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1話 ご褒美が必要だ! 湖!水着!バカンスを満喫せよ!

第二部、開始します!

今回は今までの功労者たちの労い回になります。

ナイトとの一件が終わってから、王国は平和な日常が帰ってきていた。

そんな中、せっかくの平和な日常に飽きたマリーが不満を漏らす。


「刺激が足りないわ。何か面白いことないかしら」


「せっかく暗殺騒ぎが終わって元の日常に戻ったんだから、この平和な日常を少しは満喫したらどうだ?」


「そうですよ?ただでさえマリーは王国を飛び出して空けていた日が多いのですから、その分仕事をきっちりしてもらいませんと」


レルゲンとセレスティアがマリーの不満を流しながら、自身に割り当てられた公務を片付けている。


セレスティアはいつもの服装に加えて眼鏡をかけて、やる気モードのようだ。


「なら、これが終わったら少し休憩しましょう。毎日休み無しでこの作業は流石に疲れたわ」


「なら今のうちにお茶でも準備しておくか。二人とも紅茶でいいか?」


「お願いするわ」


「お願いします」


公務をこなしながら、意識を少し割いて念動魔術を発動し、茶葉をポットに入れながらお湯を沸かす。

それを眺めながらマリーは一つ気になることがあるようだ。


「そういえばカノンはまた研究所で何かやっているのかしら?」


「カノンは深域で水源確保の時にやっていた刻印型の召喚魔法陣を、こっちでもやれるように組み替える計画書を作成しているようですよ」


「楽しそうにやっている姿が目に浮かぶわ」


残り少ない書類の確認をこなしながら、一つの案を思いつく。


「みんなで何処か遊びに行けたらいいのにね。そうだ!深域にまた行くっていうのはどう?」


「また腕試しにでもいくのか?」


「そうじゃないわ。水神様のところで水遊びなんてどうかしら!?」


「確かに水神様のところは魔物が寄り付かないですし、お忍びで行くには絶好の場所かもしれませんね」


セレスティアまで乗り気になってきた。こうなってしまってはレルゲンも彼女達の希望を無下にできなくなる。


「よし、これで午前の仕事は終わりでいいか。二人とも水遊びって言うけど、濡れても平気な服なんて持っているのか?水神様に頼めば遊ばせてくれるとは思うけど」


「無いわ。だからこれから用意するのよ」


「そうと決まれば午後の仕事を早く片付けて、遊びに行く服を見繕いましょう。もちろん貴方も付き合ってもらいますよ?騎士様?」


「わかったよ。じゃあ早く終わらせて買いに行こう」


「やった!」


それからというもの、マリーの作業効率が爆上がりし、セレスティアが苦笑いをしていた。

公務が終わり、レルゲンとマリーが買った服屋を王宮まで出張させて実際に試着することに。


マリーとセレスティアの他にもカノンが噂を聞きつけやってきていた。


「カノンまで服選びに来るなんて珍しいですね」


「まあねー、ここ最近はずっと忙しかったから、たまには癒しも必要なのさ」


三人ともやる気のようで、折角だからレルゲンに審査員役をお願いすることになったのだが、普段見ない女性の肌を視界に入れてしまい、何だかいたたまれない気分になる。


始めはマリーが水着に着替えて登場する。

白をベースに、胸元が開いたものに黒のラインが入っているもので、レルゲンには下着と水着の区別がつかなかった。


さすがに恥ずかしかったのか、マリーが腕を抱きながらレルゲンに問う。


「やっぱり攻めすぎ……かな?」


「よく似合っているとは思うけど、ちょっと目のやり場に困る」


「そうよね…やっぱり変えてくるわ」


お互いに目を逸らしながら顔を赤くする二人。

一旦マリーは別の水着に着替えてくるようで、次はセレスティアが着替えを終えて見せてくる。


マリーとほぼ同じタイプの水着で青をベースにした装いとなり、白い半透明のレースのような布を腰に巻いている。


「どうでしょうか?」


「よく似合っていると思うよ。セレスと言えば青だし、その半透明のやつも上品に見える。

ただ、マリーもそうだが、ちょっと露出が多くないか?」


「私はレルゲンしか男性はいないところに行くのですから構いませんよ?」


「俺が構うんだけどなぁ」


「それなら私はこれで行こうと思います」


「俺の話、聞いてる?」


「もちろんです。貴方の意見で決めました」


全く引かない第一王女は強行する様子。

そして、最後の登場となったカノンはというと……


