館内を探してもらって。ルイナ、死亡時刻は?」
「体温から午前3時から5時の間ね…あ、大統領。今、参ります」
「ルイナ、ありがとう…先ずホテルの防犯カメラの画像と宿泊客のリスト。それから、被害者の通話記録ね」
廊下を歩きながら指示するラギィ。エアリがうなずき去る。
「ラギィ、部屋のキーカードの記録によると、朝の3時18分に入室してる」
「ありがとう、マリレ。死亡時刻と一致するわ。新郎新婦の部屋は?」
「この先の向こうの部屋ょ。グレグ&ヴィネ」
エアリと入れ替わりにヲタッキーズのマリレが登場。あ、因みにエアリもマリレもメイド服だ。ココは秋葉原だからね。
「マリレ。結婚式のゲストをバーに集めて事情を聞いて。ところで、ヲタッキーズCEOのテリィたんは?スマホしたけど出ないの」
「あら。テリィたん好みの事件なのに…結婚式と聞いて腰が引けたのかしら」
渇いた笑い声をあげる元カノ達←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、僕は足踏み式のゴミ箱にガムテープを貼付け、バネ仕掛けで口のテープを剥がす!大成功!ハハハと大笑いw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム" 633号室。
「ヴィネさん、最後にゾフィを見たのは?」
「昨夜のリハーサルディナーでは話をしなかった。遠くから来てくれたのに挨拶も出来ず仕舞いょ」
「花嫁だから忙しかったんだ。仕方ないさ」
花婿は、長身のイケメンだ。ヲタクの敵←
「私が部屋に引き上げた後、彼女と話した?」
「いいや。僕は、テディおじさんにすっかり飲まされて…部屋に戻ったのは1時頃だ。ゾフィがバーにいたかもわからない」
「お2人はご一緒の部屋では?」
ズケズケ聞き取るラギィ。仕事だからなw
「いいえ」
「式の前日は一緒に過ごすと不吉だと」
「そーですか」
花嫁と花婿は抱き合い、互いに見つめ合う。
聞くんじゃなかった、と全力後悔のラギィw
「…少しゾフィについて教えて。恋人や敵はいましたか?」
「さぁ知りません。家が遠くで、そこまで親しくなかった」
「でも、僕達はゾフィの紹介で出会った」
またまた花嫁を抱き締める花婿。ウンザリ顔のラギィ。
「そんなワケで結婚式にも呼んだの。彼女とは、婚約パーティで数年ぶりに再会したんです」
「でも、死ぬなんて。一体誰がこんなことを?」
「犯人は必ず見つけます」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ホテルのセキュリティルーム。
「従業員の身元調査結果です。どうぞ」
「協力に感謝します」
「警備の資料?」
エアリが受け取ったリストを覗き込むエアリ。
「一応リストはもらったけど、定期的に身元調査をしてるみたいだから、従業員が犯人とは思えないわ」
「防犯カメラの画像は、エレベーターだけで階段や廊下の踊り場はナイみたい」
「あ。テリィたん、こっち!どこにいたの?捜索隊を出すトコロだったわ」
現場入りしてキョロキョロしてたらメイド達に捕まる。
「別件で"縛られてた"。現場はそっち?」
「いいえ、こっち」
「ねぇテリィたん。ズボンにテープがついてるわ」
慌てて剥がす僕。
「ガムテープさ。あはは…」
怪訝な顔のエアリとマリレ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
633号室へ急ぐ。ゴミ箱にガムテをポイ捨てw
「花嫁の付き添い人か。何があったのかな。もしかして、ダサいドレスを苦にして自殺?」
「そうでもない。モーブのシフォンドレスょ」
「毛布のドレス?」
誰も訂正せズ、僕は今でも毛布のドレスだと思ってる←
「付添人のドレスってヒドいんだな」
「なぜ?」
「花嫁を引き立てるためよ」
合流したラギィが口を挟む。驚く僕w
「おい、聞いたか。ラギィでさえ自分の結婚式を妄想してる!女の憧れ、結婚式。ラギィ、好きなドレスを雑誌から切り抜いてるだろ?」
「悪いけど、1度もそんな経験ナイから」
「ウソばっかり」
ラギィを先頭に633号室へ入る。
花嫁が付添人に慰められている。
「お。アレが不幸の花嫁か?」
「YES。彼女の名前は…」
「ラッツ?」
花嫁が振り向き、僕を見て息を呑む。僕達は…見つめ合う。
「ヴィネ?」
お互いに目を見開く。訝しむラギィ。
「ラッツ?ラッツなの?」
「テリィたん、知り合い?」
「数少ない知り合いだ…妖精の」
第2章 花嫁は元カノ
ヴィネは妖精だ。今は、純白のウェディングドレスに身を包むが、その背中には遥か未来目指すための羽根があるコト…
「警察に同行してるとは雑誌で見かけたけど、まさかこんな日に、こんなトコロで会うなんて。何年ぶり?」
「そうだね。かなり前だ」
「コレって…運命的?」
露骨にウンザリ顔になるラギィ。
「ラッツ。貴方、全然昔と変わってないわ」
「君は前より輝いてる」
「今も口がうまいのね。なんだかウソみたい。私の結婚式の日に貴方が現れるなんて」
式当日の花嫁にしては意味深目つきのヴィネ。鋭く察知して好奇心丸出しで目を輝かすヲタッキーズのエアリ&マリレw
ラギィが大きく咳払いw
「ラッツ、じゃなかった、テリィたん。ルイナからょ。リモート鑑識してくれるって」
「後で聞くょ。はい、タブレット」
「え。」
僕からタブレットを手渡されポカンと口を開けるラギィ。
「そうなの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"633号室。
「ルイナ、どうしたの?」
「死体を裏返したら、ほら。背中と妖精の羽根の上部に傷があった。生前に揉み合ってついたみたいね」
「凶器はわかる?」
ルイナは秋葉原D.A.大統領補佐官を務める超天才。激務の"息抜き"にリモート鑑識として僕達を手伝ってくれる。
ゴスロリに車椅子がトレードマーク。
「ラギィ、タブレットを傷口に近づけて…そう。ソコょ。傷口が独特でしょ?検視局で詳しく調べてもらって」
「ROG」
