グロリオサ 2
「ああ、行っておいで」
軽っ!? とか思っちゃダメよ。花人はいずれ花園を旅立つもの。新天地で咲き誇るこそ花人の使命なのよ。
……まあ、ほぼ全滅しちゃうそうだけどね……。
だいたいにして花人は弱い生命体(?)で、環境に適することが苦手と来てる。そんなハウス栽培された生命体(?)が厳しい環境で生きれる訳もなく、花園を創るなど滅多にないと、園長様が申されてました。ちなみに園長様は、初代様に聞いたそうですよ。
「んじゃ、いってきま~す」
あんたも軽っ! とか言っちゃダメよ。地味な花は打たれ強く生命力に溢れて、どこにでも咲ける花なのよ。
そこ、雑草って言ったらぶっ殺すわよ。花には花のプライドがあるんだからね。
一旦、バンガローへと戻り、これまで出したアイテムをボックスへと仕舞い、最後にバンガローを仕舞った。
「カナコが戻って来るまで暇ね」
花人にお茶やお菓子を飲んだり食べたりする機能はなく、タバコと言ったものも吸えないこの体が憎いわよね、まったく。
「ん~。新しい旅路だし、ニュー装備にしようかしら?」
今は一五〇〇ゴールドで買える乙女の革鎧にレアアイテムの風のマント、最速の靴、魔防の首飾り、魔力上昇のティアラ、剛腕の腕輪×2、そして、課金アイテムのハヤフザの剣を両腰に差している。
過剰と思わなくはないけど、なにが起こるかわからない世界。油断して死ぬなんて嫌だからね、念には念をで装備してるのよ。
「戦士系は充分楽しんだし、魔法使い系をやってみようかしら」
この体は勇者系で魔法使い系ではないけど、魔法の杖は各種揃ってるし、魔法の指輪を嵌めたら戦術の幅は広がる。
「魔法少女とかもいいわね」
精神年齢は……そんなに高くもありませんし、見た目も十五歳くらい。少女と明言しても誰からも石は投げられまい。
うん。では、魔法少女系で行きましょう。
と、言ってもフリルのドレスを着る勇気はないので、オーソドックスな魔女のドレスに魔女の帽子。魔女のマント。各種魔法の指輪を嵌め、氷系魔法の杖、白銀の杖を装備した。
「そして、魔法の箒で完了よ」
……と言うか、魔法って便利な言葉だな、おい……。
魔法の箒に跨がり……うん、無理。バランス取れねーよ。よく乗れるわね、魔女って。
「魔法の箒、封印」
冒険の序盤で空を飛ぶアイテムは邪道よね。まずは歩いて旅立ちましょう。
「ただいま……って、どうしたのよ、それ?」
カナコさんがお戻りになり、あたしのニュー装備に目を丸くしていた。
「ちょっと気分転換にね、装備を変えたのよ。カナコも変える?」
カナコの装備は竜騎士スタイル。この娘、意外と前衛タイプなのよね。あ、あたしは、オールマイティーです。
「そうね。それもいいかも」
槍に拘りはないようで、あたしの提案に直ぐに乗って来た。
「なににする? 今度は剣にする?」
前に二刀流もいいかもと言ってたし。
「ガンナーやってみたいかも。前にチャコがやってた連射できるやつがいいな」
なんとも意表を突いてきたわね。
「制限ある武器だし、装備するとなると重いわよ」
まあ、身体能力上昇のアイテムがあるから、そんなに支障はないと思うけど、槍のように切った張ったはできないよ。
「構わないわ。制限があるのも楽しそうだしね」
ほ~。ゲーマー魂が生まれて来たじゃない。うん、任せなさい。いい感じにコーディネートしてあげるわ。
まず、タクティカルセーラー(イベントアイテムです)にタクティカルベスト。スーツに腰にはガンベルト。タクティカルブーツ。主武装としてCⅡナイン(近未来小銃です)を渡した。
「まだ撃っちゃダメよ。花園を出てからだからね」
さすがに花園に硝煙を撒き散らすのは気が引けるしね。
「わかってるわよ。で、もう行くの? わたしはいつでもいいわよ」
「なら、出発しましょうか。あたしもこの装備を慣らしたいからまずは狩場へ行きましょう」
まあ、電気ネズミや岩トカゲしかいない、ショボい狩場だけど、慣らすにはちょうどいいところである。
では、レッツゴー!