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12話 ウルカの育成計画

「皆様、どうかお気をつけて」


ディシアとカノンは王国に留守番、今回深域に入って召子のレベル上げに協力するのは

レルゲン、マリー、セレスティア、召子の四人。


最近の女王陛下は少し変化があった。


以前には危険な深域に娘達が何度も行って魔力の底上げをやると言い出せば難色を示していただろうが、


王国の危機を何度も救った自慢の娘達を、自分の手が届かないところに快く送り出していた。


それはレルゲンとの結婚を機に自立していったと感じたのか


深域にレルゲンがついていくことへの安心感からかは定かではない。


しかし、女王にもうセレスティアとマリーを危険だからという理由で引き留めることはなくなった。


見送りに来るつもりだったらしいが、公務が忙しいようでカノンとディシアが代わりに来たという訳だ。


「頑張れよぉ」


カノンが今日も眠い目をこすりながらも手をひらひらと振り、大きめのあくびをする。


四人は苦笑いしながらも各々の武装を持って深域に繋がる転移魔方陣に乗るのだった。


「行ってきます」


青い光に包まれた四人は一瞬の内にカノンとディシアの前から消える。


眩い光が収まり召子達が目を開いた先には、深域特有の鬱蒼と森が広がる正しく人が本来立ち入らない奥地。


初めて転移魔方陣での転移を経験した召子は、今まで経験したことのない樹海に近い光景を見て驚きの言葉を上げていた。


「わぁ!まるでジャングルだ…」


三人が召子を見て微笑ましい視線を向けると、レルゲンが声をかける。


「召子以外の二人はもう何度か深域を経験しているから問題はないと思うが


慣れてきた時ほど実は危険だったりするものだ。気を引き締めていこう」


マリーとセレスティアが頷き、準備が整ったことをレルゲンに目線で伝える。


レルゲンが頷き、召子に向きながら安心させるように言葉をかけた。


「召子は初めてだから今回はほぼ見学でいいと考えている。


加勢できそうなタイミングが出てきたら俺から声をかけるから、それまでは戦闘の動向を見ていてくれ」


「わかりました。いつでも行けるように準備しておきます」


「あと、今日は俺の武器は白銀の剣しか持ってきていないから、いつもの一撃は期待しないでくれ。


やばそうだったらすぐに引くから、それまでは出会った魔物は一体一体本気で対処していこう!」


「「おー!」」


マリーが一番元気な返事を返し、やる気は十分。


セレスティアと召子も準備は整った。

休憩は水神様の湖で取るとして、魔力揮発材を二つ、飲料タイプの回復薬二本を持参していた。


簡単な怪我だけならセレスティアの回復魔術で十分対応可能のため、今回はできるだけ軽装で挑むことに。


「ちょっとレル君、私のこと早速忘れていないよね?」


中々話題に上がらなかったウルカが抗議の声を上げた。


「忘れていないさ。だけど、正式契約してから具体的に何が変わったかあまり実感が湧かないんだよ」


「変わっていますよ。レルゲンが纏っている自然魔力」


教えてくれたのはセレスティアだった。


「自分では全く分からないんだが、どう変わっているんだ?」


「簡単に言うなら、魔力の流れが私に近くなり、魔力の流動性が上がっています。


全身に流れやすくなっていると言い換えてもいいかもしれません。そして、自然魔力が少し減っています」


「えっ?減っているのか?」


「今までが若干余している気はしていましたが、今は自分の器にぴったり嵌まっているような、”自然さ”を魔力から見て取ることができますよ」


「自然さ、か」


自身の手に流れている自然魔力を観察するために目に魔力を少し集中させると、確かに流動性が上がっているように見える。


また、魔力量に関しても身の丈に合っているような大きさに抑えられているようにも感じられていた。


「確かにセレスの言う通りな気がするが、今までと具体的に何が変わったんだ?ウルカ」


「戦ってみるのが一番わかりやすいとは思うけど、レル君。試しにファイアボール出してみて」


「ああ」


言われた通りファイアボールを出現させると、

手にはいつもの赤いファイアボールではなく”青い”ファイアボールが出現していた。


それを見たマリーとセレスティアが大きく驚く。


「ブルーフレイムですね.…」


レルゲンも驚いていたが、今まで風魔法のアシストが無ければなし得なかった技の工程を大幅に短縮することができている。


「確かに凄い変化だが、これはウルカが風の制御を肩代わりしてくれているのか?」


「ううん、これはレル君の魔力制御で青くなっているだけよ」


どういうことか分からない顔をするレルゲンにウルカが補足する。


「今までは私が負荷をかけて魔力制御を難しくしていたのよ。だから重りの取れたレル君が自由に動けるようになったってこと」


「なんでそんなことしてたんだー」


ウルカの可愛い口を軽く引っ張りながらレルゲンがニッコリ笑い怒る。


「ごめん!ごめんレル君!でもそうでもしないと成長速度が平坦になって、勇者と肩を並べられないと思って!ゆるして」


口を引っ張るてを話すと、涙目のウルカがレルゲンの頭をポカポカ殴るが、全く痛くない。


青い炎を消し、いざ召子の初めての深域探索が開始されようとしていた。

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