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君の事なんて  作者:
39/65

拍子抜け

「じゃあ、明日。 明日会える?」


 先延ばしにしたところでいつかは聞かなきゃいけない……。

 

 私もこのままじゃダメだ……。

 私は、明日会う事にした。


「明日ね……、いいよ……」


 明日会って話を聞いて自分はどうする?

 はっちゃんと向き合ってみる事を伝えられるんだろう……。


 最後に自分の気持ちを伝えてもいいものなのか……。

 それとも言わずにそっと心にしまっておくべきなのか……。


 はっちゃんは大切な友達でこれまでたくさんの時間を一緒に過ごしてきた。

 そんなはっちゃんが好きになった人とうまくいきそうな時、私はなぜ心から喜んであげられないのだろう……。



 はっちゃんを幸せにしてあげてね。


 はっちゃんのところへ行かないで。



 私の気持ちはどっちなんだろう……。



 明日会う事を考えると何も手につかない。

 私はほとんど眠らず朝を迎えた。

 頭痛でいつもよりたくさん寝た事もあって眠ってなくても案外すっきりしていた。


 私はシャワーを浴び出かける準備を始めた。

 シャワーを浴び何だか少しすっきりした。

 昨日あれだけ腫れていた目もいつも通りに戻っていた。


 これから現実を突きつけられる事に覚悟を決めた。

 仕方のない事だし、私らしく話を聞こう。

 私の未来はこれだけじゃない。

 そういう恋もあったな……と思い出せる様になればいいかな……。

 前向きに、前向きに……。



 クローゼットから今日の服を選ぶ。

 散々迷って決めた服、着てみて鏡で確認したが、何となく違う……。

 またクローゼットを開けて決め直す。


 メイクもいつも通り。

 けど、口紅の色をいつもより少し濃い色に変えた。

 少しでも明るくしていたいから、口紅の色を変えると気持ちも上がるかなと思ってそうしてみた。


 髪もいつもより時間をかけて、あまり編まない髪を今日は編んだ。


 待ち合わせは近くのファミレス。

 そういえば、ここで金子さんの事を話したんだっけ……。

 今日もここで私にとっては重い話を聞く事になるんだ……。

 でも、前向きに、明るくいよう……。


 ファミレスに近付くと駐車場に柏木さんの車があるのがわかった。

 彼はもう先に着いている。


 ふぅーー。


 入り口前で一旦深く深呼吸をしてドアを開けた。

 もうすぐ始まる、はっちゃんとのこれからの話……。

  

 辺りを見回し柏木さんを探した。


 いた……。


 ボックス席に座り、スマホで何かしていた。

 ちゃんと会うのはいつぶりだろう……。

 久しぶりに見る柏木さんはいつもと変わらなかった。

 今からの事に緊張しているといった感じも、神妙な面持ちな感じでもなかった。

 スマホで何かしているのも、相手ははっちゃんなのかな……。

 今まで思わなかった事を思い、また少し悲しく切なくなる……。



「ごめん、待った?」


 いつもより緊張して話しかけた。



「あ! 萌ちゃん。 待ってないよ」


 私は柏木さんの前に座り、柏木さんを見るといつもと変わらない朗らかな柏木さんがそこにいた。


「萌ちゃん、久しぶりだね……。 昨日、大丈夫だったの?」



「あ……、うん、大丈夫……」


 私は柏木さんが本題を話し始めるのを待っていた。

 真っ直ぐ私を見る目は変わらず、私はどうしていいか戸惑う程意識してしまっていた。

 柏木さんは、最近仕事が忙しくて大変だった事や、今度、小学生の剣道の大会があってみんな頑張って練習してる話をしてくれた。

 いつもの様に笑ってる……。

 でも、一向に本題に入らない……。

 普通もっと真剣になるだろうし……、話す前に気持ちを整えるというか……、いつもと違う感じになるはずが本当にいつもと変わらない……。

 むしろ、そんな話をしなきゃいけない事を忘れているかの様だった。


「あの……柏木さん……、話したいって……?」


 私の方が痺れを切らし柏木さんに問いかけた。



「え? 今、話してるよ」



 ??

 どういう事??

 仕事の話や剣道の話がしたかったって事??



「え? どういう事??」



「萌ちゃんと話したいから話したいって言ったんだけど? え? どういう事?」



「何か私に伝えたくて話したいって言ったんじゃないの?」



「伝えたくて? 何を? 萌ちゃんに告った以外に?」



 え……?

 全然意味がわからない……。

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