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 講義を終えた教師の口から、ティミオス学園の創立祭という単語が出なければ、アイネアがその行事を知るのはもっと後になっただろう。

 創立祭とは、そのままの意味だがティミオス学園が設立された日を記念し、だだっ広い講堂でパーティーが開かれる。学年に関係無く、全生徒が集まる唯一の行事だった。創立祭の時期は夏季休暇の少し前だ。


【でしたら、とびっきりおめかしされませんと】

「その辺りのことはパルメナに任せるわ」


 アイネアから話を聞いたパルメナはやる気に満ちていた。エルザといい、パルメナといい、主人が着飾る行事には決まって張り切ってくれるので、アイネアは大人しくしているだけで良かった。


【お腹のリボンは緩められませんよ?】

「ネーヴェルったら、変なことまで教えたのね…コルセットを着けるのだから、リボンをきつく締められたって同じよ」


 備え付けのクローゼットを開けながら二人で大笑いする。整頓された衣装を眺めていたアイネアは、ふと見覚えのないドレスがある事に気付いた。


「こんなドレス、持っていたかしら?」

【そちらは入学式の後に旦那様から届けられたものです。本当はお嬢様の出立に間に合うよう仕立てるはずだったのですが、手違いで遅れてしまったのです】

「お父様が…」


 アイネアは自分から身を飾る物を欲したりしない。屋敷の自室には季節に合ったドレスが揃っているので、追加で仕立てる必要が無かったというのもあるが、最大の理由はクーザを雇い入れる際に告げた約束である。今後一切ドレスやアクセサリー等を強請らない、という口約束をアイネアは守り続けていた。そもそもアイネアが言わなくても、アンドリューは必要なものを用意してくれたし、それで充分に事足りている。


【お嬢様が遠慮しないよう、こっそり紛れ込ませておいてくれと、言付かっておりましたので、今まで申し上げずにいました】


 アンドリューが仕立てを依頼したというドレスだが、アイネアはその布地に心当たりがあった。

 いつだったか、パルメナに懇願されて、ドレス生地の見本に目を通したことがあるのだが、その時に一番気に入った色だった。それを言葉に出したりしなかったのだが、アイネアの性格を心得ているパルメナは、視線や仕草だけで主人の考えくらい察せられる。実に優秀な侍女だ。


「そうだったの…では、ありがたく着させていただくわ。あとでお礼の手紙も書かなくてはね」


 後日、アイネアが心を込めて書いた手紙を読んだアンドリューは、着飾った姿も見たかったと遠い空を見上げていたという。


 学生が忌み嫌うものの一つである定期考査。創立祭の前に立ちはだかる試験は、浮き足立った学生達の頭を冷やす、丁度良い機会となる。だが、アイネアは大して浮かれてもいないし、勉強にも不安は無いので、いつも通りの日常を送っていた。


「アイネア様も図書室でお勉強なさいますか?」

「いえ。わたしは部屋に戻ります」


 アイネアは図書室で勉強するのが苦手であった。読みたい本が多すぎて、読書をしたいという欲望と戦わなければならないからだ。それに対して、宿舎の自室なら余計な物が無いので集中できる。


「そうですか。では明日からの試験、お互い頑張りましょう」

「はい。お先に失礼しますわ、ビルガ様」


 ビルガは非常に成績優秀だった。才色兼備とはまさにこの事。かくいうアイネアも十位以内に入るか入らないか、という具合なので頭はかなり良い方だが、ビルガはその上をいく。

 定期考査の成績は、上位三十名のみ張り出される方式だった。アイネアとビルガの名前も当然のように書かれていたが、問題はビルガの名が先頭ではなかったことだ。しかもビルガを抜いたのは、特待生として入学した貴族でもない生徒だった。この学園には学力の高い者が集まるとはいえ、幼い頃から英才教育を受けている貴族達を、平民が凌駕した例はあまり見ない。

 アイネアはてんで気にしない質であるが、プライドの高い人間にとってはとんだ屈辱である。あからさまな態度は出さないものの、ビルガの顔も曇っていた。


 学園を騒然とさせた定期考査であったが、創立祭が近付くにつれて、その出来事も忘れられていった。

 創立祭は昼から始まる。午前中は会場の準備と、生徒達の支度のために時間が取り分けられているのだ。アイネアはアンドリューが贈ってくれたドレスを身に纏い、パルメナが髪を結い上げるのをのんびりと待っていた。


