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第99話 調査隊

「えーと、たしかこの辺りだったんだけど。・・・やっぱり消えているみたいです」


そういいながら、ソーンがざらざらとした石の壁をなでている。


「なにか痕跡が残っていないか調べてみるわ、ソーン君少し下がって」


マイがそう伝えた後に、素早く術を唱える。


イーエーインリー


マイの突き出した手の平から、風が吹き出して石壁にあたって広がっていく


「ふむ、たしかに石壁ね、これといって珍しいところは無いみたいね」



そんなやり取りをしていると、装備屋の主人がお店の入り口から顔をだして声をかけてきた。


「お前さんたち、そんなところで何をしているんだ?悪巧みだったらよそで、やってくれんか?」


いぶかしむような表情の店主に、慌ててソーンが答える。


「あっ、えーと。すいません、この辺りに遺跡の痕跡があるんじゃないかと思って、調べてたんです。ご主人も何かご存じのことはないですか?」


「ん。遺跡だって。いやあ何もないんじゃないか。そっちの通りにある柱ぐらいで、ここらは前からある石の建物ぐらいだな」


「そうですか・・・あの、例えばこの辺りに、階段があったりとかそういうのを見たことはないですか?」


「あぁ?何だ噂の奴か。美女に会える回廊って奴だろ、あれは酔っ払いの幻想だろ。まあ、遺跡調査だったら情報ギルドに聞いてみればいいんじゃないか」


「噂があるんですか?それは前からですか。どういった内容です」


「詳しくは知らんがね。街の酒場で一時期流行ってた話だな。夜に突然現れた入口から地下へ降りていくと美女に会えるって奴だ。まあ気が付いたら身ぐるみはがされて道にほっぽりだされるらしいから、罠にはまった奴の悔しまぎれのいい分けみたいなもんだろってオチだな」


 そんな訳のわからん美女を探す暇があったら、近くの友人を大事にする方がいいと思うがねと言い残して、店の主人は扉の向こうに帰っていった。


それを聞いたマイとミリアは、じーっとソーンを見つめて呟いた。


「なるほど、そういう説もあるのか」


 つづけて、不思議そうな顔でソーンが身ぐるみははがされてないから噂とは別なのかなと呟いていた。

 

 

___一旦確認のために全員で調査に来てみたが、予想通りの結果に少し残念ではあったが、この後は、予定があるので二手に分かれることにした。


「えーと、ミリアは治療の件で商会に、アイリさんは付き添いをお願いできますか。それ以外のメンバーで情報ギルドに向かおうかと思ってます」


「わかったわ。アイリよろしくね。ソーンのことは、マイさんとアルフよろしくね、1人にしちゃだめよ」


「了解。ソーンのことはまかせロ、ミリア」


「えーと、なんだか、僕がトラブルメーカーみたいな扱いになってるような・・・」


 ポンっとソーンの背中をたたいてアイリが頷いたのをみて、がっくりと肩をうなだれながらソーンがじゃあ出発しますねと合図をだした。



___情報ギルドに向かったソーン達は、街の規模通りの立派な建物の門をくぐって、いくつか並んでいる受付のひとつで状況を説明した。


「冒険者のランドさんですか?・・・ここ一年の活動記録には無いようですね。それより古い情報にアクセスするには、必要な申請がありますので、ソーン様の情報提供への協力は以上です」

そう言うと、受付の青い制服を着た眼鏡の女性がにっこりと微笑んでいる。


「そうですか、最近の情報は無いのですね・・・」


 ソーンはあらかじめ想定していた答えに、アルフとお互いに顔をあわせて頷く。過去履歴を検索するにはこちらの情報も開示登録する必要があり、その情報に気づいた村長が逃げる恐れがあるので、今はまだ伏せておこうという段取りだ。


つづけてソーンが訊ねる。

「そういえば、遺跡調査のクエストがあるって聞いたのですが、何か情報ありますか」


 そのキーワードを聞いたとたんに受付の女性の眼鏡が光ったように感じたのはソーン達の気のせいだったか。

「それでしたら、今のお勧めは『裂け谷の遺跡調査』が一番人気ですね、この街の裏手にある谷はご存じかと思いますが、その谷底に遺跡がありまして・・・」


 あわせて予定していたかのように手早く受付台の上に、地図が取り出されてソーン達の目の前に展開する。

「この経路で谷へと降りると近道になりますので、是非参考に・・・丁度、この位置の辺りに遺跡群がありますので、今回初めてということでしたら、こちらの中央にある入口からの・・・」


 続けて、丸めて紐で縛ってある書類が台の上に現れて、これについても丁寧に説明が続けられる。

「こちらが先ほどの地図の模写になります、それとこちらがこの一帯に出没する魔物の特徴と買い取り可能な部位の詳細ですね遭遇した際には、退治して素材を持ち帰っていただけるとこちらで買い取りを・・・」


 何やらスイッチが入ったかのように次々と説明を続ける受付の女性に圧倒されるソーン達であったが、気がつけば説明の中ででてきたいくつかの書類を購入していた。


「えーと、都会の情報ギルドって、受付の人の熱意が凄くて圧倒されちゃった。アルフはいつもは手加減してくれてたんだね」


ソーンに話を振られたアルフが答える。


「おっ、そうだナ。でもボクはソーンにだったら、これくらいの情報はサービスしちゃうけどな」


 先ほど購入した書類を広げて内容を確認する、たしかに便利な情報が色々とまとめられていて、遺跡の維持管理費を賄う上でも小さい金額ではあるが大事な収入源らしいと・・・説得された。


「ふむふむ・・・『岩魚』谷で一般的によく見かける魔物で、鋭い牙と尻尾の針に注意、岩壁に擬態して集団で襲ってくるので地図の印の位置に巣があると、買い取り部位はヒレと尻尾の針、身も食用で・・・」


 内容を確認しているソーンにマイが訊ねる。


「遺跡に関する情報は何かのってそう?何となくわかってきた気もするけど」


「えーと、遺跡群は今回、入場許可証をもらったのは中央の分だから・・・これかな、『現在補強工事中のため現地にて問い合わせ必要』って書いてあります」


そう答えたソーンと一同が納得したように呟いた。


「なるほどね、遺跡に到着するまでが調査ってことか、まあ折角だから近くまでいってみましょうか」

いつも読んでくださりありがとうございます。続きも読んでいただけると嬉しいです。


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