「新郎新婦はどう?驚いてたでしょう?ぶっ飛ぶような展開だものね?」
超天才も女子だ。関心は結婚式←
「ルイナ、もう一つ驚きがあるわ。テリィたんと妖精の花嫁には歴史があった」
「ええっ!ソレはセクシャルな歴史?ミユリ姉様は知ってるの?元カノ会には登録してる?ってか、ラギィ。貴女は平気なの?」
「もちろん。どうして?」
ルイナは、僕のタブレット画像の中で首を傾げる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕は、花嫁のヴィネと廊下で立ち話。
「結婚なんて人間の生んだ悪習だと言っていた妖精の君が、なぜ結婚式を?心境の変化?」
「成長したのょ。妖精だって成長スルの」
「じゃ新郎もさぞかし立派な堅物なんだろうな」
肩をスボめスカした顔のヴィネ。昔、彼女のこーゆー顔を何度も見てきたがウェディングドレスとなると新鮮で萌えるw
「そうでもナイわ。遊びも知ってる。ヲタクじゃナイから」
「(懐かしいな君のヲタク蔑視w)…彼は幸運な男だね」
「でも、今日は世界一不幸な花婿ょ。まさか結婚式がこんなコトになるなんて」
全くだ…(純粋に花嫁を元気づけようとの思いからw)ヴィネのノースリーブの肩に(あくまでソッとw)手を置いた瞬間…
「ヴィネ!ヴィネ…あ、ココにいたのか」
「グレグ?彼は、あの国民的SF作家のテリィたんょ」
「テリィたん?ラッツだろ?元カレじゃナイか!」
今カレ、じゃなかった、花婿だっ!ヴィネの肩に置いた手を浮かせたら、何かハンドパワーみたいで花婿の目が三角にw
僕は冷静に回答w
「いや、その。えっと…いえ、まぁよろしく。え。」←
「ラッツは警察に同行してるの」
「犯人はまだホテル館内いると思うか?」
急に論理的な質問をして来る。スイッチの切替が早い。
「ソレは、犯行が無作為かそうでないかによるな」
「ラッツ。私達が呼んだゲストの中に犯人がいると思う?」
「その可能性は否定出来ない」
直ちに割って入る花婿。まぁ当然の権利だなw
「ちょっと失礼するょSFのセンセ。ゲストが集まってる」
「わかった」
「じゃねラッツ。動きが出たら教えてね」
胸の前で手をヒラヒラさせて去るヴィネ。入れ替わりにラギィが入って来て、手を振るヴィネを見て思い切り怪訝な顔w
「…ずいぶん特別な人みたいね」
「逃した魚、じゃなかった、逃した妖精さ」
「…未だ逃してナイんじゃナイの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
式のゲストの事情聴取が始まる。
場所はホテル2Fのライブラリー。
「名前と新郎新婦との関係をお願いします」エアリ。
「シーラ・ブレン。新婦の母」紫のスーツ。
「キース・マーフ。新郎の弟」胸にピンクのバラ。
「ローラ・ヒール。新婦の友人」付添人のシフォンドレス。
「テッド・マーフ。新郎の叔父」黒のスーツ。
「シワル・マイツ。前の夫が新婦の父方の親戚で再婚したら…私は若気の至りで結婚しただけ。ねぇバーは開いてないの?」
このオバさんは関係なさそうだ。エアリが尋ねる。
「犯人に心当たりは?」マリレ。
「あるワケないでしょ」新婦の母。
「いいや」新郎の弟。
「ないわ」付添人。
「いや」新郎の叔父。
「そもそもゾフィは来ない予定だったンだ。付添人も最初は断ってたらしい」新郎の弟。
「でも、途中で気が変わったらしいの」付添人。
「私は止めたのょ。だって、ゾフィは信用出来ない。なのに呼ぶからこんなコトになるの!」新婦の母。
すると、エアリ&マリレは異口同音w
「ありがとう。次の方!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ライブラリーに集められた参考人が全員ハケるw
「マリレ、コレで全員?リストをチェックした?」
「だと思うけど…」
「あら?花婿の付添人が消されてないわ…マイク・ハイツ?私は話してないわ。貴女は?」
エアリがリストをチェックして気づく。首を振るマリレ。
「テッド叔父さん!マイク・ハイツって?」
「え。いや、俺は知らないな。おーい、誰かマイクを見たか?」
「昨夜のディナーでゾフィと一緒だったわ。そのあと2人でバーに入っていったけど」
シフォンドレスのローラだ。新郎の弟は頭をヒネる。
「彼の身にも何かあったのか?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"。今度は918号室。
捜査本部用に客室を1室借り上げ、全員で遺留品を確認中w
「エアリ、昨夜から誰もマイクを見てないのね?」
「YES。部屋を見たけど、寝た形跡もないしキーカードの記録は午前2時に入室したママょラギィ」
「午前2時?犯罪の匂いプンプンだな」
僕のもっともな推理。
「ブブー。荷物も手つかずで部屋に入ったママだった」
「ホテルの警備に周りを探させましょう」
「マイクが遺体で出て来る可能性があるからな」
またまたもっともな推理だが、ラギィは別意見w
「マイクが犯人で逃走してる可能性がアル。指名手配ょ。神田リバー水上空港と地底超特急のハブステーションに彼の写真を配布して」
「…私達は、もう1度マイクとゾフィの様子についてゲストに聞いてみるわ」
「えぇお願い」
四方に散るみんなを呼び止める僕。
「ソレより自分達の目で確認しようじゃないか」
押収した数10コのスマホの1つ摘む。
「デジタル動画がドッサリだ。さ、ドレから見る?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
式前夜の乱痴気パーティの動画鑑賞だ。なかなか笑える。
「タイムコードは1940。さぁマイクのスピーチが始まるわ」
「今、後ろを向いたのがゾフィだ(美人だょw)」
動画の中でゾフィのスマホが鳴る。
「おっとマイクのスピーチ中に電話か」
「失礼ね」
スピーチはバカ受けで、爆笑が何回も起きる。
「電話の相手は誰だ?」
「あら、席を立つわ」
上目遣いでチラリと周囲を見回しコッソリ席を立つゾフィ。
「止めて!」
大騒ぎするマイクを横目に席を立つゾフィ。
