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14話 ラストアタックを入れよう

戦闘が終わり更に奥地へ進んでいくと、一体強い魔力反応があった。


「セレス」


「はい。全員分にバフをかけます」


そう、間違いなく六段階目の魔物がレルゲン達を待ち構えていた。


周囲に茂る木々の種類が若干変わり、白い幹が特徴的な種類で


木からは緑色のツタのような紐状の茎が何本もぶら下がっている。


「少し戦いづらいが、これも経験だ。ちょっかいかけてみよう」


全員を一度見て確認を取ると

レルゲンが青い炎から出来たファイアボールを弓に形状変化させ、六段階目の魔物に放つ。


よほど熱かったのか、一発だけ撃ち込まれた火弓は一気に六段階目の毛並みを焼いてゆき、三割程焼いたところでようやく鎮火に成功する。


「レルゲン、あの魔物は知ってるの?」


マリーが尋ねるとレルゲンはこの魔物を知っているようで


「あぁ、六段階目のロンリー・コングだ」


とざっくりどんな魔物か説明してくれた。


全身が茶色い毛で覆われており、基本的には四足歩行だが


威嚇や攻撃の際には二本足で走って追いかけ回し、対象を引きちぎる攻撃を得意とする。


また機動力も申し分なく、これ程周囲をツタで覆われている中だと、積極的にツタを利用した移動で撹乱してくるだろう。


「接近戦だと分が悪い。魔術戦でやろう」


マリーとセレスが顔を見合わせて頷き、レルゲンは今度は火の上位魔術であるブルーフレイム・アローズを展開待機させると、セレスティアが


「とうとうレルゲンも上位魔術師の仲間入りですね」


と小さな声で「ようこそ」とばかりに笑顔を見せる。


レルゲンも笑って返すと、こちらの位置を把握したロンリー・コングが怒りながら走って距離を詰めてくる。


「グゥオオウ!」


短い声を発しながら近づいてくるのは全長三メートルはある巨大なコング。


手頃なツタを見つけて左右に跳びながら移動し、レルゲンに的を絞らせないように工夫しながら更に距離を詰めてくる。


それでも十本ほど展開された青い弓が一斉に射出され、ロンリー・コングに迫っていく。


しかし弓の軌道から紙一重で躱し更に距離を詰めようとする、その表情はどこか得意げだ。


「曲がれ」


交わされた弓矢が軌道を修正するように弧を描いて戻ってくる。


ロンリー・コングの肩口に躱された二本の矢が命中し、毛並みを更に焼いてゆく。


焦ったロンリー・コングは接近を中止し、鎮火に集中すると、今度は準備が完了したマリーとセレスティアが合体魔術を発動する。


「「ユニゾン・テンペスト!」」


テンペストよりも更に強力な暴風となり、鎮火中のロンリー・コングを襲う。


レルゲンが既に放った残り八本の青い弓とユニゾン・テンペストが同時に命中し


深傷を負ったロンリー・コングは一度退却しようと逆方向のツタに手をかけ移動しようとすると、レルゲンが


「ああ、それだな」


と呟くと飛び乗ったロンリー・コングの体重を支えることなく地面に落下してくる。


思い切り地面に激突したロンリー・コングは体制を大きく崩し、未だに立ち上がれない状態が続いていた。


「召子!その聖剣で止めを刺してくれ!」


「分かりました!」


何とか立ちあがろうとしているロンリー・コングの背中から斬りつけた聖剣の一撃は深く一撃でロンリー・コングを魔石へと還したのだった。


「いい踏み込みだったよ。魔物との戦闘は今回が初めてじゃないんだっけ?」


「はい、王国周りで少し経験があります」


レルゲンが頷き、早速レベルアップしているか召子に尋ねる。


「〈オープン・プロパティ〉」


召子が周りにも見えるように画面を展開すると、丁度レベルが40をしてしており


今までずっとグレーアウトしていた〈魔物召喚 優先度:高〉が白く光っており、どうやら使えるようになっているように見える。


またスキル欄にあった〈鑑定スキル:下〉が〈鑑定スキル:中〉に格上げもされていることにレルゲンが気づき


何か変化があるか召子が確認すると、パーティメンバーのレベルと称号のような物が記載されていた。


マリーのレベルは246〈加護の使い手〉

セレスティアのレベルは270〈魔術の宝庫〉

そしてレルゲンのレベルは???〈精霊騎士〉

となっており、同様にウルカのレベルも???となっていた。


この事を皆に伝えると、マリーはセレスティアより下のレベルに悔しがり、それを見たセレスは


「モンストルム・ファブリカとの戦いで、私はマリーより場数が多いですから、きっとそのためですよ」


とマリーを慰めるが、それよりもレルゲンとウルカのレベルが???になっていることに全員が頭を傾げた。


「レルゲンはウルカと契約しているからレベルがやっぱり測れないのでしょうか」


セレスティアが疑問をレルゲンに問うと


「恐らくな、それか鑑定スキルが上になる必要があるのかも」


マリーがもう少し便利ならなぁといった言い方で


「これ、敵のレベルも分かるようになるといいわね」


「確かに、敵のレベルが分かれば無駄な危険を排除出来るからな」


「あの、さっき倒したロンリー・コングのレベルならここに書いてあります」


よく見ると、討伐履歴のような欄があり、見てみると王国で倒した三段階目の魔物から順に記載されている。

バイコーンはレベル100、ロンリー・コングはレベル150となっていた。


「二回戦って、うち一回は止めを刺して40まで上がったなら、とりあえず目指すのはレベル100だな。

キリもいいし。


召子にはさっきのバイコーンくらいなら一人で倒せるくらいになるのが目標にしようか」


「あのビリビリ魔物を一人でですか、道は長いですね」


「そうでもないぞ?

多分だが数日深域でレベル上げをすれば割とすぐだと思う。


やっぱり〈勇者〉だとレベルが上がりやすかったりするのかな」


レルゲンが「便利だなぁ」と召子の強さが数値化されている画面を見ながら話し


「よし!最初から根を詰めても仕方ないし、今日はもうお終いにしようか」


帰りに水龍へ気になることを聞いておくとして、今日の召子レベルアップ計画はお開きとすることになった。

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