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第12話  迷いの大森林~フォルテュナの想い(★)

 2019.12.16 改稿しましたm(__)m


 ※今話はフォルテュナの一人称モードです。


 詳細はあとがきにて_(:3」∠)_


 アーレスとの意見が噛み合わず、結局物別れに終わった会合。


 私―――フォルテュナと、四元素を司る神族ククルは、その場を飛び出して、自宅で必要な荷物を纏め、アシュラを探しに村を飛び出したわ。

 

 そして捜索組が探していない方向に的を絞って、私達はひたすら捜索した。

 でも彼を見つける事ができず、気がつけば2日目の朝を迎えていた。


 「ククル、そっちはどう?」


 「う~ん……人が立ち入った形跡はないのですぅ」


 「この辺りも外れかしらね……もう、アシュラったら……」


 見つけられない焦りから、少しだけ愚痴を吐きそうになる。


 でも、それはお門違い。


 本当に悪いのはフォルトを演じてきた私なのだから。



 ~~~~~



 私は、彼が本当に小さい時から、ずっと見てきたわ。

 物心つく頃まで、アーレス……いや『シェイクスの妻』という設定で。

 言っとくけど、同じ家屋に住んでいただけで互いに何もなかったわよ。


 アシュラの成長に合わせて、私は『妻』から『幼馴染』へと姿を変えて貰い、20歳になった現在まで、ずっと彼の傍に居続けた。



 最初は野次馬精神、ただの興味対象でしかなかった。



 天上界を追放された『鬼神』の子供が、『忌み子』という偽りの存在だと教えられて、どんな大人に成長するのか。大人になって神族として覚醒した時、どんな固有能力を会得するのか。


 ところが、彼はとても純粋だった。『忌み子』だという事を素直に受け入れ、村の皆の力になりたいと、日々ひとりで自己鍛練に明け暮れていたわ。


 そんな彼を幼馴染として支え続けているうち、忌み子というレッテルに真っ向から立ち向かう姿に、その直向(ひたむ)きな心に、任務を忘れてしまう程、惹かれてしまった。


 ……言っておくけど、ショタ好きじゃないからね。


 そうして彼に自分を見て欲しいが為に、頼ったり甘やかしたり、逆に甘えたり、襲ったり……ゲフンゲフン。


 まぁ、こうして彼を甘やかしたのは、私の責任。


 私情を挟まず厳しく接していれば、すでに覚醒していたかも知れない。そうすれば、彼を連れて天上界へと戻れたかも知れないのに……私は彼と共にいるこの世界での生活を、目先の幸せを優先してしまった。


 だから彼を探すの。

 これまで彼に偽り続けてきた事実を全て話して、ちゃんと彼と向き合いたい。

 向き合って、ちゃんと謝罪して、彼の隣に居続けたい。

 都合のいい話だってわかってるわ。嫌われる可能性だって少なくない。



 それでもいいから……私は本当の私の気持ちを伝えたい。



 ~~~~~



 「ククル、この地帯は止めましょう。すぐ移動するわよ」


 「了解なのですぅ!」


 彼がきていないと判断した私達は、今いる地帯の捜索を止めた。

 この大森林は、私達神族以外誰も立ち入る事のない未開の領域。

 適切な判断力と行動力がなければ、彼を見つけ出すのは難しい。


 そうして移動している最中、私はククルに質問を投げかけた。



 「ククル、『鬼神』はこの森に着いてると思う?」


 「そう考えておくべきですぅ。事態は最悪を想定しておくべきですぅ」


 「そうよね。村の方は皆、天上界に戻ってるだろうから心配ないけど」


 「フォルテュナ様、今は『鬼神』を気にするよりも、アシュラさんを見つける事が第一ですぅ」


 「そうだったわね。ごめんなさい」



 例え鬼神がアシュラの母であったとしても、約20年間一度も会っていない。鬼神が自分の息子だとわからなければ、どういう結末になるのか想像出来ない。


 だからこそ急いで見つけなければならない。


 だけど、捜索に不慣れな私達も気を付けなければ、間違いなく迷ってしまう。

 それだけこの大森林は、広大な敷地面積を誇る。さらにここは何処を見回しても同じ木々、同じ植物が生い茂っている。日差しも木々の葉に遮られ、時間感覚さえも失わせてしまうわ。

 

