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君の事なんて  作者:
47/65

まさかの人物

 会社帰りの電車の中。

 私は電車に揺られながら金子さんへ送るメッセージを考えていた。


 何から聞けばいいのかな……。

 何を聞けばいいのかな……。


 とりあえず会わない事には始まらない。



 『話があります。

  時間、開けてもらえる日ないかな?』



 そう連絡するとすぐに折り返しの連絡が来た。



 『火曜日の夜はどうかな?』



 バスケの日か……。

 仕方ない。

 早く話をして終わらせたいもの……。

 私は了承して小学校近くのカフェで待ち合わせる事にした。

 何かあっても柏木さんが来てくれると思ったから。

 会ってどんな話になるんだろう……。

 よりを戻す事はもうない。

 なぜ、再三現れる様になったのか……。

 それが知りたかった。


 バスケの練習が終わるまでの2時間、金子さんと会う事にした。

 その2時間で全ての話を聞くつもりでいた。

 終わりを決めていた方が話しやすい。

 話が終われば体育館に行く事にしている。

 その方がカフェを出た後安心だからという柏木さんの提案だった。


 先にカフェに入り、静かに金子さんが来るのを待つ。

 周りの人は、カップルだったり友達同士だったりでみんなこのカフェで楽しそうな時間を過ごしている。

 その楽しそうな声が羨ましくて、自分はこれから楽しい話をする訳ではない事に、とんでもなく場違いな気がしてここに座っている事を申し訳なくなる……。


 話した後に、話せてよかったと、これでお互いの進むべき道へ歩いて行ける様になる事を期待したい。


 そんな事を考えていた時、金子さんはやってきた。


「待った?」



「待ってない。 大丈夫。 今から2時間くらいかまわない?」



「いいよ……。 萌とこうやってゆっくり話すのもは久しぶりだね」



「あのね……、少し聞きたい事があるんだけどいいかな……。 この前、よりを戻したいって言ったじゃない? あの時、私もそう思ってる……みたいな事言ってなかった? どうしてそう思ったの?」


 私は、金子さんが私も同じ気持ちだって思ってる様な事を言った事が気になっていた。



「萌はそうじゃないの? 俺が恋しくなったんじゃないの?」



「何でそんな話になるの? 私、そんな事言ってない……」



「萌が好きだった人をやっぱり思ってるみたいだって聞いたから……」



「誰に……?」



「……はっちゃん」


 ……え……?



「……はっちゃん? はっちゃんがそう言ったの?」


 話を聞くと、私たちが付き合っていた事は気付いてないが、共通の友達の私の話をする事がよくあって、自分から聞かなくても私の事を知る事ができたらしい。



「萌の事はよく話してて、好きな人ができたっぽいと聞けば焦って会いに行ったりしてた……。 やっぱり萌がいいと思って俺に気を向けようと思ったから。 好きな人ができたって聞いたけど、でもやっぱり前、付き合ってた人の事が好きみたい…‥って聞いてやっぱり俺が必要なんだと思った。 けど、頑なに俺との事を拒むから……この前も友達の男がいたし……。 萌の好きなやつはあいつじゃないの?」


 全然理解できない……。

 私は好きになった柏木さんの事も話せずにいた。

 金子さんの事も付き合っていた事を話した事もなければ、その金子さんの事をやっぱり好きだと思わせる様な事もしたり言ったりしていない……。


 この話が本当なら何の為にこんな事を……?

 私は頭が真っ白になった……。

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