【そんなに楽しみなのですか?】


 鏡に映るアイネアの表情が、いつになくうきうきしているように見えて、パルメナはそう尋ねた。


「創立祭ではダンスを踊るらしいわ。それで、わたしの初めてのダンスを思い出してしまって、笑えてきたの」

【初めてということは、ダンスの先生とですか?】

「先生はカウントしないわ。そうではなくて、ユニアスとよ」


 ユニアスと公式の場で踊る機会などあっただろうかと、不思議に思うパルメナに、アイネアは優しい顔をしながら語り始めた。


 それはアイネアがダンスを習い始めた頃、まだユニアスの顔にそばかすが散っていた子供時代のことだった。

 バラダン家を訪問していたユニアスに、アイネアが踊ってほしいと言い出したのがきっかけだった。


『来週、ワルツのステップをチェックしますって、先生に言われたの。でも、まだ自信がないから、ちょっとだけお相手してくださる?』

『……うん。いいよ』


 アイネアの頼み事は何でも快く承知してくれるユニアスが、この時だけは珍しく逡巡した。もしかして嫌だったのか、甘え過ぎだったかとアイネアは慌てた。するとそれ以上にユニアスは焦りながら、弁解するのだった。


『アイネアと踊るのが嫌なわけじゃなくて…その…僕の方から誘いたかったなって…』


 気まずそうに話すユニアスの言葉に、ハッとなるアイネア。女性からダンスに誘うのは無作法だと教わったのを、たった今思い出したからだ。ユニアスとしては自分から言い出せなかった意気地無さが情けないだけで、無作法云々は別にどうでも良かった。


『ごめんなさい!わたしったら、はしたないまねを…今のは無かったことにしてくださいませ!わたしも忘れるわ!』

『う、うん。わかった』


 アイネアの勢いに押されて、ユニアスは頷いた。改めて仕切り直しとなり、今度はきちんとユニアスの方から誘いを切り出す。


『僕と一緒に踊ってもらえますか?』


 変に緊張してしまい、何故か敬語になってしまった。しかし、アイネアは気にすることはなく、輝く笑顔を向けた。


『はい!よろこんで!』


 涼しい夕の風が吹く庭で、たどたどしく踊る二人。途中からはステップの確認など綺麗さっぱり忘れて、ひたすら楽しく踊った。ステップを間違えてよろめく場面もあったが、それすらも楽しかった。星が見え始めた麗容な空模様の下で、エルザが呼びに来るまで気ままなダンスは続いたのだった。


「思い返すとかなりめちゃくちゃなダンスだったわ。でもそれが、わたしの初ダンスなの」

【すてきな思い出ですね】

「今日はユニアスに、わたしがあの日からどれだけ成長したか、存分に披露するつもりよ。もうワルツのステップなんて、寝ぼけていても踏めるわ!」

【観に行けないのは残念ですが、お嬢様なら見事に踊りきると信じております】

「ありがとう。パルメナ」


 懐かしい思い出話をしている間に、準備は終わったようだ。アイネアはその場で軽く一回転してみる。それに合わせて濃い紫色のドレスがふわりと舞った。パルメナ会心の出来である。


【とてもよくお似合いですよ】

「そう?嬉しいわ」


 今日だけは、会場である講堂までパルメナも付き添うことになっていた。手話で会話するアイネア達を見る目は様々であったが、本人達はいつもの事だと気に留めなかった。これでも当初は、パルメナが随分と気にしていた(無論、アイネアが変な目で見られないかを、である)のだが、お喋りしているだけなのに、何を気に病む必要があるのかとアイネアに諭されて以来、おどおどするのはやめた。アイネアが気にするのは、自分が何を言われるかではなく、他者からの悪意によって自分ではない誰かが傷つくことだと、パルメナはよく知っているのだ。


【それでは、楽しんできてください】

「もちろんよ。パルメナもゆっくり休んでちょうだいね」


 パルメナと別れたアイネアは、講堂の入り口へと続く階段へ向かった。そこには既にユニアスが待っており、アイネアの姿を見つけると、一度大きく瞬いた後、いつもの柔和な笑みを浮かべた。


「もしかして、ずっと待っていてくださったのですか?」

「いえ。僕も先ほど来たばかりですよ。じゃあ、中へ入りましょうか」


 至極自然な動作でユニアスはアイネアをエスコートする。アイネアも慣れた様子でそれを受け入れる。ふと、隣からじっと見つめられる視線を感じて、アイネアは首を傾げた。


「…すみません。アイネア嬢がいつも以上に綺麗なので、つい見惚れてしまいました」

「まあ…」


 見上げたユニアスは、眉尻をちょこっと下げて困ったようにはにかんでいた。それはお世辞の常套句なはずなのに、アイネアの頰はさっと染まり、まだダンスも始まっていないのに、鼓動が速くなっていく。


(どうしたのかしら…わたし…)


 こんな急に風邪を引く訳もないし、だとしたら、この体の異変はいったい…?

