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「あ、ミスコン始まるんだ」

 勢いよく立ち上がると、わざと声をはしゃがせて中庭をのぞく。上から見ると、テントの内側に出待ちをしている人たちが見えた。みんな、それぞれに着飾っている。へー、男子からなんだ。

 ミスコンは、ミス鷹ノ森とミスター鷹ノ森、二つの意味を持つ。


「うちのクラス、法ちゃんと小野君だっけ? いるかな」

「いるいる。あそこ。まだ出番じゃないみたいだけど」

 隣に立って同じように覗き込んだ宮本に、こっそりと視線を移す。その顔はいつもの宮本に戻っていた。ほっとする。


 何を、言おうとしたの?

 まだ、聞きたくない。まだ、こうして隣にいたい。真剣な宮本の顔が、なんだか今は、怖い。

 あ、まずい。泣きそう。

「さーて、後輩たちに活をいれにいきますか」

 なるべく明るく言って、階段へと向かう。後ろからついてくる宮本の気配がした。

「ん。行くか」


  ☆


「わあ、みちる、きれいい」

 そうして、文化祭最終日。

 日が落ちた中庭は、ライトアップされて人が集まり始めていた。これから、生徒会主催のダンスパーティーがあるのだ。ドレスアップあり、仮装ありで、いろんな曲で好きに踊りまくる。有志の参加だけど、生徒のほとんどが参加する、文化祭最大のイベントだ。

 私たちのいる女子更衣室も、すでに支度を終えた者、これから支度する者、入り乱れて混雑していた。私たちは、最後の文化祭でもあるし、今年はめっちゃドレスアップすることした。


「ねえ、ほんとに私、大丈夫かなあ」

 私も着替えたはいいけど、ひらひらしたスカートに足元が心もとない。

「だいじょおぶよお。みちる、足きれいだから、すっごい似あうう。やっぱり間違ってなかったわあああ」

 由加里の目がハートになってる。あー、こうなった由加里は止められないわ。


 私が着てるのは、真紅のシフォンミニスカート。ホルタ―ネックで、後ろで大きく結び目を作ってある。由加里はピンクのバルーンドレス。チューブトップが胸の大きい由加里によく似合っている。

「さ、そこ座ってえ。仕上げよ」

 そういって由加里は、バニティーボックスをあけた。それでも、一応抵抗はしてみる。


「いいよお。化粧なんて。似合わないって、絶対」

「何言ってるのお。ばっちりきれいにしてあげるからねえ」

 ふっふっふとほくそ笑む由加里に、あきらめて用意された椅子にすわる。

「支度、終わった?」

 人込みをかき分けて、すでに着替え終わっていた莉奈が私たちのところへやってくる。


 莉奈は、濃い青のロングドレス。背中に長めのフリルがついていて、動くたびにふわふわするのがかわいい。そのドレスに合わせて、真っ青なロングのウィッグをつけている。莉奈も由加里にメイクアップされて、息をのむような美人に仕上がっていた。

 ちなみに私はショートヘアだけど、メイクする前に由加里に赤いメッシュを入れられていた。莉奈の発案で、3人とも、ドレスに合わせた色に髪を染めているのだ。


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