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安藤早太郎について聞いてみたい。
でも、正直まだタイムスリップしたなんて信じられないし、不安と恐怖の感情が強い。
英雄っぽく書かれている一方で、彼らはたくさんの人を殺す人斬り集団だったとも言われてるし…。
隙を見て逃げるのが正解なんじゃないか…でも助けてくれたのもまた事実。
んあああどうしたらいいんだ!
「猫さん大丈夫ですよ~。私たちは今は貴方に何かをするつもりはありませんから」
にこにこと笑いながら言う沖田さん。
安心できないしつっこみたい言葉なんですけど!?なんでナチュラルに猫さんって呼んでるの!?
中途半端に新選組の知識があるからどうしても警戒してしまう。
いっそ何も知らなかった方がよかったんじゃ…。
なるべく三人と目を合わせないようにしていたら、島田さんが戻ってきた。
手には涼しげな水色の着物。
「お待たせしました!頂いてきましたよ」
それは私に差し出された。
…えっそれ私が着るの!?
「その襦袢みたいな着物は駄目だ。これに着替えろ」
襦袢…といえば、着物の下に着るいわゆる下着のこと。
たしかにワンピースは薄いかもしれないけど…。
着物なんてほとんど着たことない。おばあちゃんの影響か、着付けはできる。
でも歩きにくいし色々やりにくいし、全力で拒否したいんだけどぉぉぉぉ!?
「オラ、お前らは出てけ。今から着替えるんだからよ」
土方さんの指示で、三人はぞろぞろと部屋から出ていく。
‥‥‥ん?
この人は出ていかないのか?
島田さんから着物を受けとった土方さんは、それを畳に広げる。
それをじっと見ていて、出ていく気配がないんだけど。
「…あの、土方さんは何故出ていってくれないんですか?」
「あ?着せてやろうと思」
「自分で着れるので出ていって下さいぃぃ!」
全力で即効で拒否!!
土方さんみたいなイケメンに着替えさせてもらえるなんてきゃっ嬉しい!
なーんて思えるかぁぁぁ!
そりゃあ美幸だったら鼻血がブーッ!と出て喜んで!とか言うんだろうけどさ‥。
「着れるのか?じゃあなんで着物着てねえんだよ?」
「うっ…」
確かに…着物が着れるのなら、何故着ないのか。
そう問われるのは当たり前だ。
着物だと動きにくいから?
いや駄目だ!この時代の日本人は着物が普通なんだから、そんなこと思わないだろう。
着物が似合わないから?
これも通用しない!まあ…だからって別にワンピースが似合うわけじゃ…あ、言ってて悲しくなってきた。
うわぁぁぁあなんてごまかしたらいいの!?脳みそが働かない!
私が悶えていると、土方さんは耳を疑う発言をしてきた。