 それを私は、ククルの能力を駆使する事でうまく立ち回っていた。



 「ククル、またお願いね」


 「はいなのですぅ。――四元素・風の刃――ちょえーぃ!」


 ククルが固有能力である四元素の神技(しんぎ)を放つ。

 これによって辿ってきた痕跡を残す事ができるし、捜索地帯の重複を避ける事もできた。


 まさに一石二鳥ってやつね。


 ククルが司る固有能力『四元素』は、火・水・空気・土を指し、その恩恵を力の根源として行使する事ができる優れた能力。


 さっきククルが放った『風の刃』は、空気の恩恵を利用した攻撃魔法のひとつ。

 これを使って、探索を済ませた区域の木々を(ことごと)く伐採している。



 でもひとつだけ、どうしても気になる事があるのよねぇ……



 「風の刃! ぬえーぃ! 風の刃! うにゃーっ! 風の刃! むひょーっ!」


 「……ねぇ、ククル? その掛け声は狙って言ってるの?」


 「風の刃! にょはーっ! 狙うって何の事なのですぅ?」



 本人は掛け声に気がついていない……? どうにも嘘臭いわね。



 「やっぱり何でもないわ……それよりも今、凄く気になる事があるの」


 「何ですぅ?」


 「こんなに伐採で音響かせて大丈夫かしら?『鬼神』が来てたら拙くない?」


 「…………むほ!?」



 本当に今更だけど、ようやくその重大さに気がついたわ。

 この様子だと、ククルも全然気がついてなかったわね。驚いた声が面白いわ。


 でももしも…鬼神が接近してると仮定するなら、これは大問題だわ。

 大量の魔力の放出、伐採の大音響……『私達はここに居ますぅ』と言っているようなものだもの。



 「でもでも! アシュラさんが音に反応して接近してくれるかもですぅ!」


 「それも一理あるわよ。だけどアシュラと鬼神と捜索部隊……全部手繰り寄せたら、正直私達だけではどうにもならないわよ?」


 「……デスヨネー……なのですぅ」


 ククルは、ただでさえちんまい容姿なのに、縮こまってさらにちんまくなった。

 別に非難してる訳じゃないのだけれど……これはこれで可愛いわね。



 「ごめんなさいですぅ。ちょっと調子に乗っちゃったのですぅ」


 「気にしないで。私がククルの能力に頼りっぱなしなのも悪いのだから」


 「でもでも、もし鬼神や国都の捜索部隊が来ちゃったら……」


 「楽観的だけど、大丈夫じゃないかしら。私達の容姿は『片田舎の娘』。アーレスの『隠者』が発動したままだから、何とか誤魔化せるわよ」


 「こんな大森林の奥で伐採する片田舎の娘っていますぅ?」


 「……いないわね」


 「私もそんなダイナミックな田舎娘がいるとは思えないわね」



 我ながら無茶な言い訳だって事くらいわかってるわよ。

 それでもその時は押し通せばきっと……ってあれ?


 今……私達の会話に誰か混ざったような……



 「「…………ん?」」


 「あら、どうしたの?」



 女性の声が、いつの間にか会話に混じってた。

 うん、これは拙いわね。でも手遅れよね、多分。


 私とククルは互いを見合った後、おそるおそる声のする方を向いた。



 「あら、2人共可愛いわ♪ でもその表情はちょっと残念よ?」


 「あの……えっと……」


 「どちら様……ですぅ?」



 少し見上げた所……太い木の枝に、可愛らしさと美しさを併せ持った妙齢の女性が、座って足をブラブラさせてた。


 あぁ……これがフラグを立てるって事なのかしらね。

 問いに応える前に、何となくわかっちゃったわよ、彼女の正体が。




 「私が噂の『鬼神』さんです♪ よろしくね、可愛い女神ちゃん達♪」




 あぁ、私達が先に遭遇しちゃったわ。どうしましょ?






 前話ほどではありませんが、7割がた差し替えとなり、題目も変更しました。


 肝心のフォルテュナの気持ちを入れてなかったので、文章を追加しました。

 そして彼女の気持ちを分かり易くする為に、一人称にしました。

 正確には、一人称と三人称が混ざり合ったような表現法になってしまいましたが。


 現在のククルはフォルテュナの引き立て役状態ですが、今後欠かせないキャラになると思います。多分。

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