朝を迎えたら
短編シリーズ 第5弾
毎朝の日課はコーヒー牛乳を1杯飲むこと。
飲むと幸せな気分で1日が迎えられる。単純かもしれないけれど、今日も1日頑張ろうって気持ちになる。
コーヒー牛乳を注ぐコップにもちょっとこだわってみた。と言っても、コップの表面にコーヒー牛乳のパッケージの絵を描いてみただけだけれど。
コーヒー牛乳は、いつも私と朝を居てくれた。
コーヒー牛乳に目覚めてから15年。ついに私は今日で20歳を迎える。
そんな朝も、いつもと変わらない。コーヒー牛乳を1杯飲もう。
いや、今日はいっぱい飲もうかな。
冷蔵庫を開けると、コーヒー牛乳パックが、おはよう、と言っているように聞こえたのは気のせいだろうか。
私は、一人暮らしの家の中で、冷蔵庫に向かって、ニッコリと笑って、おはよう、と返した。傍から見ればおかしな光景でしょう。でもそうせずにはいられなかった。
20歳1日目の朝。
いつも通り、コーヒー牛乳を注ぐ。
私の、下手だけどもう見慣れた絵が描かれたコップに。
毎朝を支えてくれたコップに。
1口飲んだ。
おいしい。
今日も1日、がんばろうって気持ちになった。
そうだ、今日は父さん母さんに手紙を書こう。
普段の私ならガラでもないことだけど、今日は特別なことをしたい気分になったんだ。感謝の気持ちを素直に書いてみようと思った。
ありがとう、コーヒー牛乳。私を、こんな気持ちにさせてくれて。
父さん、母さん、そして、コーヒー牛乳。
20歳になるまで、ずっと見守ってくれてありがとう。
これからもよろしく。
涙が1滴混じったコーヒー牛乳を、今度は一気に飲み干す。
うん、おいしい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました




