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第14話  お悩み相談会(★)

 2019.12.30 改稿しましたm(__)m

 詳細は後書きにて。




 「私が噂の『鬼神』さんです♪ よろしくね、可愛い女神ちゃん達♪」


 「「…………」」


 フォルテュナとククルは白目の口半開きでフリーズしてしまった。


 先にアシュラを見つけるどころか、先に自分達が見つけられてしまったのだから、そうなるのも仕方ないわけで……。


 「あ、あれ? おふたり……さん?」


 そしてミテュラの”可愛い鬼神さん”アピール作戦は、空気を完全に読み間違えるという結果を生んでしまった。結局どれだけ可愛く上目遣いをしたところで、鬼神は鬼神でしかない。


 「弱ったわね……あ、こんな時はハグしてフレンドリーなチュ~を……」


 「「お断りします(ぅ)!!!」」


 「あら、なによもう、ちゃんと意識あるじゃない」


 頬を膨らませてぷんすかと怒るミテュラ。アピールは継続中だったようだ。

 だがそんな彼女が一体何をしたいのか、2人は全く理解できないでいた。


 そして目と目を合わせて心を通わせた2人が至った結論はこうだ。


 フォルテュナは、彼女の言動が『降伏させる』為であり、可愛いアピールは『抵抗したら殺やっちゃうぞ?』という警告だという考えに至った。


 ククルはフォルテュナのような警戒心とは違う感情。要するに『はわわ~アシュラさんのお母……いやお義母様!?』である。まるで違う世界……いや方向にシフトチェンジしてしまっていたりする。


 結局、微妙に欲しい反応ではなかった2人に対して、ミテュラは余計な事をせず場の空気をフラットに戻す事にした。


 「仕方ないわね、ちゃんと自己紹介するわ。私の名はミテュラ。周囲からは鬼神と呼ばれてるけど、勝手に付けられた二つ名だから気にしないでね」


 ミテュラは真剣な眼差しで2人の瞳に訴えた。


 その振る舞いこそが、ミテュラ本来の姿なのかもしれない。そしてフォルテュナとククルもまたその佇まいに対して、気持ちを引き締めて受け止めた。


 「私はフォルト……いぇ、フォルテュナです」


 「ククルと申しますですぅ」


 本当ならば、2人は村民設定で偽るべきところ。神族としての名を晒すのは早計と言わざるを得ないのだが、ミテュラの瞳を見た2人は、不思議とミテュラを受け入れられた。


 だからこそ、本当の名前を口にした。

 ……ククルは真名も偽名も関係無いのだけれど。


 2人の態度に信を置いたミテュラは、その実直な気持ちが素直に嬉かった。アーレスのような捻くれた神族に会った後だっただけに、余計にそう感じられたのかも知れない。


 「フォルテュナさん、ククルさん、ごめんなさいね。突然現れて鬼神なんて言ったら、普通に警戒もするわよね。でも私は貴女達と敵対するつもりは無いの。それだけでも信じて欲しい」


 「……わかりました、ミテュラさん。私は貴女を信じます」


 「私も信じますですぅ」


 天上界において、ミテュラは『神族最強の神名を持つ者』であり『創造神シヴァに楯突いた逆賊』と認識されている。


 フォルテュナとククルも例外なくそう認識していたが、直接コンタクトを取る事によって、その先入観を払拭する事が出来た。もし村に残ってアーレス達と一緒に遭遇してたら、こうはいかなかっただろう。


