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VaD  作者: shénzú
VIVA
6/40

06.Tau




 可愛い寝息。ふわふわの髪。小さな唇。すらりと高い鼻。綺麗な爪。

 毛布同士が擦れる音。私の足音。

 私は、これ以上無い程高揚していた。

 髪を撫でると幸せそうに微笑んでいる。

 このまま、この手で君を壊してしまおうか。

 このまま、多分、世界中で私しか知らないことを、教えてしまおうか。

 汚い願望全てを君に押し付けてしまおうか。


 生まれて初めての夜這い。そして自慰。全ての初めてを共有して生きていかないか。

 この、私達二人だけの狭い世界で、永遠に生きていかないか。


 額に口付けをすると、可愛らしく唸ってから寝返りを打った。

 かわいい。かわいい。


「かわいい」

 ほんとうにかわいい。

 かわいいね。本当にかわいい。

 だいすき、だいすきだよ。


 側に立つ。

 音を立てないように。

 大きく吸い込む。

「かわいい」

 長い睫毛。

 かわいいね。

 すてきだね。

 世界で一番。

「かわいい」

 愛してる。

 筋張った指が這う。

 なんだ、そっくりだね。

「かわいい」

 愛してる。

「かわいい」

 愛してるよ。

 本当に愛してる。

「かわいい」

 好き。好き。好き。大好き。

「かわいい」

 だいすき。だいすきだよ。

「かわいい」

 あいしてる あい、あ いしてる 。

「かわいい」

 すき。

「かわいい」

「かわいい」

「かわいい」

「かわいい」



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