ベストショットで動画は停止。素晴らしいw
「友人のスピーチ中に席を立つなんて」
「スマホの相手に会いに行ったのかしら?」
「でも、ゲストは全員そこにいるわ」
ラギィが画面を指差す。
「タイムコードによれば、着信は7時47分ね」
「えっと…ゾフィのスマホの履歴を見ると、発信はホテルのロビーだわ」
「ホテル側に聞いて。スマホの主がロビーの防犯カメラに映ってないか確認して!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「助かったわ。御協力に感謝します」
ホテルのセキュリティが打ち出した画像を見る。ロビーでスマホしてるニット帽の男のズーム画像。マリレが覗き込む。
「コイツ、知ってるわ。ボイド・ギブルょ」
「"覚醒剤"の売人ね?」
「YES。確か縄張り争いから他の売人をボコボコにして蔵前橋で数年食ってたハズょ」
突然開いた"リアルの裂け目"の影響で、アキバでは腐女子がスーパーヒロインに"覚醒"スル事例が多発している。
一方で"覚醒"を焦る腐女子を狙った"覚醒剤"も地下で売買され、服用した腐女子が廃人と化す例も後を絶たない。
ボイドは、そんな業界の売人だ。
「短気な売人ね。暴力の次は殺人?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ボイドの身柄を抑えた?連行して!」
ラギィがスマホを切り、エレベーターに乗ると未だウェディングドレス姿のヴィネ。お互いに息を飲む。気まずい空気w
「マイクが見つかったの?」
「違うわ。別件」
エレベーターの中で、お互いにチラ見し合う。
「…そのドレス、とっても素敵」
「ありがとう…ラギィょね?」
「ええ」
元カノ同士のギコチナイ会話w
「"宇宙刑事ギャバ子"の献辞を見たから知ってるわ。今も彼のSFは読んでるから」
「でも"ギャバ子"の描写は、ほとんどテリィたんの妄想なのょ」
にっこり微笑むヴィネ。
「彼をテリィって呼ぶの、なんか不思議ね。私が知っている彼はまだ駆け出しのSF作家、ラッツだった。でも、妄想かどうかはともかく、彼は大切な人にしか献辞は送らない」
ヴィネは、先にエレベーターを降りる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。パーツ通り地下のSATO司令部。売人ボイド・ギブルの取調べ。エアリは、取り調べのデスクに腰掛けている。
「俺が殺人?メイドさん、アンタは馬鹿か?」
「ホテルまで会いに来て、アンタと会った数時間後にゾフィは死んだの。何があったか話して」
「先ず和泉パークで会った。共通の友人を通して、俺の商売を知ったと言っていた」
取調べ慣れしてるのか、スラスラ語るボイド。
ボイドの正面に座っているマリレが突っ込む。
「なぜ、その後"レコル・アクシオム"に現れたの?」
「ソッチこそ何でソンなコトを知ってる?SATOが静止衛星軌道にコンピューター衛星を打ち上げてるって噂はホントなんだな…リクエストが特殊な薬だった。パークでは持ち合わせてなかったので、後で届けに行ったんだ」
「特殊な薬とは?」
「フルニトラゼパム」
エアリとマリレは顔を見合わせる。
「レイプドラッグ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"。驚くラギィ。
「ゾフィがレイプドラッグを買ってた?なぜ花嫁の付添人がそんなドラッグを買うの?」
「男が飲んだら役に立たなくなる。薬より誘えばその方が手っ取り早い(ゾフィは美人だしw)」
「あ。シーラさん」
式のゲストに愛想を振り撒いてた花嫁の母親は、満面の笑みのママ振り向くが、僕を見た瞬間、完全無欠な渋面になるw
「ラッツ。貴方は常にトラブルの中心にいるわね」
「ラギィ警部。コチラは花嫁の母のシーラだ。それはそうと、僕は三流大学の講師にも、ホームレスにもなりませんでしたょ」
「未だわからないわ」
確かにw
「その毒舌、懐かしいな。ラギィ、シーラは売れない作家は認めないンだ。さぞかし、グレグは金持ちナンだろ?」
「ラッツ。問題はお金じゃないの、人格ょ。ソレがダメな人は何もわからない。貴方はソコが問題だったの」
「え。」
瞬時に僕を絶句させたシーラは、赤いバックごと後ろ手に手を振り悠々と廊下を歩き去る。横でクスクスと笑うラギィ。
「強烈ね。ヴィネと結婚してたら、シーラは義理のお母さんでしょ?耐えられる?」
二の句が継げない僕。ラギィのスマホが鳴る。
「はい…わかった」
スマホを切る。僕を見て逝う。
「マイクが見つかったわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「誰か!助けてくれ!」
"レコル・アクシオム"27Fのパントリーのドアが連打される。駆けつけたボーイがマスターキーでドアを開けると…
「マイク・ワイツさん?」
「YES!ゾフィは何処だ?殺してやる!」
「…もう死んでますけど」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マイクは徹夜明け?二日酔い?薬明け?とにかく、衣服は乱れ、呼吸は乱れ、目は血走り…とりあえず、918号室へ。
「マイクさん、何があったの?」
「ゾフィに薬を飲まされた」
出されたコップの水を一気飲みする。
「昨夜、ゾフィと何があったか話して」
「アイツが色目を使って誘惑してきた。そして、飲み物を渡されたんだ!」
「ははー。レイプドラッグ入りね?」
ラギィに聞き返されて、慌てるマイク。
「フルニトラゼパムか?普通、女が男に使わないよな?誘えば済むのに!」
訴えるような目をして、フト自分の尻に目を落とす。明らかに、自分がレイプされたかを心配してる。ラギィが尋ねる。
「ゾフィとお付き合いはあったの?」
「いいや。セフレ以上の関係はナイ。去年、グレグ達の婚約パーティで初めて会った。確かにグラマラスで魅力的だが、その時は話もしていません」