 「2人共、信じてくれてありがとう。それじゃまず落ち着きたいから……そうね、ちょうど座るのに良い切り株があるわね。そこで、お話しましょう」


 ミテュラが視線を向けたのは、先程ククルの能力によって伐採された樹木の切り株。程よい距離感と大きさのそれが4株あった。


 フォルテュナとククルが並ぶように、そしてその正面にミテュラが座る。


 まず話を切り出したのはミテュラからだった。


 「話をする前に、ひとつ謝罪するわ。ここに来る前に、貴方達の住んでいた村に行ってきたのよ」


 フォルテュナは初っ端から驚かされた。


 「あの村を見つけたのですか? あそこは多重結界で隠されてたはずじゃ……」


 「私の能力で突き止めたのよ。多重結界は全部殴って割ったわ」


 「殴ってって……鬼神とは言い得て妙ですね」


 「ふふ、でも鬼神って誰かが勝手に付けた呼び名よ。私の神名は『万能(オールマイティ)』……シヴァが神族に与えた能力でも最強クラスの能力よ」


 「な、なるほど……多重結界が簡単に破られたのも納得です」


 フォルテュナは幼い頃に聞いた事があった。


 神族の中でも最古参の者は、創造神が創造した命であり、その者達の固有能力は成長によって発現したものではなく、創造神を護衛する役割として、創造神が直接与えた能力であると。


 その中でも最高位とされた能力のひとつが『万能』である。


 そしてその能力は、子に伝承されないと言われている為、若い世代の神族には最高位の能力は幻とさえ言われているのだ。


 すなわち、ミテュラは最古参の神族、という事になる。

 それを承知した上で、ククルはミテュラに爆弾を投げた。


 「という事は……ミテュラ様の年齢は……何百歳なのですぅ?」


 「…………私は永遠の二十歳よ?」


 ミテュラの言葉に軽く殺気が混じった。


 「ひいぃ!? ミ、ミテュラ様は若々しいと思うのですぅ!!」


 「でしょ? まだまだ私は食べ頃なのよ♪」


 何が食べ頃なのか……なんて野暮な事は聞かず、脱線しかけた話を戻すフォルテュナ。さすがにククルと同じ轍は踏まないようだ。


 「話を戻しますけど、村には誰か居ましたか?」


 「えぇ、居たわよ。シヴァの腰巾着とイクト君の2人がね」


 「こ……腰巾着? アーレスの事かしら……それで、その2人は?」


 「あぁ、腰巾着はウダウダ煩かったから、軽くひねってやったわ。今頃イクト君は腰巾着の介抱してるんじゃないかしら?」


 軽くひねる……ヘタレと呼ばれる程慎重なアーレスだが、あれでも戦神を司る神族なのだ。それを軽くあしらう事が出来る。フォルテュナにとってそれだけでも驚嘆に値する。


 「それで軽く情報を得て、その足でここに直行してきたのよ」


 「ここに直行って……それも特殊な能力なのですぅ?」


 「そうね、索敵も私の得意分野よ」


 「戦闘能力といい索敵といい、文字通り万能ですね……」


 「確かに万能だけど、何かに特化してるワケじゃないの。体よく言えば、バランスよく使えるってだけ。私は、誰にも負けない何かが1つある方が好きだわ」


 「そう……でしょうか……」


 「そうよ。万能なんて、ただの便利屋よ。だから2人とも、自信を持ちなさい」


 「「……え?」」


 ミテュラの言葉に、フォルテュナとククルは虚を突かれた。

 彼女はまだフォルテュナとククルの素性も神名も聞いていない。

 それでも、2人の心を見抜いていた。何かに自信を持てていないという事に。


 そういった機微をミテュラは感じ取っていたのである。


 「……それも『万能』の恩恵なのですか?」


 「違うわよ。強いていうなら『女神の勘』ってところかしら。でもその様子だと、見当違いってわけでもなさそうね」


 「そう……ですね」


 「はいなのですぅ……」


 「もし差し支えなければ、話してくれないかしら? おそらく力になれると思うわ」


 ミテュラは2人に優しく微笑みながら話しかける。

 もしかしたら、今の状況を何とかできるかもしれない。


 フォルテュナは、今の状況になった理由を、ボツリボツリと話始めるのであった。




 *****




 「……そう、それで2人でここにいたのね」


 「はい……」


 フォルテュナは、事の顛末を全て話した。

 迷いの大森林に集落を作った理由から、今現在に至るまでを、なるべく簡潔に。


 「ありがとう。私の代わりに……なんて烏滸おこがましいけど、アシュラを見守ってくれた事、本当に感謝するわ」


 「私は彼の気持ちを裏切りました。偽りに塗れた生活を20年もの間、続けてきたのですから……感謝されるような事なんてしていません」


 フォルテュナは、心に燻っていた想いを吐露した。

 アシュラへの気持ちが強くなる半面、フォルトとして彼を監視していた事への罪悪感を常に感じていた。そんな自分がアシュラを好きになる資格などないと。


 「ククルも……毎日毎日、監視の任を続けてきたのですぅ。どれだけお話したくても、ただ励ます事しか許されてなくて……それを忠実に続けてきたククルにも、感謝される資格はないのですぅ……」