「待たせたな助手君!真打登場サ!」


紺色の生地で覆われているカノンは身体のラインがくっきり出ているものの、肌の露出は少ない。水の抵抗も少なく見える。


まだ発展途上とも言える体つきは目のクマを除けば健康的な装いと言えるだろう。


「おぉ、水遊びにはうってつけの格好だな。いいと思う」


「ふふん、そうだろう!私は水着選びでも一流なのさ」


得意気に鼻をフフンとならしながら勝ち誇った顔をするカノン。

結婚したての彼女達には悪いが、勝負は決した。レルゲンが宣言する。


「勝者、カノン王女ー」


「「なんでよ!」ですか!」


二人が猛抗議をあげレルゲンに詰め寄るが、レルゲンにはまだ刺激が強すぎた。


右手を抱えて勝利のポーズを取るカノン。負けた二人はと言うと、カノンの前に崩れ落ちるのだった。


遊びに行く当日。

王国を転移させた時よりも縮小された転移魔法陣を起動して、再び深域にやってきたレルゲンたち一向。


深域ともあれば、フル装備で遊びに行くわけだが、他の持ち物は魔力揮発剤、飲料タイプの回復薬、水着と日避け用の装備一色と深域には似合わない軽装での出発となった。


水龍に事情を説明して、湖で一日過ごす事を許可してもらう。

着替え終わった一向を見た水龍は、不思議なものを見たようで


「そんな軽装でこの深域にくる人間はお主たち以外にはいないだろうよ。よいよい、強き者達よ。今日はゆるりと楽しんでゆけ」


「ありがとう、水龍殿。一日お邪魔する」


天気は快晴。風は穏やかで、まさにお出かけ日和だと言っていいだろう。


肌を必要以上に焼かないように日焼け止めの軟膏を塗るらしいのだが、この軟膏は人に塗って貰わなければ背中には手が届かない。


背中まで布で覆われているカノンであれば自分で全て塗れるが、マリーとセレスティアはそうはいかない。


女性陣同士で塗り合えばいいかと考えたが、そうはいかなかった。


「背中まで手が届かないので塗って下さいますね?」


セレスティアがレルゲンに日焼け止めを渡してくる。


「マリー、頼めるよな?」


「嫌よ、私も塗ってもらうんだから」


「なぜだ…」


「妻の肌を気遣うのも夫の役割ですよ」


カノンを見て再度頼む


「カノン様…頼め」


「お断りさ。夫婦でイチャイチャしたまえよ」


レルゲンが頼み切る前にカノンに拒否される。


「念動魔術で塗るのもダメよ」


「そうですね。しっかり染み込まないかもしれません」


「わかった、やるよ」


両手を合わせるマリーとセレスティア。

拒否したカノンはというと、既に初めて見る水龍と何やら楽しそうに話し込んでいる。レルゲンに逃げ場は無かった。


組み立て式の白い椅子に寝転がり、足をパタパタするマリー。


試着した時は胸元が開いたものを着ていたが、今着ているのは前と色は同じだが、背中も布で隠されていて、塗る箇所は腰から下でよかった。


軟膏を手で掬いマリーの肌に塗るが、マリーが驚いたような声を上げる。


「ひゃっ」


慌てて手を離すが、マリーがジトっとした視線でレルゲンを見つめる。


「ちゃんと手で温めてから塗って」


「すまん」


今度はしっかりと手に馴染ませてからマリーの背中を塗っていく。足も塗って欲しいとお願いされ、仕方なく全身塗ったことでようやく満足してくれた。


「ありがとう、気持ちよかったわ」


「それは何よりです。姫」


大袈裟に騎士令をすると、これが気に入ったのか少し顎を上げて


「また私の肌に触れる権利を上げましょう」


と女王様気分のようで上機嫌だ。


次は自分の番だと言わんばかりに横になっているセレスティアは、背中を結んでいた紐を解いて背中が全て顕になり、うつ伏せになる事で胸の形がうっすらと分かる。


精神衛生上良くないと感じたレルゲンは、なるべく早く終わらせようと考えたが、レルゲンの表情をみたセレスティアが釘を刺した。


「ゆっくり塗って下さい」


「わ、わかった」


顔を逸らしながらも手で温めてから塗っていく様子を見るセレスティアは何だか満足そうだ。


「うっかり前を触っては駄目ですよ?」


「お願いされても触りません」


「それは残念ですね」


もう理性が蒸発する一歩手前まで来ているレルゲンは何とか堪えてセレスティアに日焼け止めを塗り終える。


レルゲンは下を履いて上は簡単な羽織物を身につけていたが、マリーとセレスティアが二人で一緒にレルゲンに塗ってあげようとしていたが、理性がギリギリのレルゲンは必死に逃げていた。


