1/1
プロローグ
昔々、それはまだ人々が神を信仰していた時代の話。
廃れた小さい萱葺小屋に一人の老人が寝ていたそうな。
その老人は顔こそ老けていたものの、体格はとても筋肉質で、とても寝ていたとは思えないほど筋肉もしっかりしていた。
とある一国の医者団が彼を診療したところ、脈はないがなぜか体は温かく、ほんの少し光っているようにも見えたそうだ。
とりあえず衰弱しているという解釈で彼を一旦病院に連れて行こうと老人の体を起こそうとしたとき、急に風が吹き荒れ、雨もまるで滝のように襲い掛かってきた。
それに臆した医者が彼から手を離した瞬間、暴風雨は止み、あたりはまたいつものように月明かりに照らされ、穏やかな環境になったそうだ。
その医者団は何か悪魔の仕業だと考え、その小屋を後にし、以後誰も近づけぬよう、噂も広めず、ただそこに小屋があっただけと国にも報告した。
そしてつい最近、その老人の姿は消えた。
とある9月の中頃、そしてそれは神々と悪魔、そしてこの地球の生きとし生ける者の戦争の引き金をひくことになったそうな。






