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1:不死身の魔物

 月は欠け、存在を城内の小さな明かりに奪われる。一匹の魔物による計らいが失敗に終わり、敗者が城の廊下に跪き、地に頬がつくと上から声を浴びせられる。

「土地の権利書なんて、盗んだところでその土地にいきゃバレるだろうが」

「ハハハ!これだから魔物はバカと言われるんだ!」

 魔物の目も黒瞳すらなく、見上げながら睨む視線に弱々しさが帯びる。肌の色も人間に馴染みのない肌色で、人間にとって魔物の身体が単純な細胞で構成されているように感じられた。兵士は軽く笑うとそのまま容赦なく蹴りを入れる。二人の武装した兵士に対して、魔物は無力だった。

「んくっ……こ、殺すのか」

「当然だ」

「そんな……」

 二人の兵士にすら敗北したのは、奇妙な魔物だった。人の社会に馴染んだ布切れを纏いながらも、世界に居場所を見つけられなかった放浪者だ。

「嫌だ、せめて安楽死にしてくれ」

「現場での抹消は王様の命令だ。戸籍を消す。名は何だ」

「……。カイリですけど……」

 事務的にやり取りが終わると、流れ作業のように兵士が魔物の背中へと剣を突き立てる。そして問答無用で切り裂いた。

「ぐ、……や、め……俺だって、生きてるのに……! なんだ……この仕打ちは……」

 力なく悶え苦しみ、まるで食材のように刻まれていく。

 やがて動かなくなった体は翌日、なくなっていた。


――――


「死体が残らずに消えたというのは、言葉のままか?」

「ええミラード王。気が付いたら透明になり、そのまま消滅したとの事です。もうすぐ見えるかと」

 城内の大広間で話を聞く王が、朝食を済ませて仕事に付いた矢先に伝えられた。側にいる参謀が昨夜兵士が見た出来事を伝える。そこは小さな国アルバトラ王国。真新しい城内は白い石壁と床に、深紅の絨毯が敷かれている。

 淡々と話を聞き、頷く王に、メイドは目を奪われる。ミラード王は、その美しさ故に周りには人が集まり、リーダーとしての素養を身につけたほどだった。眩しい光と色鮮やかな影を帯びる金髪に深い紫の瞳。誰もが王を美しさと王の素質を誇りに思っていた。

「馬鹿な。死んで消滅とは、ゲームではあるまい……おっと」

 扉が開く。そこにいたのは都心や人里ではなかなか見掛けない人間離れをした姿だった。青年と思われる魔物は警戒して目を反らす。

「あんたが、呼び出した人ですね」

「礼儀正しくしなさい。王に無礼な――」

「いや、いい。急な呼び出しだったな。お前がカイリか」

「そうですけど」

 カイリは初めて見る王の姿に緊張していた。何よりも、先日盗みに入り、殺された。という事になっている。下手な事も出来ず、すっかり縮こまっていた。

「さすが二度目ともあって、城内の道は分かったようだな」

「……その、なんで俺を呼んだんですか」

「率直に聞くが、どうやってお前は生き帰った」

 ちらり、とカイリが王に目を合わせた。王は興味ありげな視線を向けたままだ。

「答えろと言っているんだ」

「どうやってもなにも、最初から死んでないだけですって……」

 カイリが親指の爪を人差し指に立てると、その指先が液体のように形を失う。おお、と驚きの声があがった。

「王。恐らく郊外で、魔物の進化が進んでいるのでしょう。単細胞の生き物……興味深いですね」

「ついに形状を変えられる知的生命が発生したか……」

 世界に適応する為に新たな種族が生まれ、そして消えていく。それは一般的な事だった。王は顎に指を当てて黙り混んだ。長考が終わるとフッと一笑した。

「よしカイリ。その能力を見込んで、仕事をくれてやろう」

 王の馬鹿にするような笑みに、カイリは嫌な顔をした。

「……俺なんかに渡す仕事はろくでもない話だろ。盗みか? それとも暗殺か?」

 この国はまだ小国で歴史は新しく、指導者の素質が試される国だった。この王が就任してまだ三ヶ月程度。これから、何でもやるような国にもなるか分からず、カイリは見下したような目を向けた。

