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灯の在り処。  作者: 咲留
紅一点だからって逆ハーレムになるとは限らない
14/19

5

「こっここここ近藤いいい勇ぃぃぃぃ…さん!?」



何だか若い感じがするけれど、間違いなく写真で見たことがある近藤勇(こんどういさみ)だ。

顎が外れそうなくらいに口を開き、恐らく…いや、確実に近藤勇であろう人を見る。


「なんだ?私の名を知っているのか?」



しまったぁぁぁぁ!!

黙っとけばいいのに…あまりの衝撃で思わず声に出しちゃった!

ウルトラスーパー怪しい女だよね!私!


あわあわしながら土方さんの方を見ると、私の頭をポンポンと撫でてから代弁してくれた。



「俺がこの野良猫にあんたの名前を教えてやったんだ」



神様仏様土方歳三様ぁぁぁ!!

本当なら土方さんだって不思議に思っているはずなのに、フォローいれてくれたよぉぉぉ!!!


って…やっぱり土方さん、何か知ってるよね?ね?


怪しいから斬ってやるー

きゃーやめてぇー

的な展開になってもおかしくないはずなのに!



「そうかい。歳は仕事が速いな。まあ座りなさい」


「しっ失礼します……」



土方さんの言葉は簡単に信じるようで、近藤さんは私を疑わなかった。

強い信頼関係があるんだなあ。きっと。


私は近藤さんの前に座り、私の隣に土方さんが胡座をかいた。



「歳には猫と呼ばれているようだが、君は猫という名前なのか?」


「いえ!私は安藤結菜と申します!猫っていうのは何故か土方さんがそう呼ぶんです」



ふう…危ない危ない。

猫って名前のまま定着されたら困るからね!



「字はどう書くんだ?」


「えっと‥結ぶに菜っぱの菜で、結菜です」


「ほう。可愛らしい名前だな」



近藤さんが柔らかく笑うと、胸がほかほかする。

自分の名前を褒められたら、誰だって嬉しいものだ。


新選組の一番上の立場の人がこんなに温かい人ってことは、やっぱり新選組はただの人斬り集団とは違う…のかな?


もしも私が携帯を持っていたら、美幸に写メ送ってあげたい。

美幸は近藤勇が大好きだから。


本当に後悔している。

携帯や財布を入れた鞄は、光が強くて驚いていた時に落としてしまった。


だから今の私は何も持っていないのだ。

携帯…平成っ子、携帯依存症に近い私が、携帯なしで生活できるのか!?


は!もうそんなことはどうでもいい!

信じ難いけどこの時代に来ちゃった今、携帯という存在を頭の中から抹消しよう。



「あのっ!安藤早ぐべぇぇぇ!?」



女として終わってるような悲鳴をあげながら、私は額を畳に打ち付けた。

突然後ろから誰かが飛び付いてきたんだけどぉぉ!?

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