『未来から来た協力隊員~100年前の農業』
00.はじめに
「僕は過去にタイムスリップしたんじゃなかろうか
100年前の農業って、こんな感じなんじゃないか」
~ケニア、モンバサの町にて
01.『未来から来た協力隊員~100年前の農業』 作:歳三
100年後の未来のセカイから、ある協力隊員が、とある村へタイムスリップしてきた
彼の職種は、農業であった
彼は、未来のセカイの農業のプロとして、この村の要請に従い、派遣された
彼の任務は、この村の農業を発展させることにある
☆
彼のいた未来のセカイの農業は、
機械で作業が行われ、
化学的に調合された栄養剤と、
野菜の健康状態と保つための薬が使用されていた
彼は早速、村の人に未来の農業を伝えようとした
☆
けれども、100年前のセカイのこの村には、機械も、栄養剤も、薬も、全く無かった
これでは、未来の農業をこの村の人に伝えることが出来ないじゃないか
彼は、考えた
☆
そうか、未来の農業をするためには、未来の道具が必要なのか
このセカイには未来の農業がないのだから、未来の道具も無いのだろう
このセカイにあるものを使って、未来の道具を代用するものを考えよう
「無ければ、作ればいいのだ。」
☆
けれども、途中で彼は気づいた
100年前のセカイの村の人には、
未来の道具を使用するための技術、知識、習慣を持っていなかったのだ
これでは、未来の道具の代用したものをこの村で伝えても、
村の人がその道具を理解して、使うことが出来ないじゃないか
彼は、また考えた
☆
そうか、未来の道具を使うためには、未来の知識、技術、習慣が必要なのか
このセカイには、未来の道具がないのだから、
その道具を使うための知識を得る機会も、得る必要もないのだ
100年後の未来のセカイから来た協力隊員にとって
このセカイの農業は無肥料、無農薬、無潅水の遅れた農業、過去の農業に見えていた
しかし、これが彼らの気候、文化、習慣に合ったものであり、
彼らの農業スタイルだったのだ
「無いなら、無いなりにすればいいのだ。」
☆
そこで、彼は、
彼らの技術の範囲内出来る、
かつ、彼らの気候・文化・習慣に合う有益な野菜を求め始めた
自ら、鍬で畑を耕し、種を撒き、彼らの農業スタイルを実践した
☆
そして、ようやく、
村の人にとって有益な野菜栽培技術を考えることができた
☆
彼は、村の人に聞いてみた
「未来の知識を使い、未来の農業をしますか
それとも、
現在の知識を使い、現在の農業をしますか」
すると、村の人は答えた
つづく ☆
03.おわりに
青年海外協力隊に参加したいあなたへ
一つ、質問しますね。
「もしも、
あなたが伝えたいことと、
あなたに伝えてほしいことが、違ったとき、
あなたは、どちらを選択することができますか」
この質問の答えが、分かったときは、僕に教えてください。