食堂で
食堂行って、結構ごった返してた。
こうして見ると・・うん、俺は落ち着いたつもりで余裕無かったんだな。
周りをよく見て無かった。
毛のふさふさした人に、鱗のある人、カブトムシやクワガタムシの様な角のある人、羽根のある人に、ちっこくって頭は毛むくじゃらな人。
いろんな人たちが居たんだな?
シルリーはそこそこ大きく草を食べるのでダンジョンの近くで待たせることになってる。
が・・残りは部屋に居る。
あいつらドンだけ食うかな?
とりあえず、食えれば良いか?と、パンと肉の一番安いものにする。
蜜球つければ良いと思ってね。
持ち込みも有りの様だし。
ここではお酒を出してないのにもう出来上がってる人たちが居た。
良い収穫でもあったのかな?
ウエイトレスのお姉さんも美人だね。
だからこそちょっかいかけられて大変そうだ。
止めなければいけないまでひどくは無いようだけど。
その美人のウエイトレスさんが持ってきてくれた。
やっと、俺のができたか。
パンもできたてだった。
その分柔らかいようだが、やっぱり硬い・・蜜球を出して付けようとして・・・
ガシっと手を摑まれた。(ついでに周りの男たちに睨まれた。俺が握ったんじゃないのに・・・看板娘の様だなぁ?)
さっきのウエイトレスさん、別の人の料理持ったままだよ・・溢すなよ?
何事かと思ったが、蜜球が欲しいようだ。
「先に持っていきなよ?」
「あ、そうでした。」
「おそいよぅ~。」
「ごめんなさい。」
ゆっくりもきゅもきゅしてたが、食べ終わっても忙しそうだった。
帰ってきた時にやり取りした厨房に向かってみる。
小麦粉と塩を分けて貰った。
後、部屋で待ってるやつら用に生肉を。
イースト菌とか入手できてるわけじゃないからどこまで行けるか解らんが・・・最初は忘れて放置したパン生地を焼いたのが確か柔らかいパンの始りじゃなかったっけな?試すことにする。
テンポが変わってゆっくりになってきたので厨房の人と話をする。
魔物の肉は強くなり易くなると人気が高いので肉が需要が多いらしい。
次が甘い物。
甘い物は贅沢品扱いにもなり易いので、店としても高級感を出せるのも一因の様だ。
そうこう話してると後ろから手が伸びてきて、いきなりガシっと、捕まった。
涙目になってる姫さんだった。
「お父様ったら酷いんですぅ。」
国で使うと蜜球全部持ってかれたらしい。
俺が売ってるはずと思ってここに来たみたい。
さっき、パンにつけて余った蜜を渡したら早速吸い付いてる。
ウメを抱かせた時といい、今といい、見てて和むな。
こういう場面は子供らしくて可愛い。
「ああぁ~~。」
またもや後ろから・・今度は大きい声が飛んでくる。
姫は一瞬ビクりとする。
「ダメもとでお願いがあります。蜜球まだ残っていませんか?」
どうやら、風邪を引いた妹さんに食べさせたいのだとか。
栄養に魔力と豊富で、さらに甘い。
風邪の時の栄養補給にはもってこいな食べ物の1つらしい。高いけどね。
他の厨房の人に「大丈夫か?」「足りないんじゃない?」とか言われてたみたい。厨房の物は(値段的に)買えそうになく「まだ持っていそう。」との情報で直接交渉をしたかったが、誰か解ってなかった所に目の前で出してしまった為の行動が食堂での出来事だった。
「良いですよ。今もう一つ持ってます。」
「ありがとうございます。あ・・でも今手持ちが・」
「またここに食べに来ますから慌てずに、でも、妹さんは待ってるんじゃないですか?そちらを急いだ方が良いんじゃない?」
受け取ると一目散に帰っていった。
「良かったのですか?」
姫さん、その上目遣い反則じゃねぇ?
「え?悪かったのか?」
「皆大変だし、協力はしてますけど、無償に近い行動は無いですよ?後から貰うと言うのも。」
少なくとも手付けくらいはその場で取るようだ。
返せるあても確認せずにするのはここでは普通じゃない。
「ま、それ言ったら、さっき渡した姫の分も取り立てなきゃいけなくなるなぁ。」
「うぐっ。」
ちょっといじってみる。
困り顔も可愛いな。
美人さんは見てるだけでも良いもんだ。
厨房からも、良かったのかと聞かれたが、100以上手に入ったのでと言うと驚かれた。
俺としては返ってくれば良い程度のことだ。
貸すなら損も考えておく。
巣ごと狙う事が無いって言ってたっけ?
「数は多かったですけど、いつもより1匹1匹は楽でしたぁ。」と姫も厨房の人と話してる。
ま、自分が狙われて無い上に蜜を傷付けるの心配が無い状態にできたのが良かったしな。
また、居たら狙ってみようっと。
姫はいつもと言ってる所をみるとそうとう狙ってそうだ。
巣を開けた時も蜜球に釘付けだったし、かなり好きそうだなぁ。
そんなこんなで夜も更けていった。
7/12微訂正