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第101話 今日の成果

「それでは、作成した薬をお渡しします。事前に説明した通り症状が出始めたら早めに使ってくださいね」


そう言って、ミリアが薬が入った箱を手渡すと、大事そうにファルが受け取った。

「了解しております。それとルルト様ですが、少し気分がすぐれないそうで、ご挨拶できず申し訳ありませんと、言伝を承っております」


「・・・そうですか、それは残念です、お大事にですね」

そう言った後、少し体をふらつかせるミリアに、傍らにいたアイリが声をかけて背中のあたりに手を回す。


「おっと、それはミリアも同じくじゃない、大丈夫?」


それには、すぐに顔を横に振って答える。

「ちょっと久々だったから疲れちゃったかも。帰りに屋台を楽しもうと思ってたけど早めに宿に帰ろうかな」


それでしたらと、ファルが近くにいた使用人にいくつか指示をだした後、振り返って、ミリアとアイリに提案した。


少し時間を頂ければ、宿までの馬車を用立ててくれるとのことで、もちろん有難く使わせてもらうことにした。



___それから少しして、案内されるままに商会の建物の裏に回ると、用意された馬車が待ち構えていた。


早速、ミリア達が馬車へと乗り込む。


別れ際に、また何かありましたら是非遊びに来てくださいねと、ファルが微笑みながら、前回と同様に果物が入った籠をお土産にと持たせてくれた。


「それと、探し人の件ですが、いくつか情報が届いているようです、真偽の裏付けと整理がついたら、近いうちに宿へ報告書をお持ちします」

そう言って籠を手渡してくれたファルへミリアがお礼の言葉を伝える。


ほどなくして、馬車が宿へと走り出した。




___ミリアとアイリを乗せた馬車が宿に到着すると、ソーン達も情報ギルドを出た後いくつかの店に寄って買い物をして、少し前に宿に着いたところだった。


「お帰り、ミリア、アイリさん。商会の仕事は無事に?」


ソーンが穴が開いた金属の盾だったものを、木の枝から身を乗り出した、白大蜘蛛ユキヒメに渡しながら声をかけた。


「そうね、必要な分の薬は渡せたわ、でもちょっと疲れちゃったかも」


アイリがミリアを支えながら馬車を下りてきたのもあって、少し心配になったソーンがミリアに駆け寄った。


「えっと、やっぱりちょっと無理をしてるの?ミリア。とりあえず宿に入ろうか」


アイリから籠と手荷物を受け取ったソーンが先導するように宿へと急いだ。



 ミリア達が部屋に入ると、手短に外套などを脱いで荷物を降ろして楽な恰好に着替える。

ソーンはいつの間にか部屋から出て、女将さんにお湯をもらいに行ったようだ。


扉がコンコンとノックされて、扉の外のソーンから訊ねるような声がする。


「えーと、扉を開けてもいいですか?」


アイリがどうぞと答えると、そっと扉が半分くらい開いて、入口付近に、湯がはいった桶が置かれる。


「じゃあ、終わったら扉の外に出してくれたら返しておくので、のちほど皆でこの後の予定を相談しましょう」


そうソーンが告げると隣の部屋へとそそくさと移動していった。


「了解。って、ソーン君は律儀だね。ミリアちゃんはどう思う?」


桶を取りに行きながらアイリがローブを脱いで裸足になっているミリアに話しかける。


「そ、そうね。でもアイリさんもいるし、気を使えるのはいいんじゃない」


「ふーん。まあミリアちゃんいなかったら部屋に呼んで、背中の方を拭いてもらったりもありかなって思ったけどなぁ」


「えっ、何いってるのアイリ、そういうのはダメって、いつも言ってるじゃない」

真っ赤な顔で、語気を荒げるミリアを見て、アイリが呟いた。


「なるほど、ソーン君が律儀っていうよりは、ミリアちゃんが厳しく目を光らせてるからかぁ」


「ちょっ、それはどういう意味なのアイリ?」

そう言ってつめよるミリアに笑顔でアイリが答える


「何だかちょっと元気がでてきたミリア?準備もできたし体が冷える前に拭いちゃおうか」



___着替えが終わり、ひと段落したところで、ソーン達を隣の部屋から呼んで集まった。


「えーと、じゃあこの後の予定を決めたいと思います、まずは状況の把握をしたいので今日の結果を共有しましょう」


お互いに今日の成果を簡単に報告し共有する。


話の中で、遺跡調査のクエストの件がでたところで、ミリアが答えた。


「今の話だと遺跡調査は明日の朝からって予定みたいだけど、ちょっとあたしは宿で待機でいいかな」


「そうだね、それは相談しなきゃって思ってたので、そうなると誰かもう一人待機してた方がいいかな・・・」


「ふむ、じゃあ付き添いは儂がしてやろう、なんなら栄養がある食べ物の買い出しとかもお手の物じゃ」


そう声がして、ベッドに畳んであった布団の隙間からもぞもぞと毛玉が姿を現した。


「クーマ、そこに居たんだ。じゃあお願いしようかな」


「そうするといい、そしてその籠の土産も置いていくといい」

皆の視線が籠いっぱいに盛られた果物に注目したあと、なるほどと頷いた。


あと、宿に待機する間にもしかしたら商会からの書簡が届くかもということで、それも合わせてミリアとクーマが待機班ということになった。


それ以外のメンバー全員で遺跡調査に赴くということで、話がまとまった。


必要な物資は既に買い込んであるので、出発は明日の朝食後でと決まったところで、

タイミング良く、誰かのお腹が大きく鳴ったので、話を切り上げて夕食の支度が済んだはずの食堂へと降りていった。

いつも読んでくださりありがとうございます。続きも読んでいただけると嬉しいです。


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