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第4話  村の秘密(★)

 2019.12.4 改稿しました。


 今話は名前の変更と一部文章を変更しただけです。

 内容的には改稿前とさほど変化はありません。


※ 2020.1.1

 誤字脱字報告により修正しました。

 ご報告感謝いたしますm(__)m



 「うぅん……眩しい」


 朝陽がアシュラの瞼を突き刺す。陽の光の暖かさを感じ、意識が現実に戻る。


 「そっか、ここはシェイクスさんの家……なんだ」


 『お祀り』の内容を聞き、シェイクスの厚意により居候する事になったアシュラ。


 忌み子の捜索隊に見つからなければいい。

 確かにその通りなのだが、自分が標的となっているという事、そしてその為に皆に迷惑を掛けてしまうのではないかという不安が、彼の心の中で燻っていた。

 おかげで眠りが浅く、お世辞にも気持ちのいい朝とは言えなかった。


 「身体を鍛えても心が弱いとか、情けないよな……」


 幾ら鍛練しても、心に筋肉はつかない。精神的に追いつめられる経験が不足しているのだ。それだけ環境に助けられてたという事に、今更ながら気がつく事になった。


 「そんな時は、私の胸に飛び込んできていいんだよ、アシュラ♪」


 胸元から聞こえてくる甘い声に、アシュラはおそるおそる眼を凝らす。そこには下着姿のフォルトが、悪戯っぽい笑顔を浮かべている。


 「フォ……フォルト!? 何でこんな所(僕の上)に!?」


 朝陽と考え事に意識を持っていかれていたアシュラは、自分の身体がフォルトの重みで動かせずにいた事に、今更ながらに気がつく。


 「それは勿論、ここにアシュラが居るから♪」


 さも当たり前のように言い切るフォルト。

 だが純粋ウブなアシュラにとって、フォルトの艶かしい姿はご褒美にはならなかった。彼の心は緊張と間近の色気によって、すでに限界に達していた。


 「フォルト……の……はだひゃぁ~~~」


 密着した身体から放たれる微香と感触に、顔を真赤に染め上げ頭から湯気を立て、アシュラはついに気を失ってしまった。


 「あ……あれ? アシュラ!?」


 アシュラが女性に免疫が無いことを、フォルトは失念していた。

 すでに完成形になりつつある彼女の曲線美は、彼にとってまさに猛毒なのだ。


 「アシュラ…………ぬふっぬふふふ!!」


 しかしフォルトは、無防備なアシュラ(獲物)を眼前にして、このまま済ますハズがなかった。獰猛な笑みを浮かべながら、いきなり下着を脱ぎ始めのである。


 「アシュラ……いっただっきまぁーーぷぎょ!?」


 ご馳走(アシュラの)を食べようとした(貞操が危機に瀕した)その時、フォルトの後頭部に衝撃が走った。


 「なぁ痴女さん……朝っぱらから何食おうとしてんだ? あぁ?」


 ギギギギ……そんな擬音を起てながら、フォルトが後ろを振り向き、自ら止めを刺した。


 「こ……ここにアシュラ(ご馳走)が「この万年発情娘が!」ぴぎゃ!!」


 シェイクスの鉄拳が唸りを上げた。

 彼は、フォルトがアシュラに何かするとは思っていたものの、まさかここまで暴走するとはさすがに想定外だったようだ。



 こうして、賑やかな親子と忌み子の青年の1日が始まるのであった。



*****



 何事もなかったかのような朝の団欒。

 朝食を終えた3人は通常運転で談笑している。


 「アシュラ、お前は今日はどうすんだ?」


 とはいえ、アシュラは毎日している事といえば、ひとつしか思いつかない。


 「今日も空き地で鍛練の予定です。それくらいしか能がありませんから」


 苦笑いを浮かべながら出る言葉は、シェイクスの予想通りの返答だった。


 「そうか、まぁ無理すんなよ。過負荷はあまり身体によくない」


 普段優しい言葉を掛ける事の少ないシェイクスの言動に、アシュラは目をパチクリとさせ呆気に取られたが、それも昨夜の事で気を遣ってくれてるのかな? と解釈した。


 「あ、ありがとうございます」


 そこに、どこぞの世界の亡霊の様相で、フォルトが割り込んできた。


 「アシュラ、それじゃ私とお散歩デートしよっか?」


 両瞼の上が腫れ上がった今のフォルトに、いつもの可愛らしい笑顔の面影がまるでなかったが、それでも一生懸命に自分を売り込む健気な姿に、アシュラはちょっと感動を覚えた。

 シェイクスにはそんなフォルトがどう映ったのか、語るまでもないだろう。


 「アホ娘、お前は俺と一緒に村の会合だ」


 「まさか忘れたワケじゃねぇよな?」とでも言いたげに、シェイクスはフォルトをひと睨み。

 彼女は顔を青褪めさせながら、渋々父親に付いていく事となった。


 「アシュラ、ごめんね。また今度誘うから、楽しみにしててね!」


 いつもなら星が飛び出すようなウィンクも、腫れた瞼の前では無力だった。


 「すまんな、夕方には戻る。鍛練が終わったら家の中でくつろいでてくれ」


 申し訳なさそうなシェイクスに、アシュラは丁寧にお辞儀をし、いつもの空き地へと向かっていった。



 「さて、俺等も行くか」


 「……そだね」


 纏う雰囲気が変わった親子。その表情は真剣そのもので、まるで戦地に赴くかのような様相を呈していた。



 *****



 村の共用施設として利用されている村民会館。

 今ここには村の住民全員が出揃っていた。もちろんアシュラを除いて。


 会合に集まった村民は全員で100人ほど。

 フォルトよりも幼い世代から、今にもポックリ逝きそうな老人まで、文字通り百人百様。そこにはまるで誰も居ないかのような静粛が、広間を支配している。


 誰もが居住まいを正し、村長であるシェイクスの言葉を待つ。

 上座に座る彼と、その隣に座るフォルト。いつもの親子とは、何かが違った。


 そしてシェイクスが村民たち全員の顔を見渡し、口を開いた。




 「さて諸君、日々の活動に感謝の念を。これより『アストライア国王の粛正計画』の経過報告、及び『アシュラの覚醒』について話をしようと思う」



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