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秘密を知る、春人。

日曜日、手に何かを下げて、春人がやって

来た。


「これ、うちの母さんから、おばさんに

持って行けって。」


「いいのに、ありがとう、はい上がって

お母さん、これ春人の、お母さんから。」


「ごめんね、春人君お母さんに、気を

使わせちゃったね。」


「いいです、いいです。」


「はい、座って。」


「はい。」


「沢山、食べてね、紅美は少ししか、食べない

から。」

テーブルには、沢山は料理が、並んでいた。

紅美の母の、紅美を思う気持ちが、溢れて

いた。


「お父さん、ご飯ですよ。」

紅美の、父がやって来た。


「いらっしゃい、春人君。」


「すみません、今日はお邪魔して。」


「いやいや、食事は多い方が、楽しいよ、

なぁ?母さん?」


「本当ですね、さぁ、食べましょう!」


「いただきます。」


「美味しい、おばさん、美味しいです、なぁ、

紅美!」


「うん、美味しい。」


「春人君、紅美は学校では、どう?」


「そうですね、家に居る時と、一緒ですよ。」


「迷惑を掛けて無い?」


「あの~実は……」


「春人、言っちゃ駄目!」

と、さえぎる、紅美。


「何?あなた春人君に、何かしてるの?」


「いや~その~」


「毎日、僕に好きって、言うんですよ!」


「ハハハハ、紅美そんなに、言ってるのか?」


「まぁ~春人~」

真っ赤な顔の紅美。

だが、紅美の父も母も、嬉しかった。


「ごちそうさまでした。」

片付けを、手伝う二人。


「いいよ、部屋に行って、話でもしなさい。」


「うん、これだけ、したらね!」


「春人君ありがとう。」


「いえ、こちらこそ。」

そして、部屋で何気ない、会話をする二人。


「春人は、大学卒業したら、何になるの?」


「俺?俺はお医者さんに、なりたいんだ!

紅美は?」


「私は、看護士。」


「じゃあ、将来同じ、病院で働けるかもな!」


「そうだね、頑張らないと!春人、好きだよ!」


「その好きパワーを、勉強に向けろよ!」


「勉強は、頑張ってますよ!春人は?」


「俺も、塾に行ったり、ほぼ勉強だな!」


「お医者さんは、難しいからね!でも何で

お医者さんに、なりたいの?」


「そうだな、やっぱり一人でも、苦しんでる

人を助けたいって、言うと、おこがましいん

だけど、役に立ちたいんだ!紅美は?」


「私は、お医者さんの、サポートをしながら

患者さんの、ケアをしている看護士さんて

凄いなって、思って、目指してるんだよ!」


「それなら、学校サボるなよ!」


「だから、家の用事だってば!」


(紅美、言わないな!)


「じゃあ、もう帰るわ、勉強、勉強。」


「うん、頑張って!」


「おじさん、おばさん、ご馳走様でした。」


「あら?もう帰るの?」


「はい、勉強が有るんで。」


「そうか、頑張れよ!」


「はい。」


「又、何時でも遊びに来てね。」


「はい。」

外で見送る、紅美。


「じゃあな!」


「じゃあね、春人、大好きだよ!」


「もう、コケるだろう!」

手を振って、分かれる二人。


そんな、ある日の事

買い物帰りの、紅美の母と、春人はバッタリ

会った。


「あっ、おばさん、この前はご馳走様でした。」


「い~え、今日は一人?」


「はい、紅美を送って、用事が合ったんで。」


「あら、そうなの?」


「あの、おばさん、一つ聞きたい事が、有るん

ですけど……」


「何?どうしたの?」


「何時も紅美が、居るんで聞けなかったん

ですけど。」


「何?」


「僕、紅美が学校を休んで、病院に行くのを

見たんです、どこか悪いんですか?そうじゃ

無かったら、嘘を付いてまで、病院に行かない

でしょう?」

紅美の母、良子は顔から、血の気が引いて

行くのが分かった。

それを、見ていた春人も、何か有る事を

確信した。


「教えて下さい、おばさん!」


「春人君、それは紅美の口から、聞いた方が

………」


「聞いても、絶対に教えてくれません!だから

嘘を付いて、病院に行ってるんですよ!」

重い空気が、流れる。

紅美の母、良子は思った。


(何時かは、言わなくちゃいけ無い事、紅美

ごめんね、春人君に言うね。)


「驚かないで、聞いてね、高校2年生の最後に

白血病って、診断されたの、だから定期的に

病院に通ってるの。」


「それで、この先、紅美はどうなるんですか!」


「骨髄移植が出来れば、まだ先が見えるん

だけど、ドナーが見付からなくて、何時まで

生きていられるのか、おばさんにも、本人

にも、誰にも分からないの、本当は入院

しないと、いけないんだけど、どうしても

紅美が、みんなと同じ生活が、したいって

言って、無理を言って今、学校に行ってるの。」


「うそだーうそだー。」

泣き叫ぶ春人。


「だから、紅美が春人君に、毎日、何回も

好きって言うのは、自分が生きてる間に

沢山、言っておきたいから、なんだと思うよ。」


「紅美ー」


「紅美も、言えなくて、辛かったと思うよ、

かばう訳じゃ無いけど、病気を知ったら

春人君が、居なくなるんじゃ無いかと思って

恐かったと思うよ。」


「………」


「春人君、春人君が決める事だから、よく

考えて答えを出して、紅美は私達が守るから!」


「………」

良子は、いたたまれず、その場を去った。

動けない春人。

何時間、座っていたのだろうか、辺りは

薄暗くなっていた。

家に帰った春人。


「春人、遅かったね、あんた、どうしたの?

その顔!」

そう、泣き崩れて、目が腫れ上がっていた。


「何かで冷やす?」


「いい。」

と、言って部屋に入った。

その頃、紅美の家では、良子が家に帰って

来た。


「おかえり、お母さん。」

紅美は、母の顔を見て、何か異変を感じた。


「お母さん、何か有った?」


「ううん。」


「いや、有ったでしょう!言って!」

良子は紅美に、春人と会って、問い詰められ

病気の事を、話した事を告げた。

その場に、泣き崩れる紅美。


「ごめんね、紅美、隠し通せ無かったんだよ、

ごめんね。」


「ううん、何時かは言わないと、いけない事

だったから。」

そう、言って紅美は部屋に、入ってしまった。

部屋で考え込む、紅美と春人。

春人は


(どうにか、紅美を助けれ無いのかな?

今の俺には、何も出来ないよ!)

紅美は


(春人君もう嫌に、なったかなぁ?もう

好きも言えなく、なっちゃうかな?

寂しいよ!)

眠れぬ二人。


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