謎のゲーム
『わわわ!とうっ!!』
鋭く早い魔王の一撃を紙一重でかわす勇者。
それを薄暗い部屋でモニター越しに観戦している僕葉月芽萌はギリギリでかわした勇者に怒鳴りつける。
「てめぇ!危なげなくよけれねぇのかよ!!」
僕は別に独り言を喋ってるわけではない。
『ご、ごめん!でもそっちだってしっかりアドバイスしてくれないじゃん!』
耳に付けてあるヘッドホンから勇者の弱々しい声がする。
「るっせぇ!僕は最低限の事は言ってるだろ!てか、そんな事より前見ろ前!」
『ううわ!ひ、光よ!』
魔王から放たれた闇魔法を勇者は聖魔法で相殺した。
『メモ!やったよ!』
「そんな事いいからさっさと殺れ!!」
『わかってる!よっ!!』
剣を引き抜き勇者は魔王に向かって行った。
僕はゲームが大好きな小学校5年生!
自分で言うのもなんだが、僕はゲームが兎に角上手い世界ランク一桁に入るゲームだって幾つもある。
だからゲームはやめられない!
あ、ちゃんと学校は行ってるからね!義務教育だもの!
FPS、アクション、アドベンチャー、ギャルゲー、シュミレーション、僕はとにかく僕はゲームが好きだ!けど嫌いなゲームが一つある。
そう…RPGだ!
僕には理解が出来ない!あんなチマチマレベリング上げて何が楽しい?
魔王をいじめて何が楽しい?
死亡フラグしか立たないゲームの何が楽しい?
ほんと大嫌いだ!
そんな僕の見た事がないハードが自分の部屋に置いてあった。
…学校に行く前は無く帰って来た時にあったって事は行ってる間に誰かが入ったって事か
ハードの側には小さなチップ、マイク付きのヘッドホン、ぶ厚い本と契約書と書かれた紙が一枚
【契約したら辞められないそれがルール
破ったら貴方の大切なものが無くなるそれでも】
紙の下には【しますか?】【しませんか?】
の文字
僕は当然【しますか?】に丸を付けた
なんであろうと手に入れたゲームはやるそれがゲーマーの心得だ。
…母さんがくれたのかな?
そんな疑問が心に残るがハードの包みを開ける。
「セッティング完了!」
ハードは少し小さめのキュウブ型そこに小さなチップを差し込む、テレビの電源付けハードも付ける。
画面が明るくなりNOW LOADINGの文字
数秒経っても画面が動かないのでぶ厚い本を開いて見た。
「うわぁ……」
それは攻略本だった…
基本僕はこんな本は、使わない。
ゲームが面白く無くなると言う人もいるが
僕はそう思わない。僕が使わないのは必要がないからだ。ただそれだけの事だ。
まあ、あるからには使ってみようと思う。
どうやらこのゲームはRPGのようだ。
くそっ…よりにもよってRPGだと……
内容的には魔王を倒すシンプルなゲーム。
だがこのゲームは少しおかしい事があった…
…魔王の数が多すぎる
全部で72体!…マジ多すぎる!
本には名前、弱点、魔王の使う技など後はMOB達の情報、武器などなど
適当に目を通す。
最後のページにはわけのわからない文字が書いてあった。
【勇者は死んでも生き返るが貴方の大切なものが無くなります】
…?
わけがわからん
テレビに目を戻すとキャラ設定の画面だった
「あれ?コントローラーは?」
独り言を言ってもコントローラーはどこにもない。
するとテレビに『ヘッドホンを付けてください』という文字が現れた。
従う他無かったので付けてみる。
耳を包む感覚が何とも言えない。
これなら、ずっとつけていられそうだ。
ヘッドホンからはBGMが流れている。
そして声もきこえる。
『操作は声に出してどうぞマイクが拾い解析しその通りに動きます』
…すごいな…
半信半疑で操作を続ける
先ず名前だ、僕はどんなゲームにも名前を《シンク》とする。
これは僕のゲームの師匠から授かった名前だ
由来はわからないけど…
それにシンクにしておけば、他のゲームでフレだったゲーマー達は違うゲームでも僕にフレンド更新をして来る。
それもトッププレイヤー達がな!!
…なぜかって?それは…僕もトッププレイヤーだからだよ!!
まあいいや…
僕は名前を口にだして言った
するとゲーム画面にシンクと打ち込まれた。
またまた画面は動いて
次は容姿の設定だ。
このゲームでは、『髪の色は』と聞かれたら「黒」とか言えば髪の毛が黒く染まったり
『背の高さ』と聞かれたら「少し低め」と返すと想像どうりの背丈になる。
僕のキャラは黒髪に目は真紅で穏やかな眼つき、顔は少し小さめのにした。
背は低くして、横は細めにして見た目は地味でもなく派手でもない容姿にしておく。
大体のゲームではこんな感じだ。
後は性格を設定した。
普段は穏やかで戦いになると強気になる
こんな細かい設定も出来てしまう。
最後に声の設定はアルトボイスにした。
文明の利器マジすげえ!
画面が暗くなり…突然急な発光が起きた、瞬きした瞬間そこは白いフィールドに立っていた・・・
そして僕の前には黒髪に真紅の目をした少年と見た事のないおっさんがいた