30年後。
最終話です。
ありがとうございます。
そして、30年の歳月が流れた。
この30年、春人は必ず、紅美の墓参りに
出掛けた。
「春人先生、こっちです!」
「どうしました?」
「急に、お腹の辺りが、痛くなって。」
「ちょっと、診ますね、楽にして。」
そう春人は、紅美との、約束通り、医者に
なっていた。
最初の10年は、大きな病院で勤務していたが
今は開業して、院長として患者さんを
診ている。
どんな患者さんにも、優しく、親身になって
診る為、評判が良く、病院が流行ると
困るが、他の病院に行くなら、春人の病院と
患者かんが、やって来る。
「春人先生、もう、いい年なのに、まだ
結婚しないの?」
「しませんよ。」
「私が、良い人を紹介しましょうか?」
「結婚は、しませんから、心配しなくても
いいですから、自分の身体を、心配して
下さいね。」
「はい。」
「もったいないね~男前で優しくて、医者で
いくらでも、嫁に来るのにね?」
「本当だよ!」
患者さんは、何時も噂を、している。
ただ、春人は一生、結婚しないと決めていた。
それは、決して変わる事は、無いだろう。
診察時間が、終わって外に出る春人。
空を見上げる。
春人の病院の、看板には
【くみ医院】
と、書かれていた。
「紅美、大好きだよ!」