「(あら?急にデスマス調?)貴方は、なぜ薬を飲まされたのかしら。ソレとも、ホントにレイプだったの?」
ゾッとした顔で首を振るマイク。
「さぁわかりません」
「彼女の様子は?何か変わった点は?」
「別に。ただ思い詰めてて…僕も気づくべきでした。話が上手過ぎましたょ」
心から悔いる(逆)レイプ男、マイク。
「あぁ!神田明神も照覧あれ!」
「しばらく、この部屋で休んで行けば?何か思い出したら連絡して」
「はい」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
憔悴し切ったマイクを残し、披露宴会場へ移動。
「結局ゾフィは何をしたかったのかしら」
「薬まで用意した以上、何か計画があったハズだょな」
「マイクを気絶させてパントリーで逆レイプする計画?」
普段なら僕が妄想しそうなコトをスラスラ話すスピア。
「恐らく…やっぱりわからないや」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
バンケット前でモグモグタイム中のヲタッキーズと遭遇w
「ねぇコレ、食べてみて。最高ょ!」
「美味しい!朝から何も食べてないし」
「このパンケーキ、最高だわ」
使わなくなった?披露宴の料理をつまみ食い中←
「はい、ソコまで。お仕事タイムょ!」
ヲタッキーズから皿を取り上げるラギィw
「被害者の情報ょ。出来る限り多くの情報を集めて。ゾフィが秋葉原に来てからの足取りを全部調べて。死体になって見つかるまでの足取りょ。誰に電話して何をして何を食べたか…万世橋警察署のラギィ警部ょ。銀行口座の捜査令状を取りたいの。バッジナンバーは…」
「ROG…あ、もしもし?悪いけど頼まれてくれる?」
「では15分後に…」
みんなが一斉にスマホを抜く中、 僕はコッソリ…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
誰もいないバンケット。中央に直立しているウェディングケーキ…その横から顔をのぞかせたのは、ヴィネ 花嫁ver.だ。
「もったいないから食べに来ちゃった」
ヴィネは指についたクリームを舐める。
「ラッツ、私を探しに来たの?」
「1番いそうもないトコロにね」
「披露宴会場?」
「ソレもよりによって君のね…彼は?」
フッとつまらなそうな表情を浮かべるヴィネ。
「グレグ?諸々の処理に追われてるわ。結婚しないから、これはただのケーキだわ。ただの甘いケーキょ」
あっさり入刀して僕に渡す。
「いいや。未だ君のウェディングケーキだょ。この会場で食べる限りはね」
ウェディングケーキを見上げるヴィネ。両手を広げる。
「もし予定通り進めば、私は今頃、このフロアでグレグと2人でダンスをしてるハズだった」
ヤタラと胸の深い谷間を強調したウェディングドレスだ。
「最後に会った時にも、僕達は踊ったね」
「セントラル末広町駅の時計の下だったわね」
「君が日本橋に旅立つ直前だった」
「もし、貴方が私を追ってくれれば」
「1人になりたいと去ったのは君だ」
「永遠に、とは言ってナイ」
責めるような目つきで僕を見上げるw
「ラッツは結婚、何度か経験済み?」
僕は応えない。
「…その度に毎回運命の人だと思った?」
「その時、その時点で、いつも正しい判断だと信じてた。男ってそーゆー生き物だから」
「でも、違ってた?」
僕は、両肩をスボめてみせる。
「今日のコトは、運命なのかもしれない」
「殺人が、か?」
「あ・な・たが、ょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「テリィたん!」
呼ぶ声に振り向くとラギィだ。いつからいたのだろう。ヴィネが僕の陰から顔をのぞかせて微笑む。まるで恋人気取りw
「万世橋に戻るけど、乗って行く?」
「あ。私も戻るわ。みんなが探してるから」
僕は、ウェディングケーキの皿を持ったママ、歩き去るヴィネをじっと目で追う。
その僕を見てるラギィ。視線に気づき、慌てて僕はおどけた仕草で皿を差し出す。
「ケーキは?」
「結構ょ」
エレベーターに乗りボタンを押す。
「…大学で出会って、3年付き合った」
「聞いてないけど」
「口に出して聞かないだけだ」
「妖精なのに人間味があってリアル。意外だったわ…テリィたん、ふられたの?」
僕は応えない。
第3章 その羽根が光る朝
アキバの朝。摩天楼の谷間からオレンジ色の太陽が昇る。
「妖精の背中の羽根から微量の金属が検出された」
検視局のモニターにルイナの画像。"リモート鑑識"だ。
「妖精の羽根に金属?何?ジェットスクランダー?」
「わからないけど、SATOのラボにサンプルを送ったから、明日には結果が出るわ」
「凶器を見つけたら成分を照合できる?…ってか、ソレが言いたくて誰もいない検視局に呼んだの?他には?」
いぶかるラギィ。
「貴方は?」
「何?」
「とぼけないでょ。今度のテリィたんの元カノ、妖精ナンだって?」
単刀直入に突っ込むルイナ。閣僚会議の時間が迫ってるw
「だから何?」
「ドロップキックを喰らわすわよ?毎日、元カレと仲良く働いてるくせに。貴女との濃厚セックスシーンなんて、読んでる方が赤面する位。妖精の元カノの登場に少しも嫉妬しないワケ?」
「止してょルイナ。解剖のし過ぎでおかしくなった?ソレに車椅子の貴女がどーやったらドロップキック…」
(時間のないw)ルイナが遮る。
「言っとくけどラギィ、気づいてないのは貴女だけ。周りのみんなは気がついてるわ」
「うるさいってば。じゃ私は失礼スルわ」
「こら、逃げるな!車椅子女子プロレスのチャンピオンをナメるな…」
車椅子女子プロレス?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ほうほうの体で検視局を逃げ出したラギィが捜査本部に顔を出すと、エアリ&マリレが…"永遠に鱈を"を読んでいる。
あ。初期の作品で、僕の2冊目のベストセラー。
「ラブシーンが濃厚でスゴい!妖精ってエクスタシーの時に羽根が光るのね!知らなかった」
「テリィたんは、何で知ってるのかしら」←
