新しい自分を手に入れた日②
あまりにも好都合な能力だな。一番優れているとしていてもいいとこだらけだ。
「吸血鬼って事は日光とかに弱くないの?」
やはり男の人の声は低くて違和感しかない。でも我ながらイケボだなと思う。
「弱いよ。弱点も吸血鬼と同じです。銀製の武器や聖水に触れると火傷のような傷を負う。日光にはすこぶる弱い。あ、でも灰にはならないから安心して。このぐらいかな今分かっている効果と弱点は。」
強いのは強いがすぐにへこたれてしまいそうな感じだ。昼間はどうするのか。
色々な疑問点が浮かんでくるが一番気になることがある。
「どうやって元の姿に戻れるんですか?」
「あ、聞いちゃう?それ聞いちゃう?」
「そーゆーノリちょっとウザイです。」
「もー冷たいなあ、巴笑ちゃんは。」
真面目なのかふざけるのか色々とうんざりしてくる。こっちは真剣に考えているのに相手はケラケラと笑っている。
「ははっ。元に戻るには人間の生き血を飲む事!誰とは決まってないし、戻る時に飲むだけ。ただ失った体力や栄養素を血液から摂取するから注意してね。」
「血を吸いすぎて相手の子が死んでしまうとかはあるんですか?」
「人間は1/3の血液を失うと死ぬから大丈夫だと思うよ。巴笑ちゃんぐらいの体型の子を吸うならだいたい1L以上は危なくなるね。」
「あともうひとついいですか?」
「なになに?なんでも聞いて〜」
「生き血じゃなきゃダメなんですか?」
「そうだね。輸血、トマトジュースやワインを代用するとか言うけど元に戻るなら全くダメだ。あ、でも体力回復とかには少しだけど役立つよ。」
「ふーん。じゃあ今も元の姿に戻るには生き血を…?」
「いいや、今回はお試しだからこのドリンクを飲めば治るよ。」
そう言うと佐々木は連れの男にドリンクを出させた。見た目はただの水だが…
「にがっ!前の時の微妙な苦さが強くなってる!み、水を…」
「ははっ。ごめんな〜苦かったな?ま、時期ましになるやろ。じゃあ行こうか。」
「うえ…い、行くってどこへ?」
「行ってからのお楽しみやな!」
立ち上がる頃にはもう体がなっていて歩いていく途中のガラスには元の私の姿が映っていた。