新しい自分を手に入れた日①
私は男に連れていかれ、着いた場所は今どきのお洒落な佇まいをした小さめの会議室だった。
勧められた席に座ると、佐々木と後から来た男二人が目の前に座った。今にも説教されそうな位置で謎にさっきよりも緊張感は高まった。
しばらくの沈黙があり佐々木は真面目な顔をしてこちらを向き、目を合わせてきた。
「では単刀直入に言わせていただきます。先程も言いました通りです。高橋巴笑さん、あなたには地球を守っていただきます。」
「いや、意味わかんないんだけど…急に知らないところに連れられて地球を守ってくださいって。」
「まあまあ、そう怒らんといて?ちゃんと説明しするから。」
この男は関西弁で喋るのか標準語で喋るのかをはっきりしないから少しばかり鬱陶しいやつだ。
「では説明に入りますね。今あなたの性別は見た通り男性になっています。それもかなりのイケメンです。」
「さっきの鏡に映ったのは私なの?」
「はい。あなたは昨日飲んだドリンクで今のような姿になっています。」
すると隣に座っていた男に「あれ出して」と言うとドラマで見るようなジュラルミンケースが出てきた。それを開け、中に入っていたのはタッチパネル式の時計だった。
「普段はこれを付けて右に出っ張っているボタンを押すと振動が起こり、今のような姿になれます。効果はこれだけではありません。あなたは吸血鬼型の能力者で“ヴァン”と呼んでいます。その名の通り効果は吸血鬼の様な能力です。容姿端麗、頭脳明晰、怪力、空中飛行、変身、が主ですが他にも嗅覚、聴覚に優れています。能力者の中で最も優秀です。」
考える事を諦めた私は怪しいながらも彼らの言うことを聞き入れることにした。