表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【11万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

325/339

24話 不履行

レルゲンが捉えた心念の塊は全部で十。

その中で一際強い心念が一つ。これはマークス本体だろう。


天叢雲剣を捉えた心念の塊に向けて放つと、そこに何も無かったはずの空間で手応えを感じる。


(なるほどな。奴は心念で具現化させた銃も同時に隠蔽魔術の拡張解釈で姿を消しているのか。弾丸も消せると思った方がいいな)


弾丸。つまり呪いの弾丸が込められている銃がマークス本体を除けば残り八つ。


発砲前に銃を切断すると、固められていた心念のイメージごと両断しているようで気配が消えて行く。


マークスの心念が大きく揺らいだ。


「上手く隠れているつもりだろうが、見えているぞ」


「……!!」


慌てて距離を取り、呪いの弾丸を一発ずつではなく同時発射する。


標的はレルゲンからアンツヴェルトへと移り、発砲前の心念で固められた古式銃を半分程切断したところで、時間切れで呪いの弾丸が撃ち込まれる。


残り四つ。

四発の呪いの弾丸がレルゲンの隣にいるアンツヴェルトへと向かう。


ここからは精度の問題。

素早く魔力糸を天叢雲剣へと繋いで遠隔操作ではなく、直接操作で弾丸の斜線上へと向かわせる。


超人的な反応速度で完全に姿を暗ませている呪いの弾丸を刀身で弾くと、激しい火花と共に四回の衝撃音が響いた。


アンツヴェルトを見るが欠片一つとして傷ついていない。


マークスへ向かって怒りの感情をぶつけると、またもや少しばかり心念が揺らいでいるのを感じ取れる。


(見えて、いるのか)


全て弾かれたということは、世界と契約して無理矢理に掴んだ心念の領域と同じ高さまで上ってきたということだ。


マークスは更に自分を見失っていく。

隠蔽魔術の効果がもう意味を成さないと理解して、姿を見せた。


「なぜだ……どうして……」


「……」


「どうしてお前はそんなに強いんだ……!」


「場数だよ」


「数をこなせばお前のようになれるとでもいうのか! そんなことはあり得ない! もっと他に」


「勿論ただ単に戦えばいいってわけじゃない。

相手を見て、考えて、実行する。

それを毎回やる。

その場の雰囲気で戦ったりはしない。


大切な人を傷つけられそうになったら、俺は敵を許さないが、気持ちこそが何をやるにしても一番先に来るんだよ」


「それが……本当の、心念……!

あ、あぁ! あぁぁぁああああ!!!」


マークスは半ば発狂するように弾丸よりも早くレルゲンから逃亡しようとするが、ここでマークスの動きがガッチリと空中に固定されて動けなくなる。


世界の言葉が辺り一面、レルゲンたちにも聞こえるようにマークスへ投げかけられた。


『それは契約違反。契約違反。

貴方は命と引き換えに私に服従。OK?」


「そんなこと言ったって、俺には奴らを止めることが出来ない!

もう勘弁してくれよ!」


泣き言のように喚くマークスには感情の乗っていない言葉が再びかけられる。


『契約違反。けいやく、いはん。

あなた、あなた、あなた、あなたたたたたた。

違反、イハン、いはん、イハン。


契約の不履行を確認、粛正実行。OK?」


「い、嫌だ……嫌だ!!

そうだ、アンタが与えた力が足りなかった!

俺は悪くない!

もっと力があれば、もっと俺に!

そうだ。アンタが、アンタこそが契約違反だ!」


「検証、検証。……承諾。

更なる力を与えます。

お前が望んだ、その力を。


私は力を与えるだけ。

もうお前がどうなっても私はシラナイ」


「は? 何を言って……!?」


突如として晴れ間だった空が紫色へ変色を始め、紫の稲妻がどこからともなくマークスの周りへ降り注ぎ始める。


「来るな…! そんな力、人が受け止められるはずがない!! 止めろ! 止めろ…!!」


「また契約違反。アナタ、アナタあなたアナタ!


ユルサナイ。ユルサナイ。私の愛を、早くウケトメテ」


マークスは必死に世界の力が降り注ぐ中を掻い潜りながらレルゲン達へと近づいて来る。


(こっちに来て俺に肩代わりさせる腹積りか……!)


既にマークスの顔はこの世の物とは思えない程に歪んで見える。


その必死さ、生に対する執着は見上げる物があったが、すぐに頭を切り替えて後ろにいる召子やアンツヴェルト達に振り向いて声をかけた。


「奴は俺にアレを受け止めさるつもりだ!

すぐに俺から離れろ!」


レルゲンが全員からすぐに高速で移動してその場を離れるが、やはりマークスは泣きながらレルゲンの方へと向きを変える。


「嫌だ、死にたくない! 助けてくれ、レルゲン!」


苛立ちを込めた心念を発するが、そんなことはお構いなしに突っ込んでくる。


意を決して黒龍の剣から天叢雲剣に持ち替え、一言だけ謝る。


「すまない! アレを止めるにはこの剣に頼るしかない! 許してくれ!」


返事を聞く間も無く意識を天叢雲剣に集中する。普段から使い慣れている黒龍の剣だからこそさっきの心念の力を付与できたと言っていい。


天叢雲剣に魔力を全力で通したこともまだ無い。だが、やるしかない。


一度掴んだ心念の真髄。

レルゲンが剣に寄り添うように徐々に心念強度を上げる。チカッ、チカッとオレンジの半透明光りが明滅し始め、近づいてくる雷撃の下へ向かい入れるように距離を縮めていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