「この国の兵士と共に、我が国の邪魔物を処分してきてほしい」

「つまりあんたの部下と?それはちょっと……」

「土地の権利を欲しがっていたな。あれを正式にやろう」

 急にカイリは黙った。そして小さくため息をつく。

「その言葉、嘘じゃないんですね」

「あぁ」

「権利、絶対ですからね」

 口約束を済ませると、すぐに背を向ける。思い悩むように立ち止まり振り返った。

「何かあるのか」

「……すぐ地位の低い魔物を殺す奴を、簡単に信用できない。それが本音だ」

 カイリは吐き捨てるように言う。そして王の返事を待たずに背を向けて歩き始めた。


――


「王様は超いい人なんだ! もっと相手を見抜けるようになれよ」

 夜中、明かりのない目的地への道中、ランプを各自持ち、道を照らして歩いていた。カイリの王への態度が悪いとの事で何度目かの説教だった。名も知れぬ標的が住む廃れた屋敷を前にしてなお、四人の兵士による王自慢が続いている。カイリはうんざりしながら扉を開け、適当に返事をする。城に人気はないが、何かがいるというただならぬ雰囲気を魔物のカイリですら感じ取っていた。

「家族を大事に生活させてくれるし、何かあると休ませてくれる」

「……そうなんですか」

「王様なのに部下の代わりに仕事される時もあるんだ。こんな立派な方、普通の国にはいないよな?」

「はぁ……」

 誉められているのはカイリにとっては暴虐な王でしかなかった。嫌になり、とうとう静かに立ち止まった。

「……でも、一方で俺みたいな魔物を道具のような扱いをしているじゃないか」

「だってお前、どうせ死なないんだろ」

「……どうせって、何だ」

「便利だからな。いくらでも無茶出来るんだから」

 カイリは無言になった。そして近くの男のそばに立ち、胸ぐらを掴んでいた。後から追って激しい怒りがこみ上げている。

「お前、分かったようなこと言うなよ……! 何が無茶出来るからだ! お前がやって――」

「静かにしろ化け物! 敵陣の中だぞ!」

「ずっとうるさいのは、あんたたちの方だろ!」

 カイリの罵声は少しの間、反響した。やがて静まり返る。何やら兵士たちが周囲を警戒するようにきょろきょろと目線を配っている。つられてカイリも黙りこむと、カラカラという乾いた音が聞こえてきた。暗い城に小さな生き物。虫の動く音かとも思ったが、それは違う。

「人間の……ず、頭蓋骨が浮いてる」

「何てこった、見ちまった……。こんな生き物実際にいるって分かったら、夜中怖くて仕方なくなるぞ……」

 五人とも後ずさりをしながら、同じような事を考えていた。髑髏はゆっくりと近くまで転がった。油断していた時、それは一気に飛び掛かってきた。顎を大きく開いて噛みつく。その先は一番近くにいた魔物へ。

「うわあぁ! いってぇ! 気持ち悪いんだよ!」

 手で振り払うも髑髏が離れず、カイリはパニックになる。どうする事も出来ずに顔を反らして転がった。突如、ガン! という音がなり、痛みが引く。

「……あ?」

「大丈夫か、カイリ!」

 助けたのは、先程まで王を崇拝し、カイリに非を押し付けていた人間の兵士たちだった。それが今、得体の知れない敵から守ってくれている。この事態に魔物は混乱せずにはいられなかった。

「あんたたち、助けてくれたのか……?」

「いくら変なやつでも、戦いの時ばかりはな! ほら、早く構えろ! 戦えるんだろ!」

 カイリにとって、初めて異人種との共闘だった。無言のまま、腰に下げた鞘から短剣をゆっくりと引き抜く。

「さっきは悪かったな。無茶出来るとか言ってよ。やっぱ痛いもんは嫌だよな」

「別に、そんな」

「ごめんな?」

「いや、そんな大袈裟に寄らなくても、分かったから……」

 まるで芝居のように身振りが混じり謝られる。カイリはやりづらくなり、目を反らした。

「……か、感謝する」

 手に握ったナイフを敵に向ける。そして一歩を強く踏み込み、人間たちとの戦線に駆け出した。


――――


 人間との共闘は息も合い、カイリの人間に対する不信感も薄れていた。大きな扉。屋敷の一番奥にある部屋だった。

「あぁ。ここから先へは行けない。命令だ」

「そういやそうだったな。大広間には行くなだっけ」

 カイリは一瞬、「不死身だから安心してくれ」と言いかけて止まる。何故なら指揮官はあの王様だからだ。何かが怪しい。

「あんたら……本当にあの王から何も聞かされてないんだよな?」

「も、もちろんだろ! 余計な事で疑心暗鬼になってると死ぬかもしれないぞ!」

 兵士は露骨に動揺している。カイリはじっと荒んだ目付きで見つめた。だが自分はどうせ不死身だ。そう覚悟して扉を一人で開いた。

(今度はどんな目に合うんだろうな……もう考えるのも嫌だし、いいか)

