表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VaD  作者: shénzú
VIVA
4/40

04.Psc




 彼が私を隠す場所が、地下室から、彼の住む屋敷全ての部屋へと変わった。

 彼の話によると、今の私と昔の彼が似ているらしく「昔の私も君みたいに幼かった」と困ったように笑う彼の目尻が、どこか私のお父様に似ているな、と思った。

 お父様と違って、彼は私を叱らないけれど。

 

 彼が用意してくれる食事はどれも美味しく、昔は大嫌いだった食事の時間が、彼のおかげで、彼との会話の次に私にとってのお気に入りの時間になった。


「あの家に居る時は、ご飯をあまり食べなかったの?」

 彼のご飯に大喜びしている私を見て、彼がそう尋ねた。私は答えようとしたが、喉が遣えて声が出なかった。

「そっか、変なことを聞いてごめんね」

 彼の言葉に首を横に振ると、彼はゆっくりと数回頷いてから、自分の分のご飯を口に運んだ。


 ふと気になった。彼はどうして私をここに連れてきたのか。

「どうして私はここにいるの」

 彼にそう尋ねると、彼はグッと黙り込み、先程の私と同じように何も答えなかった。

「……変なことを聞いてごめんなさい」

 先程の彼のようにそう言うと、彼は困ったように笑い、席から立ち上がった。


「置いていかないで」

 私の言葉に彼は肩を震わせて笑った。

「安心して、私は君を置いていったりしないよ、少しお手洗いに行くだけだから、ついてこないでね」

 彼の大きな手が私の髪を撫でた。

「今度髪を切ろうか、その髪は、今の君には似合わない」

 私は彼が話し終わるより先に頷いた。

「貴方くらい、短く、切りたい」

 彼は嬉しそうに頷いてくれた。

「きっと似合うよ」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