「はいはいはい。メイドさん達、身元調査は?」
話に割って入るラギィ。
「あ、ラギィ。やってるわ」
「ヴィネの名前に聞き覚えがあった。テリィたんの2冊目のベストセラー、冒険水産SF"永遠に鱈を"の献辞ょ。"ヴィネ。君のために海は輝く"」
「え。」
瞬間絶句のラギィを見て、肩を震わせ笑うメイド達。
「…ねぇ貴女達"フィンガー5"の話題でもソンな風に盛り上がるの?」
「"フィンガー5"か。私は、声変わりスル前のアキラ」
「タエコって再婚したのょね…」
昭和歌謡で盛り上がるヲタッキーズを後に残し、ラギィは本部の時系列ボードに"午前2時マイクのキー"と描き込む。
「問題はキーカードだわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"842号室…の前。
「マイクのキーカードだ!」
そう叫びながら僕が駆け込むと、既にラギィは、マスターキーを持った客室係を捕まえて、部屋の鍵を開けさせている。
「そうなのょテリィたん!ホテルのセキュリティによると昨夜の2時、マイクの部屋、この842号室に入った記録がアルの」
「でも、当の本人は、薬を盛られてパントリーに閉じ込められていた。いったい誰が彼の部屋に入ったンだろう」
「マイクは、パントリーで目が覚めたら、キーカードはなくなってたと言ってたわ…あ、どうも」
しばらく、鍵束をガチャガチャやってた(今どきレトロだょw)客室係が842号室を開ける。僕達は部屋に雪崩れ込む。
「この部屋はもう消毒済みなの。見たトコロ、何もなくなってナイし…」
「マイクに薬を飲ませるほど、大事な何かがココにあるハズだ」
「あら?開いてるわ」
思わズ社会の窓に視線を落としたが、ラギィは洗面台横の隣室?につながるドアを指差す…ソッとチャックを上げる僕w
「目的はこの部屋じゃないわ」
「狙いは隣の部屋の住人だ。ゾフィは隣の部屋へ入るためにマイクを狙ったのか?ココは誰の部屋だ?」
「テリィたん!」
ラギィが、ボールペンの先で何かを拾い上げる。
「行方不明だったゾフィのピアスだわ」
「ゾフィは、ココで殺されたのか?この部屋には…」
「おい!俺の部屋で何をしてる?!」
突然ドアが開き、入って来た部屋の主は…
「グレグ?ココは貴方の部屋なの?」
ラギィは、ボールペンの先のピアスを見せる。
僕の天敵…妖精の元カノの花婿は、息を呑む。
第4章 妖精D.D.の彼方
万世橋の取調室に天敵がいる。
そして、取り調べを行うのは僕。
コレは、なかなか美味しいシチュエーションだ。
「馬鹿な!冤罪だ!僕は誰も殺してない!」
「では、なぜピアスが君の部屋に落ちてたんだ!おい、白状スルなら今しかナイぞ。真実を話すんだ(あぁ気持ち良いなぁw)」
「待て。かなり酔って午前1時ごろ部屋で寝た。2時ごろ気づくと誰かワカラナイが妖精が隣にいて、僕の股間を羽根でくすぐった(アレは絶品だ!)…最初は、別室に行ったヴィネが来たのかと思った」
僕のナイスな合いの手に歌い出すグレグ。
「でも、実際はゾフィだった。そーだろ?そして、シメたとばかりに、君は誘いに乗ったンだ!」
「違う!」
「ウソをつくな!ウソは泥棒の始まりだぞ…ゾフィも妖精だし、美人だし、君は翌日から結婚に縛られる身だし!」
世界中のあらゆる正義をバックにグレグを追求スル僕←
「あり得ない!僕は、ヴィネを愛してる。いかに妖精とは言え、よりによって、あんな女と…」
「あんな女?おい、君は以前ゾフィと関係があったな?君は妖精フェチ、いわゆる"妖精DD"に違いない!どーだ、図星だろう!」
「くっ…おい!なぜSF作家がココにいるんだ?」
グレグは救いを求めてラギィの方を向く。しかし…
「質問に答えて。貴方はゾフィと関係があったの?」
「1度だ!…いや、2度だったかな。でも、ヴィネと出会う前の話で、しかも、間違いだった」
「何が間違いだ!同じ間違いを再び犯してるじゃナイか!アタマおかしいぞ。お前って学習しない生物か?!」
あくまで供述を引き出すための挑発です念のためw
「違う!僕は、ゾフィだと気づき、彼女を突き飛ばした。すると、彼女は床へ転げ落ち、その時ピアスが取れた。それから、彼女は直ぐに部屋から去って行った。あっという間の出来事で、まるでリアリティがなかった。全ては一瞬の出来事だったンだ!」
「じゃゾフィが遺体で発見された時、なぜ言わなかったの?」
「自分が疑われるからだ。警察は、およそ捜査とも呼べない愚劣な直感で身近な人間を犯人に仕立て上げて思考停止したがる!」
その通り!だが、も少し痛めつけよう。本人のタメだ←
「フン。確かに、今、聞いても幼稚園児並みにウソっぽい作り話だ。疑われて当然だろう。オンタンチン」
「もうたくさんだ!コイツを追い出してくれ!コイツは僕のフィアンセとヨリを戻したくて、あるコトないコトを言っている」
「おい!妖精殺しの容疑者は君だぞ!」
「ヲタクがいる限り質問には答えない。黙秘スル」
「そんなコトが逝えた立場か?」
ヒートアップして、自分でも止められないw
「テリィたん!…ホテルの部屋の鑑識結果が出てないか確認してきて」
ラギィの叱責。勝ち誇ったドヤ顔のグレグ。僕は…やり過ぎたのか?渋々立ち上がり、グレグを指差して、睨みつける。
で、取調室から退室スル(つまり僕の負けトホホw)。
「グレグ。もう1度詳しく話して」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部で、ラギィの取り調べが終わるのを待つ。
「ラギィ!なぜ奴を拘束しないんだ?」
「だって身柄を抑えるほどの証拠がナイでしょ?」
「あんなロマンポルノ紛いの話を警察は信じるのか?」
ラギィはウンザリ顔だw
「ねぇ逆に作り話なら、あんな展開にスルと思う?」
「プロの作家じゃないから話が下手なだけだ。決して、彼の容疑は晴れないぞ」
「テリィたん、間違えないで。今も彼が第1容疑者であるコトに変わりはナイ。まだ証拠がないだけ。ただ、私はテリィたんほど、彼の有罪を確信出来てないだけょ」
何てコトを逝うんだ、ラギィ!
