表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の事なんて  作者:
25/65

モヤモヤ

 今日集まるお店の前へ行くと、はっちゃんが来ていた。


「はっちゃん!」


 私ははっちゃんに声をかけた。

 はっちゃんは、私と二人がいる事に何でそうなった!?と言わんばかりの顔でびっくりしていた。



「あ、こんばんはーー。 市原です。 柏木さん、お久しぶりです! 覚えてますか?」



「こんばんは。 うーーん……、何となく……? ごめん! 俺、すぐ辞めちゃったから……。 あ、こいつは俺の友達の黒木です」



「こんばんは。 どうして三人で?」



「さっきね、偶然会ったの」



「そっか。 みんな揃ったし、入りますか!」


 こうして飲み会は始まった。

 みんな最初はビールを注文したが、柏木さんは烏龍茶を注文していた。


「どうしたの? 飲まないの?」


 私は気になって聞いてみた。



「今日、車。 黒木を送ってかなきゃいけないから。 萌ちゃんも乗って帰る?」



「あ、でもいろいろ送るの大変でしょ? 電車で帰れるから大丈夫だよ」


 コインロッカーに物も取りに行かなきゃいけないし……。


「いいよ、別に」



「あ、じゃあ、私も送ってくれますか?」


 はっちゃんがお願いした。



「それは別にいいけど……。 じゃあ、萌ちゃんも一緒に帰ればいいじゃん」



「じゃあ、萌ちゃんも決まりーー!」


 はっちゃんも賛同してしまい結局送ってもらう事になった。

 コインロッカーの荷物は明日取りに行こう……。


 会は楽しく進んでいた。

 柏木さんと黒木さんは大学時代の同級生で同じ学科で出席番号が隣というのが縁で仲良くなったと言っていた。

 元々、バスケ部だった黒木さんがバスケ部仲間と学内で会って話す時にいつも一緒にいた柏木さんとも仲良くなって柏木さんもバスケをやる様になった。

 黒木さんは消防士さんらしく、服の上からでもたくましいのがわかる。

 消防士さんと聞いて納得できた。



「だから、俺はそんなにバスケ上手じゃないんだ。 黒木は上手いよ」



「もう今はそこまで真剣にしてないから……。 楽しんでるだけ。 二人、下の名前は何ていうの? 永井さんは萌ちゃんだよね? 市原さんは?」



「私、初美っていうんです」



「あーー、だから、はっちゃん!」



「そうです。 黒木さんは?」



「俺、卓真(たくま)



「え! 卓真さんなんですか? 柏木さん、拓人さんでしょ?」



「そうそう。 だから、お互いあだ名はタクだったけど、どっち呼んでるのかわからないから、今は名字で呼んでるよね、みんな……」



「彼女もタクって呼ぶんですか?」


 はっちゃんが、突っ込んだ質問をした。



「そうだねーー、俺はそうかな。 あ、俺、今、彼女いるんだ。 柏木はいないけど……。 市原さんと永井さんは彼はいるの?」



「私たち、いませんよーー。 ね……?」



「あ、うん……」


 ね……?

 何か深い意味があったのかなかったのか……。



 今日の会もお開きになり、連絡先を交換した。

 四人で柏木さんの車まで歩く事になった。


 私の前をはっちゃんと黒木さんが話しながら歩いている。

 何を話しているかはわからないが、楽しそうだった。


 その後ろを柏木さんと話しながら歩いていると、


「その服、かわいいね」


 と、言ってくれた。

 服まで見てくれるんだーー。


「ありがとう……。 でも、ちょっと何か照れる……」


 褒められるのは嬉しい。

 少しドキっとした……。


 駐車場に着き、車に乗り込もうとした時、はっちゃんが助手席に乗りたい!と言った。

 私と黒木さんは後部座席に乗り込み楽しく話していた。

 エンジンをかけると音楽が流れた。

 この前と同じ、私もよく聴くあのバンド。


「柏木さんってこういう音楽聴くんですねー!」


 はっちゃんにとっては何もかもが新鮮で、まるでジョットコースターに乗る前みたいにはしゃいでいた。


 あれ……?

 はっちゃんがいるのに今日は音楽止めないんだ……。


 車が発進し、はっちゃん、黒木さんの順で送る事になった。

 後部座席からは前の二人が何を話しているのかはわからない。

 でも楽しそうなのはわかった。

 はっちゃんは、ずっと柏木さんに何か話しかけているみたいだった。


 はっちゃんが降りる場所に着いた。


「ほんと、楽しかった! また、連絡するねーー! 萌ちゃん、黒木さんまたね!」


 そう言ってはっちゃんは帰って行った。


 はっちゃんが降りてからは三人で話していたけど、さっきまでの私と黒木さんの話の続きだったりして、柏木さんはよくわからない部分があるのか相槌程度に会話に参加している感じだった。


 黒木さんが降りる場所に着いた。

 話し相手の黒木さんが降りると一気に寂しくなる。


「黒木さん、今日はありがとう! またね」



「じゃあな!」



「柏木、ありがとう! 気を付けて帰れよ!」


 黒木さんは大きく手を振り帰って行った。



「萌ちゃん、前乗る? この感じ、タクシーみたい……。 前、乗ってよ」


 タクシー?

 笑ってしまった!


「じゃあ、前乗るね」


 私は助手席に乗り込んだ。

 でも、私は少しモヤモヤしていた……。

 何だろう……、このモヤモヤ……。

 自分でもよくわからなかった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