落ち着いたところで
城に戻ったら夜になっていた。
前より明るいような?ふと、見上げると・・・
ここに来た時に見たでこぼこだった月は無く、丸い月が・・
「はへ?い・・5つ?」
素っ頓狂な声が出てしまっていた。
でこぼこに見えたのは聞いてみると5つの月が重なっていたらしい。
そのまま見上げているとコナがやってきて、ちょこんと隣に座る。
「こんばんは、明日からどうなさいます?」
「こんばんは、そうですね。何もしないわけもいきませんし装備も借りれましたからダンジョンに行ってみます。」
「そうですか。」
「そうだ。聞いてみたかったのですが?」
「なんでしょう?」
「初めて会った時に、魔法道具がすぐに出てきましたね。いつも準備しているものなのですか?それとも・・・」
「いえ、予測して準備していたのです。」
「召喚された訳では無いと聞いてますが、予測できるのですか?」
「私は30回くらい夜に他人に操られた様な事があるようなのです。
いずれも、ただ城を見て回っただけのようなのですが、月が重なった時のみに起きていたようです。」
「月が重なった時?俺が来た時の様に1つに?」
「いえ、1つに重なることはさすがに滅多にありません。
その滅多にないことになる事で特別なとこが起こると思っていたのです。」
「そういや、地球でも満月の晩は物語でとかだけど、魔法使いや魔女が何かするにはよく出る場面だったなぁ。」
「貴方の居た世界でも、魔法使いが居たのですか?」
「解らない。
本や物語には出てくるけど、実際に魔法を使った場面に出くわすことはなかったよ。」
「そうですか。」
「うん、それで特別な事って?」
「あ、はい。
これと言ってどうなるとはっきり解っていた訳ではないのですが、呪いや悪魔憑きではなかったみたいで人と繋がっているのだろうと感覚的に思っていたのです。
貴方が、この世界にいらした時に確信しました。
本当に繋がっていたのだと。」
「え?」
「たぶん、貴方の固有スキル、鎖は人と繋ぐ能力がありますよ。
普通のスキルは技である為に物の名前が付く事はありませんから。」
「俺と姫様が繋がっていたと?」
「はい、思い当たることがありませんか?」
「ん~・・・・・・・・もしかして、姫様の従者は、あっ、付き人でしたっけ?」
「どちらでも。」
「アルさんとアミさんですか?」
「はい。」
ここでにっこり笑う姫様。
うは、可愛い。えっと、美少女に面と向かって笑って貰えただけでこんなになるとは・・
この年まで彼女も居なかった俺には・・・すっげぇ、破壊力だ・・・
年甲斐も無い反応をしているな、今。
「うわぁ・・夢だと思ってた。
と言うか、ここに来る前は夢の中だった。」
「そうだったのですね。」
「姫にはなってないけど・・夢の中に来てしまうとはなぁ。」
こうして夜が更けていく。
文字通り裸一貫で来てしまったのだ。
今後に必要なのは生きてく為の力を改めて磨かにゃならんって事か。
就職しなおした気分だよ・・・
覚えなきゃいけないことが多いなぁ。
また、混乱しそう・・
7/10 微訂正