 ぐるぐると考え込むアイネアは「…ユニアス様も、とてもすてきですわ」と返すのがやっとだった。


 講堂に一歩足を踏み入れれば、会場の華やいだ空気にわっと包まれる。全生徒が集まっているというだけあって、なかなかの熱気だ。


「先に軽く何か食べますか?アイネア嬢のお好きなお菓子もたくさんありますよ」

「からかわないでくださいっ。今日はコルセットを締めていますので、たくさんは食べられないのです!」

「し、失礼しました」

「今も昔も、お腹を締め付けるものが憎らしいですわ…」


 ユニアスが放ったのは冗談混じりの台詞だったが、アイネアには切実な問題だった。


「殿方はいいですわね……そうですわ!以前は断念した男装を、」

「(一度は断念したのか…)アイネア嬢!少しくらいなら食べても平気では?開式の辞までゆっくりしましょう」


 上手いことアイネアの意識を逸らすことに成功し、どのお菓子を食べるか真剣に吟味し始めたので、ユニアスはほっと息を吐いた。

 周りにいた生徒達は、麗しい男女がこんなしょうもない事を話していようとは、夢にも思わないだろう。


 老齢の学園長から長々とした挨拶が終わった後は、夕方まで自由にパーティーを楽しめる。アイネア達のように婚約者と過ごす生徒もいれば、友人同士で楽しく騒ぐ生徒もいる。中には興味が無いと会場を出て行く生徒も少数ながらいた。しかし半数以上は、普段お近づきになれない相手へアタックする機会だと、目をぎらつかせている。何と言っても、最高学年にはこの国の王子が在籍しているのだ。婚約者は決まっているが、不仲だというもっぱらの噂なので、後釜を狙う女生徒が後を絶たない。女も女だが、男だって黙ってはいない。婚約者がいない女生徒を巡って静かな争奪戦が起きている。

 我関せずとしていれるのは、既に婚約が決まっている者達くらいだ。でも恐らく、アイネアだったら婚約者がいなかろうと、パーティーの料理を全力で堪能しにいっただろう。ただしその場合、会場に集う令息達にひっきりなしに声をかけられることになったに違いない。

 そんな事態に至らないのは、ひとえにユニアスのおかげでしかない。王子のように不仲説が出ていれば、あわよくばと思う輩もいただろうが、開式前から寄り添っている二人の間に割り込もうとする猛者は流石にいなかった。


「この時期の杏は本当に美味しいですわ!」

「杏の旬は短いですから、貴重な美味しさですね」

「そうなのです!すごい贅沢をしている気分になりますわ」

「腹ごしらえもしましたし、一曲いかがですか?」

「ふふっ、そのお言葉を待っておりましたわ。今日こそ華麗なステップをご覧にいれます!」


 アイネアの言い回しにより、ユニアスも当時のことを思い出したらしく、懐かしい記憶を慈しむように微笑んだ。手を取り合いながら、フロアの中央へと進んでいく。


「今回はちゃんと僕の方から誘えて良かったです。ダンスはあの日以来ですが、精一杯リードします」

「あら?ユニアス様も、あれからどなたとも踊っていないのですか?」

「アイネア嬢がいるのに、他の女性の手を取りたいとは思いませんよ」


 そう言われた直後、アイネアの手を握る力が少し強まり、ぐっと引き寄せられる。背中に回された手から伝わる熱に、心が掻き乱されたような心地になった。平静さを取り戻す前に音楽が始まってしまう。しかし、寝ぼけていてもできると豪語していただけあって、激しく戸惑いながらもアイネアのステップは完璧だった。

 ターンをするために寄せていた体を離すと、ようやくまともに息が吐けた気がした。しかしそれと同時に名残惜しさも確かに感じて、そんな矛盾するような自分の気持ちに、アイネアはますます混乱する。


「…アイネア?」

「はぃっ!?」


 なんだか様子が妙だと思ったユニアスが、周りに聞こえないよう、小声で耳打ちしてきた。常時なら何てことなかっただろうが、落ち着きを失っている今のアイネアには、とんでもない不意打ちとなった。仰天した拍子に、僅かに足を踏みはずす。みっともなく転ぶことも、よろめくことさえなかったのも、ユニアスがすぐに抱き止めてくれたからだった。


(どうしてこんなに緊張しているの!?ダンスなのだからくっつくのは当たり前じゃない!あっ、そんなことよりもはやくお礼を…っ)


 傍目にはわからないだろうが、呑気に構えている事が常のアイネアがあわあわしているのは珍しい。本格的に心配になってきたユニアスは、ダンスを中断しようかと囁いた。


「だい、大丈夫よ。支えてくれてありがとう。お気に入りのドレスを着ているから、自分で思っていたよりも浮かれていたのよ。きっと」


 アイネアも同じように小声で返すが、かなり早口になってしまった。そこには触れず、ユニアスはお気に入りのドレスという言葉に、怪訝そうな顔をした。ユニアスの知る限り、アイネアが身に付ける物に頓着したことはなかったからだ。自惚れでなければ、唯一の例外はユニアスが贈った髪留めだけである。今、着ている紫のドレスはとても良く似合っているものの、それだけがアイネアの気に入る理由にはならないだろう。


