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君の事なんて  作者:
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仲直り

 柏木さんと気まずい雰囲気のままになっている事をずっと引きずったままになっていた。

 勘違いする様な事……、私には思い当たるところがあった。

 隠していた訳ではないけれど、自分が落ちていた時の出来事で自分の事でない様などこか他人の事の様な感覚になっていた。

 でも、それは言い訳だ……。

 このままだと、柏木さんに嘘をついている事になる……。

 柏木さんに嘘をつくのは嫌だ……。

 ちゃんと話したい。

 話したいけど、その他のいろんな事までも話さなきゃいけない……。

 はっちゃんに本当の自分の気持ちを言うか、柏木さんとの事を聞いてみるのがいいのか……。

 どちらにしてもはっちゃんとの関係に変化が現れるのは確かだった。


 でも……最近、金子さんとよく会うのが気になった。

 別れてから数ヶ月は何でもなかったのにここのところ何だか頻繁に会う……。


 気のせいなのかな……。


 もう一度、金子さんと話した方がよさそうな気がする。


 私は誰から話すべきなのかを考えていたが答えがなかなか出なかった。


 そんな時も時間は待ってくれず、会社に行けばはっちゃんにも会う、バスケの練習でも柏木さんとも会う……。

 誰にも何も言えず、ただその場の時間が過ぎるのを待ってるだけだった。

 そんな毎日を変えるには自分が動くしかない事もわかってはいたが、私にその勇気がまだなかった……。

 はっちゃんはともかく、柏木さんとはいまだに気まずい雰囲気が残っている……。


 バスケの練習も終わり、帰ろうと思いスマホを手に取ると柏木さんからメッセージが入っていた。



 『帰り、一人で帰らないで。 待ってて。 話したい』



 とりあえず駐車場の方へ行ってみた。

 薄暗い駐車場に行くと、ぽつんと車が一台だけ残っていて柏木さんが乗って待っていた。

 他の人たちはもう帰った後で、暗い駐車場では柏木さんの車内の微かな光だけが頼り。

 車内の柏木さんはどこかを見つめていていつもの元気そうな感じはなく何かを考えている様に見えた。


 コンコン……。


 窓をノックして私がいる事に気付いた。



「入っていい?」


 ドアを開けた私はそう言って柏木さんの車に乗り込んだ。

 柏木さんは緊張しながら話し出した。


「萌ちゃん……ごめんね。 この前俺さ言い過ぎた……。 結局、嫉妬なんだ」



「嫉妬……?」



「黒木と歩いてるのを見たから。 ちょっとその事であいつともケンカっぽくなっちゃって……。 冷静になったら、自分の嫉妬だな……と思ってさ……。 カッコ悪い……」



「あれは……、たまたま会ったから。 近くに用があったからって……」



「用? あいつ、用って言ってた?」



「うん……。 用って……。 私もね、話したい事があるの……」


 嘘をついたままの事はちゃんとしたい……。



「じゃあ、ドライブしよっか……。 ちょっと走ろう……」


 柏木さんは車を走らせた。

 少し、気持ちが軽くなった。



「久しぶりに柏木さんといて楽しい……」



「何それ……? 楽しくなかったの?」



「ううん……。 そうじゃない。 けど、引っかかってる事もあってそれが気になってたから……。 ゆっくり話したい……」


 柏木さんは優しく微笑んだ。



「じゃあ、ゆっくり話しよう……」



 私の本当を聞いて嫌われちゃうかな……。

 そんな不安もあるけど、柏木さんの前ではありのままでありたい。

 その気持ちの方が強かった……。

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