 真っ暗な中に、あたかも通行人のように堂々と進んでいく。その大きな部屋は屋敷の舞踏会でも行うような、一番広い部屋だった。


 月明かりすらもカーテンに遮られる闇の部屋。何もないはずがただならぬ気配を感じていた。強い視線を受けている。何かが確かにそこにいた。ここで怖気づいた素振りをしてはいけない、と思い、キッと目つきを鋭く空を睨みつけた。

「……出てこいよ。俺だって姿を見せてるんだしさ」

 堂々と取り繕うが、声が震えている。恐怖を隠しきれていなかった。手足の震えをごまかすべく、床にランプを置く。視線をランプから急いで前へ向けると、暗い空間の中に、さらに黒いうごめく物体が浮かびあがっていた。

(うわ、また嫌なもの見てしまった……)

 それはゆっくりと姿を確かにしていた。漂う黒い布はある程度まとまっている。ゆっくりと一部が斜め上へ長く伸びた。それは鉄の色に代わり大きな鎌となる。その正体を理解し、カイリの表情が驚愕の色を帯びる。

「あんた、死神か……?」

「やれやれ。また、新しい魔物か」

 問いかけを気にもせずに呟かれる。カイリはしっかりとその姿を目にする。それは髑髏の顔に黒い衣。どう見ても死神だった。

「いや。死神なんて孤高なものではない。魂を食らう魔物。お前の同族だ」

 この生き物は死者の魂を糧に生きる魔物だった。いきなりハードルが高い。勝てる見込みがない。わなわなと手を握るも、言葉を失った。

「あの王も罪な事をしおる。生け贄のつもりか」

 王。そう聞いたカイリの脳裏に、嫌な予感が掠めた。

(まさか、俺はあの王に捨て駒にされた……?)

 疑いようのない答えに、青ざめていく。

「まぁ、奴が何を考えているのかは興味もないがな」

 嘲笑う死神。油断しきっている。カイリの脳裏に、良からぬ考えがよぎった。もしかしたら。今ならばいけるかもしれない。住む場所が出来るかもしれない、と。

「和解しようって。人殺しなんてやめてさ……」

 カイリは背中でこっそりとナイフに手をかける。もう片方の手を上げ、ゆっくりと歩いて近づいていく。鎌を除けば所詮、布切れにしか見えなくなっていた。

「人殺しではない。私は生きる為に殺めるのだ。人の行う狩猟のようにな。分かるか?」

「あぁ。そうか。大変だよな」

「今、お前が王の取引に目が眩み、私を殺めようとしているのと同じようにな」

 計画がバレた。と同時に、王という言葉を聞き、カイリの神経は一気に逆立った。

「な、んで……!? あんた、あの王と手を組んでいたのか!?」

「手を組んでいる訳ではない。前の前の……いつかの魔物が、生活と引き換えにと命乞いをしおった。その次も聞くと、同じように王からの差し金だと聞く」

「な、なんだ……って、何を!?」

 僅かに安心した矢先、すでに先手を打たれていた。大鎌が振り回され、咄嗟に一歩引いたカイリの鼻の先を掠める。カイリが足元に置いていたガラスのランプに、やり過ぎとも言える力で一気に粉砕する。

「今は魂を得る必要はない。生かしておいてもいいが」

 死神は言いながら静かに鎌を構えた。


(しまった、目が……)

 暗くなった廃墟に、目が慣れないカイリは再び一歩後ずさりする。

「だが、お前が私を狩るというのならば話は別だ」

(やばい、帰りたくなってきた……こんな変なやつ関わりたくないのに)

 カイリはイライラして指で手のひらをなぞりながら、戦いを止めようとする。人の為などと聞き覚えのある綺麗事を言うも、「生きる為に」という正論に勝てない。だがそれはカイリ自身も同じだった。

「助けてくれないか。……俺だって生活がある。死にたくないんだよ」

 不利な状況下で命乞いをする事に抵抗はない。ろくな事のない生活では、意地や誇りなど保てるはずのなかった。

「ならば去れ。どこかで野良犬のように、誰にも頼らず逃げ隠れて暮らせ。誰にも迷惑は掛からん」

「そんな風になるんだったら、あんたを傷つける方がマシだ」

「まったく、この魔物は……」

 言いながらカイリは飛び掛かった。

(一撃でも食らったらアウトだよな……)

