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テーマ詩集:あいさつ

おかえり

作者: 歌川 詩季

 また、逢いたいひととか、いますか?

 風の噂なんて あてにならない

 向きまで変わる 下手な伝言ゲーム

 これまで のこと ききたいけど

 これから のこと まず教えてほしい


 ただいま をくれたら

 おかえり はすぐだよ

 横断歩道ごしの

 くちびるのかたちで わかるんだ



 風の便りなんて とぎれとぎれ

 郵便受けは まるでためいきの箱

 あれから のこと きになるけど

 これから のこと まず話してみたい


 おかえり はここでも

 ただいま が先だよ

 ぎこちなく振る手を

 さらいあげるみたいに つなぐんだ



 ただいま のあとには

 おかえり をあげるよ

 さよなら じゃないこと

 それだけを ずっと信じてた


 ただいま をありがとう

 おかえり でかえすよ

 これから をつなげて

 いつまでも のレールをのばすんだ

 もう、逢いたくないひとのほうが、多かったらどうしよう。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  今までのことも気にはなるけど。  それよりも、これからのことを。  ただいまをおかえりで受け止めて。  これからは一緒にいられるなら。  これまでのことはいつだって聞けますものね。
[一言] 「ただいま」と「おかえり」のやり取りだけなのに、そこから幾つものドラマが透けて見えますね。とてもあたたかい作品だなと思いました。 「さよなら じゃないこと  それだけを ずっと信じてた」 …
[良い点] 風の噂 風の便り の2つの言葉が、 しばらく連絡を取れないほど遠くにいることと 連絡をくれなかったことへの責めと それほど待ち侘びていたんだよという気持ちを 表現する上での良いエッセンスに…
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