三人の様子を見ていたカノンと水龍は微笑ましいものを見るような視線を送っていたのだった。


「若いねぇ」


「お主もそう年は変わらぬだろう」


「ははは、やかましい」


ペシっと水龍をはたくが、はたく直前に体表を水に変化した事でカノンが体制を崩す。

すると目をキラキラさせてカノンが


「一体どんな原理なんだ!教えてくれ!」


と研究者魂を発揮するのだった。


三人はというと浅いところで水遊びをしていた。普段は人目を気にするあまりこのような遊び方は一切できない身分なのだが、


今回は周りが危険地帯ということもあって思いっきり楽しむことができた。


「セレス姉様!それっ!」


「やりましたね!お返しです!」


と二人は特にはしゃいでいる。

眺めていたレルゲンはこの景色を見るために頑張ってきたのかもしれないと考えていると


「レルゲン!どこ見ているのかしら!」


とマリーがレルゲンに向かって大量の水をかけてくる。しかし、水がぶつかる直前に勢いが空中で止まり、レルゲンがにやっと笑う。


「俺に水攻撃は効かないぞ!そりゃ!」


投げつけられた大量の水をそのままマリーとセレスティアにぶつける。


「「念動魔術は反則!」」


と二人揃って抗議を上げたが、そのままびしょびしょになっていく二人。マリーは顔を抑えたが、セレスティアは水着が流されないように胸元を抑えた。


暫く遊んでからお昼ご飯を食べて休憩する事に。中々の時間が過ぎていったが、マリーとセレスティアはまだまだ遊び足りない様子だ。


カノンはというと水龍と話し終えたのか日焼け用の色付き眼鏡をかけてすやすやと寝てしまっている。


レルゲンはどうにかして遊び足りない彼女達を満足させるべく頭を回す。すると一つの案を思いついた。


「俺の念動魔術で二人を水の流れに乗せて流すっていうのはどうだろうか?」


「なにそれ?どんな遊びなの?」


「こういうのさ!」


レルゲンが手を掲げると一つの大きな水の塊が数メートル上空に持ち上げられ、そこからクネクネと軌道を変えた水路のようなものが流れてゆく。


レルゲンが二人を上空に連れてゆき、簡単に説明する。


「ここに足をつければ勝手に流れていくよ。最後は勢いもあるし、少し深い所に流れていくから気をつけて」


「楽しそう!私からいこうかしら!」


好奇心旺盛なマリーから飛び込んでいく。

水飛沫を立てて水路を流れる。その表情は本当に楽しそうで


「結構速い!たのしーい!!」


という声と共に盛大に湖に突っ込んでいく。

大きな水飛沫が上がりマリーが湖から顔を出す。


次はセレスティアだが、少し表情が固い。

それを見たレルゲンがからかう。


「セレス。もしかして怖いのか?」


「えぇ、貴方から離れていくと少し怖くて」


「じゃあ一緒に滑るか?」


「いいのですか?」


表情が明るくなるセレスティア。

あれ?この流れ、どこかでなかったか?と思ったが、まぁいいかと流す。


セレスティアの後ろから抱き着くように支える。後ろから前に手を回してお腹の辺りに手を置くと、

安心するようにレルゲンの手をセレスティアが握る。


思わず顔を近づけてくるが、さすがにレルゲンが制止する。


少し不満げな表情をしたが、すぐに笑顔に変わり


「お願いします」


「しっかり捕まって」


流れていく即席のウォータースライダーを滑りながらセレスティアが楽しそうに声を上げていた。


三人が滑り台を降りてから、マリーが湖の下に何かを発見したことをレルゲンに伝える。


「湖の下に何か建物のようなものがあったのだけど、二人は見た?」

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