「お父様からの贈り物なの。それに本物には遠く及ばないけれど、ひと目見てユニアスの色だと思ったから…」


 今度はユニアスが狼狽える番だった。

 ドレスの生地は青みが強い紫色であり、ユニアスの瞳の色とよく似ていた。どこか恨めしげな、だが怒っている訳でもない、何とも言えない呻き声みたいな言葉を吐く。


「っ、君はまたそういうことを…!」


 踊っている最中でなければ、ユニアスは顔を覆っていただろう。しかし生憎と両手がふさがっているので、赤くなった顔と耳を晒すしかなかった。

 みるみるうちに赤面していく様子を間近で見ていたアイネアは、自分がどんな台詞を口にしたのか、遅まきながら理解した。ユニアスの色を身に纏いたかった、アイネアが言ったのはそういう事である。


(………それってまるで…ユニアスに恋をしてるみたい、ね…?)


 そこに思い至った瞬間、アイネアの思考は機能不全に陥る。優雅なダンスを続けながら、言葉にも表情にも出さなかったが、静かにパニックを起こしていた。


(えっ……ええぇっ!?わたし、いつの間にそんな…っ!?本当に!?)


 ちらっとユニアスを見上げると、ドレスと同じ紫紺の瞳が、確かな熱を持ってアイネアを見つめていた。視線が交差した刹那、アイネアはユニアスから目を離せなくなる。全身を燃えるように熱い血が駆け巡り、痺れるような感覚を味わった。

 昔、アイネアが読んだ物語の中には、運命の相手と出会うと、雷に打たれたような衝撃を感じると書いてあった。ユニアスと一緒にいると、穏やかな昼下がりみたいな心地良さしか感じてこなかったので、まさか彼に恋心を抱いているとは、微塵も考えつかなかったのだ。


(……これが、恋…)


 アイネアは熱を帯びた頬のまま、今度こそしっかりとした足取りでステップを踏んだ。繋いだ手がじんじんとするが、それは痛みからくるものではないと、やっとわかった。心臓がうるさいのはユニアスが傍にいるから。胸がきゅっと苦しいのは幸せではち切れそうだから。不可解だった現象の謎が解けたアイネアは、気恥ずかしくなりながら、それでもますます押し寄せてくる幸福に破顔する。

 様子が変わったアイネアに、いまだ顔の赤みが抜けないユニアスはひたすら困惑した。


「ユニアス」

「えっ、なに?」

「あの時は曖昧な返事しかできなかったから、仕切り直しさせてもらうわね」

「あの時って…?」

「カフスボタンをくれた時よ」


 混乱のさなかにあるユニアスは、アイネアが何を言い出したのか、ついていけていない。だが、そんなのはお構いなしにアイネアは踏み込んでいく。


「わたしも、あなたが好き。大好きよ」

「!?!?」


 光り輝くシャンデリアよりもきらきらした笑顔を、間近で直視してしまったユニアスは、足元が覚束なくなり、ステップを間違えてしまう。ついさっきまでとは立場が逆転していた。挙動不審かと思えば、最高の笑顔を伴った唐突すぎる告白。振り回されっぱなしのユニアスがもはや哀れである。驚愕と歓喜が合わさったような感情が、ユニアスの中で沸騰し、目の前が明滅した。自分の顔が今どうなっているのかもうわからない。異常なまでに心音が加速していることだけは確かだった。


「ユニアスとなら、一曲と言わず、いつまででも踊っていたいわ!」


 ユニアスを大混乱に陥れた張本人は、幸せいっぱいな様子でダンスに興じていた。頭が真っ白になったユニアスは、体に覚えこませた動きだけで相手を続けている。


(……今がダンス中で良かった)


 仮に大衆の目が無く、アイネアと二人きりだったら、衝動的に唇を奪っていたに違いない。アンドリューから、結婚するまで不用意な接触はするなと釘を刺されている身なので、踏み止まれなければユニアスの命が危うかった。

 少しずつ動揺が収まっていくと、ユニアスの胸にもじわじわと幸福がせり上がってきた。恋い焦がれてきた女の子から、とうとう友情以上の想いを告げてもらえたのだ。ユニアスはアイネアが愛おしくてたまらなかった。この上ない感激に涙が出そうだった。


「…僕も、同じ気持ちだよ」


 溢れ続ける想いを押し込めていたため、ユニアスの声はこもって聞こえた。それでも、目の前のパートナーにはしっかり届き、二人は音楽が止むまで、しっかりと手をとり合って踊っていたのだった。

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