 時間を稼ぎ、視界が開けた。うっすらと月明りに照らされる大きな鎌は、恐怖感を引き立てる。だが重さゆえか動きが遅い。よほど相手のペースにのまれない限り負けないだろうと踏んだ。内心で勝負に出てよかったと嘲笑する。カイリは身軽ではある為、何度か相手の攻撃を見切り、癖を見極める。

「おい、こんな戦い方でどうやったら魔物の魂を餌にできるってんだ?」

「知りたければ、今から教えてやろう」

 黒い布切れが引きちぎられて散り散りになるように大鎌が消えた。周囲に布切れが舞う。カイリにとってはかつて見た事のない攻撃だった。

(なんだ、これは……。まずい)

こうなっては後手に回るわけにはいかず、ナイフで切りつけた。あっさりと、布を切り裂く手応えがあった。

「やっぱりあんたは所詮、魔物だ!」

 倒した。そう思った瞬間、低く呟くような声がした。

「油断したな」

 急な背後からの不意打ちに、カイリの思考は追いつかなかった。

「嘘だろ……」

「全く、哀れな魂め。無駄にする訳にもいかん。覚悟しておけ」

「……こんな、攻撃で」

「言い訳など死の前では無意味だ」

 恐怖の言葉に悲鳴をあげた。魂を取られると、不死身のカイリにすらどうなるのか分からなかった。俺の人生は終わるかもしれない。だが、もしかしたら。そんな逃避も兼ねた思考で、次の瞬間を待った。


「ぅあぁあぁあ!!」


 胴体に一線、神経が焼千切れるような激痛が走った。なれることのない痛みに、カイリは喉が割れるほどの絶叫を発した。

「おや、おかしいな……なんだこれは」

 朦朧とする中、死神の声を聞いた。見ると出血は確かにある、カイリにとっていつもの光景だった。だが死神は動揺していた。

「魂が出てこないな。傷が浅いという事か? いやこれだけの傷でそんなはずは……」

「何……し、やがる、んだ……!」

「どうなったんだカイリ……ってわあぁ!?」

 兵士の声が聞こえると同時に、死神は弄んでいた布が一カ所にまとまる。僅かに驚いたそぶりを見せた。目が暗闇に慣れたカイリは、素早くナイフを往復させて牽制する。鈍った動きは体に大きな損傷があることを示している。

「っ……」

 また死神の布を切り裂いたかと思いきや、急に実体に刺さったような手ごたえを感じた。カイリは兵士の持っていた物を見た。

「そうか、ランプ……光か。あんた、明るいところだと……、戦えないんだろ」

「ご名答」

「じゃあこれで五分五分だ。……もう決着が、つかない……、お前、もうこの国の外に出ていけっ……く」

「私の居場所が変わるだけでは、何も解決せんぞ」

「……いいんだよ! 目先の事、だけ解決すれば!」

 ゼェゼェと荒い呼吸のまま返事をする。痛みに神経が高ぶり、意識が低下していた。

「……戻って来てくれて、どうもな。……・おい他の兵士ども、いるんだろ……、早く来てくれ」

 扉の外から、中へ入り、兵士が全員揃う。逃げないかを監視し、結果を伝えるためだった。

「これで解決しただろ。……俺を連れて帰ってくれ」

 兵士は死神を前に構える。ランプを命綱のように握りしめる手はカタカタと震えていた。やがて死神が窓の外へ姿を消す。カイリはそれを目端に見届けると、ゆっくりと瞼を閉じた。


――


 数日後、カイリは後悔していた。

「素晴らしい働きだったぞ。これでまた、犠牲者を手配する手間が消えた」

「やっぱりあんたを信用したのが間違いだった。もう俺を囮にするのはやめれくれないか」

「そういうな。家で暮らすのなら、税金が掛かる。それは理解しているな?」

 この国民は皆払っている、と念を押されるとカイリは黙り込むしかできなかった。

「今後も同じような仕事をすれば住み続けられる。同じ土地で暮らしたいという安定志向の魔物にはふさわしい」

「詐欺みたいな事してるよな、それ」

「ふん。切られても死なないのだろう。珍しい能力だ。利用価値は高いな」

 冷笑すると、ミラード王は颯爽と背を向けて去っていった。カイリは小さくため息をつく。

「切られても死なないからって、ここの王はスライムやゴーストの存在も知らないのか」

 外の世界には、死なない魔物を数種類カイリは知っていた。

後書きに学んだことをメモしてあります。

今回は結果を考えてからそれまでの話を組み立てる練習をしてました。

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