「だから、僕を取調室から追い出したんだな!」
「テリィたん。捜査は私が1人でやる。テリィたんは、この事件に近づき過ぎょ」
「ヴィネが…元カノだからか?」
単刀直入に申し上げるw
「YES。でも、なぜだと思う?いつものテリィたんなら先ず花嫁を疑うハズだからょ」
「待て。ソレはあり得ない」
「でしょ?だから、今のテリィたんは、いつものテリィたんじゃナイの。いつもなら、式の前夜のコトをこう語るハズ。夜這いをかけたヴィネは、夫の部屋からゾフィが出るのを目撃。結婚前夜に浮気ナンて、どうしても許せない。彼女はゾフィの部屋に行き問い詰め、思わず手が出て殺してしまった…テリィたん、事件解決までヴィネとは距離を置いて」
ラギィは、僕に言い捨てて、歩き去る。
ホント彼女は僕のコトがわかってるな←
ミユリさんの次にねw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
僕は"永遠に鱈を"の自筆の原稿を読み返してる。自筆と逝っても当時流行りのワープロ原稿を自筆で推敲したモノだ。
「あ」
セピア色の写真が挟んである。安アパートの窓辺で頬を寄せ合う僕とヴィネ。背景は百軒店のネオン。無茶苦茶に若い。
「テリィ様。全く何をなさってるの?」
正面にミユリさん。メイド長自らの絡みだ。
「何も」
「あの妖精さんは、結婚するのでしょ?」
「ただの写真さ」
ミユリさんは、溜め息。僕のスマホが鳴る。
「ラッツ。結婚って、こんなモノ?」
「…ヴィネ?」
「付添人が死んで、フィアンセは容疑者扱い。元カレも…」
僕か?元カレも何だょ?笑
「大変だったね」
「…どこかで会えるかしら?
「(キターw)いや。やめておこう」
思わズ目の前のミユリさんを見るw
「お願い。少しで良いの。このホテルから出たい。コレ以上母親の文句を聞いてたらおかしくなるわ」
「ソレは(世界中の誰よりきっと)良くわかるよ」
僕は、ミユリさんをチラ見スル。
「いつもの…屋上はどうだ?」
「屋上ね。完璧だわ!ありがとう、ラッツ」
彼女はスマホを切る。
「テリィ様。何をしてるか分かってるんでしょうね」
「いいや。僕自身わかってないよ」
「お小遣いは?」
ありがたく"軍資金"を拝受し、お出掛けスル。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夜明け前の渋谷百軒店。あと数分で空は赤く染まるだろうが、今は闇が最も深い。
カラカラ回る古びた換気扇。飛び出した恐竜の内臓のようにのたうつ空調のダクト。
"秘密の屋上"だ。
明かり取りの窓の横にある小さな塔屋から屋上に出ると、分厚いコートにグルグル巻きのマフラーで立っているヴィネ。
「ドアが開いてるとなぜ知ってたの?」
「変わらないコトだってアルさ」
「あの年の夏。私達は、いつもココで過ごしたわね。講義が終わると待ち合わせて3割引のラピュタパンの入ったカバンとノートを持ってココに来たっけ」
"あの年"には瞬時に戻れる。
「僕は執筆。その間、君は勉強するフリをしていた」
「ほんとにしてた。フリじゃないわ」
「そっか」
僕達は微笑み合う。
「実はね。あの頃、私はラッツに触れていたかったのよ。ずっとね」
「グレグとは話したのか?」
「あの晩のコト?全部話してくれたわ。ゾフィが部屋に来たコト。ゾフィと付き合ってたコトも話してくれた。黙っていてゴメンって、涙を流して謝ってくれた」
「ソレを信じるのか?」
ヴィネは、応えズ遠くの再開発の工事現場に視線を飛ばす。
「君がこれ以上傷つくのを見たくない」
「もう遅いわ」
責めるような視線で、僕を見上げる。あぁ。この子が妖精でさえいなければ。抱きしめる。僕の胸に顔を埋めるヴィネ。
「会いたかったわ。昨日、再会してどんなに恋しかったか気がついたの」
王手飛車取りだ。ココは王様を逃すしかナイw
「僕も会いたかったよ」←
見つめ合う。苦手なキス。抱き寄せると、既に背中の羽根は淡く光り出している。防犯カメラの死角へ彼女を連れ込む…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝の捜査本部。両手に2人分のコーヒー持参。ところが…
「テリィたん!私、言ったわょね?」
「何?」
「はっきり言ったのに覚えてないの?私の考え」
ラギィの火を噴くような反応。僕はタジタジだ。
「いいや!ハッキリ覚えてる!」
「テリィたん!自分の行為がどんなに迷惑かわかってる?女の方がヤメて、と言ってるのに手を出したり口を出したり。ちっとも聞かないじゃないの!」
「いや!手は出してないよ(唇だけだw)!」
ラギィは僕を正面から見据える。
「ホント?じゃぁ何コレ?」
イスから足をブラブラさせる。
「とぼけないで!私のイスの高さを変えたでしょ」
ラギィは、イスを最低に落とす。
「そうでしたぁ!海より深く反省だ!もう2度とラギィのイスには触らない!」
うなずくラギィ。心の底から安心してデスクサイドに座り、彼女カスタマイズのソイラテを差し出す。今がチャンスだ!
「…実は昨夜、ヴィネに会った」
「知ってるわ」
「ええええええええええっ?!」
のけ反る僕の前に連続写真!"秘密の屋上"で2人(の唇w)が近づいて逝き…最後は(確かに身に覚えがアルけど)キス←
「空撮?もしかして、SATOのコンピューター衛星"シドレ"の衛星写真か?この僕に監視をつけたンだな?!」
「まさか。ヲタッキーズょ。ソレに監視対象はテリィたんじゃなくてヴィネだった」
「なぜヴィネを監視するンだ!」
我ながら愚問だw
「殺人の容疑者だから」
「違うだろ!ゾフィの殺害は突発的な犯行だ。容疑者を後から監視してもヲタッキーズの無駄遣いだ。何の意味もナイぞ!」
「そーですか!どーせ私はテリィたんがバカなコトをしないように見張ってたのよっ!悪い?」
極悪だっ!
