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11話〈魔物召喚 優先度:高〉

「悪魔達が復活するなら、レルゲンはともかくとして召子や私達も強くならなきゃ駄目なんじゃない?」


そう切り出したのはマリーだった。

最近のトレンドとして植物園兼研究所でお茶を飲みながら


のんびり話し合うのがお決まりの流れだったのだが、


今回はその和やかな雰囲気を満喫しながら今後の対策を話し合う事になりそうだ。


「そうですね。レルゲンには新しくウルカ様もいらっしゃいますし、私達の成長が急務かと思います」


セレスティアもマリーに賛同して、紅茶を一口飲みながら瞳は閉じて、風味を楽しんでいる。


「私とカノンは非戦闘員としてカウントして下さるとありがたいです。戦場に赴くとこの前のようにずっとレルゲンの側にいないと行けませんので」


「無理してくる必要はないよ。それはみんなも分かってるはずだ。カノンとディシアはやれる事をやって欲しい」


マリーとセレスティアがうんうんと頷き、二人が後方支援に決定する。


ハクロウはまだ腕の調子が完璧でないと言う事で戦線に復帰は難しいが、騎士団長としての役割もあるため、暫定的にこちらも後方支援に。


残るは召子とミリィだが、召子は前線に行くとして、ミリィはどうするのか全員が気になっていた。


「ミリィはどうする?君なら高難度ダンジョンの攻略経験もあるし、俺は問題ないと思うが」


「えへへ、ありがとうございます。でも…私魔術が今は使えないんです…」


「どうして?」


「私が一度テクトの魔物に囚われてから強制的にマインドダウン状態になっていたのですけど


それでも無理矢理、魔物の魔術行使に核を使われて未だにその機能が戻らないみたいなんです…すみません」


「そうか…確かにあの戦いではミリィがモンストルム・ファブリカの機動に大きく関わっていたからな___わかった」


机の上にあったチェスの駒を自身達に見立てて、マリーが配置を変えてゆく。


「となると、レルゲン、私、セレスお姉様、召子が前線で


カノン、ディシア、ミリィ、ハクロウ先生は後方ってことね。

結構綺麗に別れたわね」


「そうだな、でもやっぱり大規模パーティとまでは行かなくても、俺達について来られるような手練れが後一人が二人は欲しいところだ」


「ギルド長のクーゲル様に聞いてみますか?」


「ああ、それも必要だろうな。カイニル辺りなら喜んで次の戦場に飛び込んでいきそうだが、もう奴はいないし」


「騎士団からもまだ成長途中の方々ばかりですから、身内から立てるのも中々難しいですね」


ここで、マリーが閃いたような仕草を取り


「なら、仲間を募ってみたらどうかしら?」


「公募か、自分達で探しに行くよりかは沢山見る事が出来るな。


条件は…そうだな。みんなはどんな人材が必要だと思う?」


まずマリーが手を上げて


「心が強い人!」


確かにこれから先間違いなく修羅場がやってくる。逆境でも心が折れない人材はこちらとしても心強い。


中庭でレルゲンとの修行が未だに考えの底に根付いている証拠だ。


「そうだな、とりあえず色々案を出し合ってみようか。


俺はそうだな、ミリィの時にも思ったが罠や絡め手を未然に防げる何かを持っている人物がいいな」


ここでセレスティアも手を上げ


「私は悪魔に詳しい人物がいいと思います。

悪魔に詳しいとされる国は恐らくヨルダルクの人物でしょうが


中には志しが高い人物もきっといるはずです。公募とは少しズレますが私は悪魔に精通している人物がよろしいかと」


レルゲンがセレスティアの話を聞いて


「なるほど…」


と溢し、確かに敵に詳しい人物がいれば、間違いなくこちらにとって切り札になり得る。


「ディシアは悪魔について詳しい人物に知り合いっているか?」


「研究している人物は何名か知っていますが、皆さんのように協調性のある人物では有りませんので


バランスを崩すことによるデメリットの方が大きいかと思います」


「そうか。セレスも案出しありがとう。詳しい人物はまたいい機会があったら同行をお願いしてみよう」


セレスティアが頷いて、この案は一旦頭の隅にでも置いておく事に。


ここで召子が小さく手を上げると全員が彼女を優しく見て、目線で促す。


「あの、手練れが欲しいという事であれば、私の持っている〈魔物召喚 優先度:高〉があるのですが、これって使えたりしませんかね?」


「「「魔物召喚!?」」」


全員が思わず驚きの声を上げる。

確認するようにレルゲンが召子に尋ねる。


「それってもう試したりしたか?」


「いえ、魔物は王国周りの三段階目?を倒した時に見たくらいで、実際にはほとんど見た事もありません」


「つまり、テイムする儀式がまた必要かどうかも分からないってことか」


「すみません」


「いや、いいんだ。それでも魔術が一切使えないはずなのに召喚魔術だけは例外的に使えるってやっぱり勇者っていうのは規格外だな。


俺達もいる事だし、誰にも迷惑のかからないところで試してみよう」


「それなんですけど、よく見ると他のスキルは文字が光って見えるのですが、〈魔物召喚〉だけは光っていなくて


横に「レベル未達のため、現在は使用不可」と小さく書いてあります。


恐らくですが、今後使える〈スキル〉なのは間違いないけれど、今は使えないってことではないでしょうか?」


「なるほど、その〈スキル〉の一覧って俺達に見せる事は出来るか?」


間違いなく持っているスキルを全てさらけ出すのは自分の弱点を晒すのと同じ、言わば自殺行為に他ならない。


しかし、このレルゲン達ならきっと悪いようにはしないと信じたい気持ちも召子の中にあった。


「〈オープン・プロパティ〉」


召子がそう呟くと、全員が青い画面のような物が空中に浮かび上がるのを確認し、驚きの声を上げる。


「見てもいいか?」


召子が頷くと、全員が画面の向こう側の文字を読み込んでいく。

召子の持っていたスキルは


〈勇者〉〈悪属性特効〉〈毒耐性:中〉

〈魔物召喚 優先度:高〉〈能力上昇率up〉

〈能力上限突破〉〈鑑定スキル:下〉〈動物との会話〉〈身体能力上昇:中〉〈飛翔〉

〈スキル数上限無し〉


で言葉通り〈魔物召喚 優先度:高〉はグレーアウトしており、現在は使用できない文言が記載されている。


召子のレベルは五、どの〈スキル〉もかなり戦闘に特化しており、本人の意思とは真逆なスキル構成をしていた。


レベルに関しては、スキル優先度が足りないからか、相手の情報を読み取る事が出来ないらしいが


それも本人曰くレベルアップで見る事が出来るようになっていくらしい。


やはり勇者とは末恐ろしいと感じながらも、これと似たような勇者が後三人いて過去の魔王を倒したと言うのだから


これだけ足りない情報下においても魔王の力の強さを知る事が出来た。


「情報提供ありがとう。みんな分かってるとは思うが


召子の〈スキル〉はマリーやセレスの魔術系統と同じ極秘中の極秘事項だ。口外は絶対にしないでくれ」


全員が頷き、召子は少し安心した表情を見せる。


「一番の近道はやっぱり魔物討伐だな。俺達よりも恐らく召子の方が上昇率は高いはずだから


まずは深域に行って召子のレベルアップを目的に動いて行こう」


「「賛成!!」」


午前中はこれにてお茶会、もとい作戦会議は終了し、午後からは早速深域に魔物討伐にいく手筈となった。

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