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【11万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

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22話 心剣

試練とは一体……? とレルゲン達が封印を解いた老人を見つめていると、にこやかな笑顔で続ける。


「試練の内容はある魔物を打ち倒す事。

あなた方は三人だ。この魔剣・天叢雲剣を巻いている呪符に触れば、境内の中心に三体出現するでしょう」


「分かった。アンツヴェルトは安全な所で見ていてくれ」


「言われなくてもそうさせてもらう。後は頼んだよ」


レルゲンが魔剣に巻かれている読めない呪言のような文字に触れると、境内の結界が再び復活して覆われていく。


陽光が優しく降り注いでいたところから一変、辺りの景色が紫色へと変色を始め、神聖な澄んだ空気で満たされていた境内が怪しい魔力が充満していく。


「さて、何が出てくるのか。

召子。フェンとアビィで一体を」


「はい。二人共! 魔物一体の足止めよろしくね。

倒せそうなら倒していいから!」


「ヴァフ」


「キィイ!」


召子の掛け声でやる気を全面に出している使い魔の一匹一羽。これで安心して一匹の魔物に対応できる。


レルゲンは黒龍の剣に魔力を通して待ち構えたが、一体だけ魔物を相手にすればいいことから考えを転換する。


(試してみるか)


黒龍の剣から魔力を逃し、全身から魔力の流れを全て遮断していく。


一見自殺行為にも似た事をやっているレルゲンを見て老人は心配そうな表情を浮かべたが、隣で見ていたアンツヴェルトは冷静に見守っていた。


(何かやる気だな。中央の副団長は)


魔力とはその量が多ければ多い程、攻撃や防御だけに留まらず総合的な膂力にも強化をかけられる。

従って、魔力を完全に体内へシャットアウトするとどうなるか。

元々持っている類稀な筋力を除けば、魔力を持たないこの世界の人間達とさほど変わらないのだ。


だが、レルゲンは静かに魔物が地面から這い出てくるのを落ち着いて見ていた。


(アレは初めて見るタイプの魔物だな)


現れた魔物は幽体のようにフワフワと浮かび、掴みどころの無い形をしている。

すぐにレルゲンは動かず、敵の容姿から強さや能力を想像しながら考察する。


この歳で既に莫大な戦闘経験を積んでいるレルゲンは、見たことの無い魔物が現れても魔力量や容姿からおおよその強さや能力の予想が出来るようになり始めていた。


(魔力量で見たら四か五段階目。

ただあの形や雰囲気から状態異常系かもしれない。安易に近づくのは面倒だ。


やるなら一撃で両断する。自分の魔力を通さない、魔剣本来が持っている魔力のみで断ち切れるか? おそらく無理だな。


好都合だ。存分に試すことが出来る)


目を閉じて一度深く呼吸をして気持ちを整える。レルゲンの周りに敷き詰められている白く丸い小石がカタカタと音を鳴らし始め、少しずつ上へ引っ張られるように上がっていく。


魔力を持たない召子は、レルゲンの変化を敏感に感じ取って生唾を飲み込んだ。


(レルゲンさん、本気だ。本気で目の前の魔物だけを斬る事だけ考えてる)


フワフワと浮いていた魔物がレルゲンの気を察知してピタッと止まり、睨め付けるように周囲を飛びながら様子を伺う。


魔物はタカを括ってその位置からではどんな攻撃も届かないと思っている。


それでもまだ動かないレルゲンを見て馬鹿にするように笑い声を上げながら、ゆっくり、ゆっくりとレルゲンへと近づいていく。


レルゲンはまだ目を閉じたまま、感知範囲から必殺の剣が届くまでの距離まで油断して近づいて来るのを待っている。


魔物が間合いに入った瞬間、目を見開いて黒龍の剣を振り上げてから勢いよく振り下ろした。


少しだけオレンジ色を帯びた黒龍の剣から不可視の一撃が放たれ、魔物が一撃で魔石へと還る。


それを見た老人は満足そうに優しく微笑んで残り二体の魔物が討伐されるのを眺めていた。


試練が終わり魔剣・天叢雲剣に巻かれていた包帯を見ると、書かれていた呪言の部分は焼き切れるようにして既に消えており、ピッタリと巻きついていた包帯が一人でに緩んでいた。


老人を見ると、一言「どうぞ」と返すのみ。

少しずつ剥がしていくと、そこには何千年も経過していたとされる剣とは思えないほど白銀の刀身が輝いており、緩やかな曲線を左右に小刻みにうねっていた。


珍しい形の魔剣を握った瞬間。

黒龍の剣ではないにせよ、強烈な重さが剣から伝わってくる。


たが、その剣を持ち上げた瞬間、背後から渋い男の声が聞こえて来た。


「おや、遂に封印を解いてくれたのか。ありがたいねぇ」


「マークス……!」


「やぁ三人共、元気そうで何よりだ。

待っていて正解だったよ。前に挑戦しようとその老人に会ったが門前払いされてしまってね。


結界を破壊するのは容易いが、その魔剣のある場所は死んでも口を割らなさそうな強い信念を持っていたようだから助かった。


さぁ、ではその剣を渡してもらおうか」


「嫌だと言ったら?」


「無理矢理にでも」


レルゲンはすぐに老人と巫女、近くにいるアンツヴェルトに向けて声をかけ警戒を促す。


「前は逃げ帰ったのに今回は正面から現れた。

用心してくれ。奴の雰囲気が変だ」


不敵な表情を浮かべながら天叢雲剣を奪いに現れた世界との契約者との争奪戦が、熱田神宮で繰り広げられようとしていた。

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