「キスしただけじゃないか!」←
「今のトコロは、でしょ?!花婿の…」
「テリィ様…あら、お取込み?」
ミユリさん、ってかスーパーヒロインに変身しているから、ムーンライトセレナーダーなんだけど、割り込もうとして…
「後にスルわね。ラギィ、大丈夫?」
「ええ」
「いや」
2人の答えが重なる。顔を見合わせる僕とラギィw
「やっぱり私、後にしますね?」
moon walkで後退りするアキバ最強のスーパーヒロインw
「NOW!」
「…あ、そう?あのね、新郎の経済状況だけど問題ナイわ。信託財産もアルのに暮らしは質素。ルイナに聞いたら、現場からグレグの毛髪も繊維痕も出てない。ピアス以外、彼に対する物証は何も無いわ」
「…ゾフィは、金曜に悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"にチェックインしてるけど、秋葉原に来たのは木曜の朝なのょ」
頭をヒネるムーンライトセレナーダー。
「あら?木曜は何をしてたかしら」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「木曜にゾフィが何してたかって?さあね、知らない。リハーサルディナーまで見なかったし、話もしてない」新郎の弟キース
「彼女をほとんど知らないもので…」サムおじさん
「いいえ!初めてゾフィを見たのは、金曜の朝食の時ですわ」付添人のローラ
「知らない。でも、どーせロクでも無いコトょ。婚約パーティーの時、彼女は私に飛行機代を払えと言ってきたのょ?わかる?メイドさん達」新婦の母シーラ
黙って聞いているエアリ&マリレ。ミユリさんの指示で"レコル・アクシオム"のライブラリーで聞き込みを継続中だw
「で、払いましたか?」
「もちろん断ったわ。ついでに、人に頼るもんじゃないって注意してやったわ。あっはっは」
「つまり、彼女の木曜の行動は御存知ナイと?」
豪快に笑うクセに役に立たないシーラw
「YES。でも、彼女。金曜に何をしてたと思う?」
「何です?」
「ホテルのお上りさん用ブティックで買い物三昧ょ。お金がナイ素寒貧だと言いふらしてたクセに、突然パァっと使いだした。宝クジでも当たったのかしら」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通り地下のSATO司令部。エアリ&マリレから報告を聞くムーンライトセレナーダー。セパレート型のメイド服w
「姉様、ゾフィったら靴、ドレス、ホテル代、飛行機代…この週末だけで軽く30万円は使ってるわ」
「口座には1800円しか残ってなくて、カードも限度額まで使ってる…あ、レイプドラック代2万円もオンしなきゃ?間違いなく現金払いだし」
腕組みして頭をヒネるムーンライトセレナーダー。
「付添人のドレス代はもっと高いわ。私も34回やったからワカルけど」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
オレンジ色の日が昇り、秋葉原マンハッタンが目覚める。
「…そう?ありがとう。姉様!ゾフィは今回飛行機代だけでなく、3回分の家賃も現金払いで済ませてます」
「まぁ。お金の出所は?」
「相変わらず不明ょ」
僕は、ミユリさんカスタマイズのコーヒーカップを差し出しながらスーパーヒロインに変身した"推し"に声をかける。
「付添人を君は87回も経験してルンだって?写真、見せてょ。ホラ、ミユリさんのTOとして知っておく義務が…」
「姉様!あら、テリィたんも来てるの?見モノょ!ドレスショップの画像ナンだけど」
「おい!驚くような内容なのか(ミユリさんの"若かった頃"のお宝画像より?)?」
エアリは意に介さない。あ、彼女も妖精だ。その背中には…
「保証スルわ。姉様!想像を超える内容です。はい、ゾフィが入って来る…」
SATO司令部のモニターに何処かのドレスルームの様子が映る。ゾフィが胸の谷間も露わな服を脱ぎながら入ってくる。
部屋で待っているのは…あれ?サムおじさんだw
「叔父のテディだわ」
「彼はゾフィを良く知らないとか言ってたわね」
「真っ赤なウソだ!だって、ゾフィは"脱いでる"」
のけぞる僕達。エアリの報告は続く。
「付添人のドレス代はテディが払ってました。その時、ゾフィは"やれるかしら?"と言ってたそうです。ソレに対してテディは"もう後戻りは出来ない"と答えたそうです」
「姉様、付添人ってそんなに悩むモノなの?姉様は、142回も付添人を…」
「黙って、マリレ。ドレス代もテディおじさんが現金で?」
うなずくエアリ。
「YES。姉様」
「現金なら足がつかないからな」
「テリィ様。テディおじさんは、なぜソコまでしてゾフィに式に出て欲しかったのかしら」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
とりあえず、サムおじさんをSATO司令部に召喚スル。超法規組織なので、万世橋みたいに手続きが面倒臭くナイのだw
「無茶苦茶だ!僕を逮捕できないから、身内を狙うのか?」
「ごめんな。ただ、SATOは真実を追求しさえすれば、ソレで良いのさ」
「叔父はゾフィを知らないと言っただろ?」
グレグだ。テディおじさんが召喚されたと聞きSATO司令部に抗議に来たトコロを"ついでに召喚"。ザマあ見ろ←
「だが、彼女のドレス代と航空券をテディおじさんが払ってルンだ」
「ホントにテディおじさんが?」
「ホントに何も知らなかったら、そんなコトをスルかしら?」
ガックリ肩を落とすグレグ。
「ムーンライトセレナーダーまで…確かにゾフィがお金に困ってると言う噂はあった。式にも出席出来ないと言う話だった。きっとテディおじさんは、僕達のために、ソレを何とかしようとしたに違いナイ」
「あのね、グレグ。テディおじさんは、過去3ヶ月で88万円も支払ってる」
「そんなに?…実は、テディおじさん"も"妖精フェチなんだ。しかし、彼女に88万円?なぜ?」
さすがに不審に思うグレグ。トドメを刺そう!
「何らかの契約があったと考えるのが必然だ。式前夜の不可解なゾフィの行動とも関係があるハズだ」
「…マイクに薬を飲ませ、僕を誘惑スル契約か?…いいや、何かハメられてる気がスル。お前の安っぽいSF絵本みたいだ」
「絵本だと?!」
瞬時にヲタッキーズが左右から僕を羽交い締め。放せw
「(ザマーミロw)なぜ叔父が僕達の式を台無しに?」
「だから!ソレを捜査中ナンだ!ミユリさん、ヲタッキーズに放すように逝えっ!」
「叔父"も"ヴィネが好きだとでも言うのか?」
いちいち気に障る奴だっ!