 ククルも毎日監視する中で、彼に対する気持ちが大きくなる一方、アーレスの指示に従うしかなかったのだ。


 「資格なんて関係ないわ。最初は任務だったのかもしれないけど、最後は自らの意思でここに来た。アシュラへの想いを貫いてくれたその気持ちこそが最も大切な事だと思うわ」 


 だがミテュラはそんな2人の気持ちを汲んだ。


 彼女達は任務よりも心を優先した。例え神に従属する立場であっても、心を殺してはいけない。それはミテュラの矜持そのものなのだ。だから、フォルテュナとククルの勇気に対して、彼女は心から感謝したのだ。


 「それに……アシュラもまた貴女達の事を想ってると思うわよ?」


 「そ、そんな事はないと思います……だから彼は私達の前から……」


 「そうですぅ、ククル達は嫌われてしまったのですぅ」


 フォルテュナとククルは絶望しているかのように、力なく俯いてしまった。

 しかしミテュラはそう感じていない。まだ一度もアシュラと話してないが、どうやら確信している様子だった。


 「大丈夫よ、私を信じなさい!」


 ミテュラは立ち上がり、フォルテュナとククルの後ろにある樹木をみつめた。


 「貴女達のその想いは」


 右足を大きく後ろへ一歩下げ、2人に対して横向きに立つ。


 「しっかり届いてるわ!」


 左腕を2人の間にある樹木へと伸ばし、掌を向ける。

 握り締めた右拳を右脇に添えた。まるで弓を弾き絞っているような体勢。


 「だ、だからそんな事は……」


 「そんなにもアシュラを大切に想う気持ちが、伝わらないわけがないわ」


 広げた両脚を曲げ、腰を落とし重心を低く保ち始めた。


 「でも! ……ってミテュラさん? 一体何を」


 俯いていたフォルテュナが、ミテュラの奇行にようやく気がついた。


 「何を? 決まってるじゃない」


 ミテュラの右拳が銀白色の輝きを放ち始める。


 「全部、本人に直接聞けばいいのよ!」


 「「え?」」


 そしてミテュラは、全身を鞭のようにしならせ、左掌を向けた先の樹木へと右拳を振り抜いた。


 「出てらっしゃい、アシュラ!!」


 真っ直ぐ振り抜かれた右拳から、銀白色の輝きが放たれた。

 ゴオオォと唸りをあげるそれは、フォルテュナとククルの頭の間を抜け、真後ろにあった樹木へと接触した。その瞬間―――




 ズゴォーーーン!!!!




 「盗み聞きなんて、趣味が悪いわよ? ア・シュ・ラ・ちゃん」


 「うわああああぁぁぁぁぁぁ!!?」


 「ふぇ? ……ア、アシュラ!?」


 「アシュラ様!?」


 轟音と共に木っ端微塵に粉砕された樹木の後ろから、彼が姿を現した。





 ……はずだったのだが。





 「あ、ごめん。力入れ過ぎたわ」


 アシュラは樹木の破片共々、綺麗に錐揉みしながら森の奥へと消えていった。







 途中まで作り上げた差し替えデータを誤って消してしまい、テンションダダ下がりした結果、改稿が遅くなってしまいました。申し訳ありませぬ(´・ω・`)


 今回稿は会話の内容を少し変え、2人の心情を少し引き出す事にしました。

 ミテュラは彼女達の想いを親身になって受け止める場面となりました。


 でもロストしたデータの方がうまく描写できてた気がしてたので、我ながら残念でなりません。


 思い出したら再度改稿するかも知れません…………多分。



 いつもお読みいただき本当にありがとうございますm(__)m

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