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25話 戦利品から新たな武器

レルゲンは一人でドライドの工房に来ていた。


高難易度ダンジョンでかなりの量の魔石と素材が集まっており、それを使って新しく武器や防具を新調してもらうつもりだ。


以前作ってもらった白銀の剣は、ナイトとの最終決戦で高熱に耐えきれなくなり完全に変形して使えなくなってしまった。


カイニルとの戦いは今後間違いなく控えている。

新しい武器の新調が急務だった。


「よぉ、レルゲンの旦那。今日はまた大荷物だな、どうした?」


「ああ、武器の発注を頼みに来た。

高難易度ダンジョンを攻略してきたんだが、その素材で何が作れるか確認したい」


念動魔術で運ばなければ持てない量の素材を順番に置いてゆく。


「五段階目のヒュージ・スワンの魔石と羽、そして鱗

ラフレシア・ガーデンの魔石と強酸液

スケリトル・キングの魔石と指輪


んでこっちが六段階目のアシュラ・ビーストの魔石と増幅鉱石、背中の外殻か?ほぉ。


スケリトル・ファラルの魔石と…肋骨か?強度は高そうだがだいぶ軽いな。


それで最後は、見たことがねぇが間違いなく六段階目。他の六段階目以上の存在感を感じるが、これは何の素材だい?」


「ベヒモスだ。そいつの立て髪と角を二本」


他の職人達もベヒモスという単語を聞きつけて見にやってくる。


「お前ら仕事に戻れ!今は俺が旦那の素材を見てんだからよ、後で見せてやっから」


名残惜しそうに各々の仕事に戻る職人達。

落ち着いてからドライドが再び鑑定を進める。


「とうとう特別な六段階目を討伐してくるとはなぁ。俺も実物を見るのは初めてだ。


これだけの素材が集まれば、間違いなく魔剣が作れるぜ。どんな種類がお望みだい?」


「まずは白銀の剣と同種の、一度使っても壊れない剣が欲しいな」


「アシュラ・ビーストの増幅鉱石なら作れると思うぜ。他の素材はどうする?」


「後はマリーとセレスティアの替えの武器。

今は偶然手に入ったものを使ってはいるが、それと同程度の性能は最低限でも欲しい」


「これが今の嬢ちゃん達の使っている武器か、見たところどっちも魔剣や魔杖のレベルを超えてるな。

だが、今回はベヒモスの素材もある。これも多分出来るぜ」


「さすがドライドだ。金額はかなりかかるとは思うが、最短で仕上げて貰いたい。

納期短縮する時用のお金も用意している」


ここで、ドライドの眉が動く。

何かを察したドライドはレルゲンに耳打ちするように話しかける。


「また訳ありか?」


「そうだ、恐らくだが一ヵ月後に王国は魔物の群勢に攻め込まれる。


だからマリーの両手剣とセレスティア杖の予備が必要なんだ」


「なるほどねぇ…この国もよく狙われるもんだ。

だが、旦那が来なければ今頃は国が無かったかもしれないんだ。


今やってる加工作業を全て旦那達の武具作成に回す。前回は負担をかけちまったからな、今回は二週間で仕上げてみせるぜ」


「それは助かる。俺はこれから武器完成まで国を空けるから受け取りには来れないが、いつもの送る方法で頼む」


「あいよ、また旦那に頼ることになっちまうが、この国をまた護ってくれ」


「何言っているんだ。ドライドの武器が無ければ俺達は太刀打ち出来ないんだ。

ドライドも国を護っているんだ。胸を張ってくれ」


「そうだな。よし!お前ら、大型の発注が来た!

気合い入れて行くぞ!!」


作業中の職人達が「おお!」

と短いながらも力強く返事をするのを聞いて、レルゲンは安心感を覚えるのだった。


女王にはレルゲンからドライドに直接武器の発注をした件を報告し、了承を後からになったが貰う。


レルゲンの報告にはセレスティアも同席している。


「分かりました。迅速な行動お疲れ様でした。騎士レルゲン」


騎士令を取り、女王を見上げて進言をする。


「先日申し上げた件につきまして、一つ確認事項がございます」


「何でしょうか?」


「ここからヨルダルクまで、行軍すれば一ヵ月間は猶予があります。


その間に私がヨルダルクのダンジョンまで出向き現状を把握しておきたいのですが


国を空けてもよろしいでしょうか?」


少し考えた表情をするダクストベリク女王は


「ヨルダルクまではどれくらいで到着出来ますか?」


「丸一日あれば可能です」


「川の水質調査では王国領内の飛行でも数日掛かったという報告がありますが


それよりも遥かに遠いヨルダルクのダンジョンまで本当に一日で飛んで行けるのですか?」


「はい。こちらにいるセレス様をお連れすれば、魔力運用的にも余裕を持って到達可能です」


驚いたように目を見開いたが、自信に満ちた表情をするレルゲンを見て納得する。


(彼はまだまだ強くなっていく。今はその途中だというのですね)


「分かりました。既にヨルダルクのダンジョンに危険な兆候ありとの情報は


影部隊に伝えるようにしていますが、騎士レルゲンが行った方が早く情報が伝わりそうですね。


では再びの王命を下します。副団長レルゲン、第一王女セレスティアと共にヨルダルクへ向かい


ダンジョンの現状調査を命じます」


セレスティアとレルゲンが頭を下げて


「「王命、謹んで拝命致します」」


と声を合わせて承諾するのだった。

これにはマリーは若干不服そうで


「私はまたお留守番なの?

ハクロウ先生、ちょっと深域に行って身体温めておきましょう。いいわよね?」


「まだこの腕に慣れてる途中なんだがなぁ。こうなっちゃマリー嬢ちゃん聞かねぇんだから」


「ハクロウ、マリーを頼んだぞ。


マリーも余り無茶しないようにな。ハクロウは多分まだ戦力としては数えられないぞ」


顔をレルゲンから背けながら、マリーがハクロウの腕を見る。


「見れば分かるわ。半日作戦会議、半日深域探索にすれば問題ないでしょう」


「だそうだ、しばらく頑張れ。団長殿」


「休み無しか…!ひでぇ副団長だぜ全く」


全員が笑いながら涙目のハクロウを励ましたが


普段からよく昼寝をしているハクロウにはいいお灸かもしれない。

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