「"も"って、一体どーゆー意味だ?放せ!エアリ、僕はCEOだぞ!」
「ワカルだろ?その汚れた胸に汚れた手を当てて考えてみろ」
「フザケるな!お前ら妖精フェチと一緒にスルな。今の推しはスーパーヒロインだ!」
あ、マズい。妖精のエアリの腕に力がこもるw
「僕は、ヴィネを愛してる。彼女が全てだ。お前には、たくさんいる元カノの1人だろうが。テディ叔父さんは、ずっと僕らを支えて来てくれくれたんだ。結婚許可証も婚前契約も彼に手伝ってもらったし、これまでだっていつも…」
ピタリと喋りを止める。
「何?」
「ちょっと電話してくる」
「痛いょエアリ」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。僕はSATO司令部に"蟄居"。
「おい!いつまで待たせる?…やや?女警部とスーパーヒロインだと?」
「ごめんなさいね。ランチに何を食べるか迷ってしまって」
「ジョークのつもりか?」
サムおじさんの前に、ラギィとムーンライトセレナーダーw
「サム叔父さん、この書類に見覚えはありますか?」
バサっとファイルを置くラギィ。
「勝手に私のオフィスに入ったのか?」
「令状を取りました」
「フン…アンタのような素人がグレグの財産について、何がわかる?」
ムーンライトセレナーダーはラギィに話す。
「タイヘン。ラギィ、貴女ったらバカ呼ばわりされてるわ」
「慣れっこょ。ところで、グレグは祖父母の財産を結婚式の日に受け取るはずだった。執行人はあなた。どう?」
「え。」
息を呑むサムおじさん。
「ところが、この5年間で執行人の貴方は、そのお金を使い込んでしまい、贅沢三昧の暮らしを満喫した。軽井沢の豪邸やフェラーリにね」
「豊胸手術にも使ってるのね。妖精も巨乳が好み?」
「個人的な嗜好は、捜査に関係ないだろ」
溜め息をつくラギィ。
「ソレが殺人の証拠となれば、そうはいかないの。しかも、貴方は株で大損してる」
「私だけじゃナイ。この国全体が損した」
「でも、頼りなく豊かなこの国で、グレグの信託財産を使えたのは、委託者の貴方だけょ。グレグのお金に手を出す内に2億円をホボ使い切ってしまい、その直後に彼の婚約を知って貴方はパニック。使い込みの発覚を隠すには、結婚を止めるしかない。でも、どうやって?2人は強く愛し合ってるw」
テディおじさんは沈黙w
「そんな時、貴方は婚約パーティでお金に困ってるゾフィと会った。貴方は、彼女にウェディングブレーカーの裏バイトを持ちかけ、結婚式をぶち壊そうと考えた」
「くだらない!」
「彼女のグレグに対する未練も知り、真夜中に部屋に忍び込んで誘惑しろと簡単に説得するコトが出来た。でも、貴方が期待してた動画は撮れなかった。ゾフィは、貴方の指示通りグレグを誘惑したが拒否され、彼女は部屋に戻った。ソコに貴方が待っていた」
ムーンライトセレナーダーが合いの手。
「ソコで何があったの?全てを話すと脅された?」
「ソレは困るわょね。でも、その時に結婚をヤメさせる別の作戦が浮かんだ。付添人の殺害ょ」
「一大犯罪叙事詩だ。語り方も素晴らしかったょ。しかし、所詮ソレは物語でしかない」
「そうかしら?」
満身で笑みを浮かべ、大きくうなずくサムおじさん。
「ソレがね。貴方のカバンを調べた時、見つけたモノがアルの。このタイタックょ。コレ、白金ょね。実は、ゾフィの背中の傷から白金が検出された。きっと後から首を絞めてる時に背中に傷をつけてたのね」
「だから、貴方は気づかず、唯一の証拠を処分しなかった」
僕に代わってトドメを刺すのはムーンライトセレナーダー。
「待たせてゴメンね、テディおじさん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"レコル・アクシオム"918号室。男女の音声が響く。
"ゾフィ?なんだ?」
"ねぇ良いじゃない?最後の1回ょ?"
"おい。ヤメろ"
"きっと楽しいわ。好きだったでしょ?コレ"
"うっ…よせ。どうかしてるぞ。俺は愛する「推し」と明日、結婚するんだ"
僕は、スマホの録音をSTOP。
「"推し"?私は彼の"推し"だったの?」
「今回の事件で唯一みんなの想定外だったのはグレグだ。悔しいが、アイツは良い奴だ。立派なヲタクだった(てっきり一般人だと思ってたw)」
ゆっくり微笑むヴィネ。
「そして…君を愛してる」
うなずく。
「知ってる。私も愛してるわ。だけど、コレからも時々は、ラッツのコトも考える」
「そうか。頼むよ(特に新刊の発売日にはw)」
立ち上がる。窓を開ける。
「この広い秋葉原では、何千何万もの事件や結婚式がアル。その中で貴方と再会したわ」
「会えて良かった」
頬にキス。見つめ合う。
「ありがとう、ラッツ」
窓辺から…そして、飛び立つ。背中の羽根を広げて。
「ラッツをお願いね。スーパーヒロイン!」
満月の前でイオンクラフトで飛翔するムーンライトセレナーダーに声をかけるヴィネ。僕は、2人のコトを見上げてる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日は、冬の切れ間の穏やかな晴天だ。東秋葉原の教会。
「この2人が結ばれるにあたり、異議ある者は、今すぐに申し出よ。さもなくば、永遠に沈黙を守るべし」
見つめ合う新郎新婦。全員異議ナシ。
「秋葉原D.A.の定めるトコロにより、神田明神の名において、2人が夫婦でアルと宣言します。花嫁にキスを」
花嫁が背伸びしてキスを迫るとドッと沸いて拍手が起きる。
僕達は、全員が立ち上がり、輪になって嵐のような拍手だ。
いきなり、ブーケトス。ラギィがキャッチ。ラギィは唖然とした顔して、もう僕達は大笑いだ。花嫁は花婿に抱きつく。
拍手だ。僕も、ミユリさんも。いつまでも。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「…で、妖精なのに羽根が光らないって怒るワケ。私だって毎回毎回イッてるワケじゃナイのにテリィたんって」
「ふーん男って、やっぱり羽根が光ると萌えるのかしら」
「ラギィ、甘いな。何とか羽根を光らせまいと耐えるトコロが萌え萌えナンだ」
「バカ」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"結婚式"をテーマに、主人公の元カノの妖精、同じく妖精の付添人、花嫁の母親、新郎の弟、叔父、付添人、薬の売人、殺人犯を追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公の妖精との同棲時代などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、ヲタク化する世界の縮図のような秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。