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【11万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

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21話 神宮

神田は少し考えてから、重い口を開くように言葉を紡いだ。


「その情報はどこで? ここにある蔵書では天叢雲剣の伝承しか書いてある本は無いはずだ」


「はい。魔剣とは一切書いてありません。

しかしながら、こちらの世界から私達の世界に度々元の記憶を残して転生して来る者もいれば、何らかの事故によって召子のように転移して来る者もおります。


一度私達の世界に来れば分かるでしょう。

確実に異国の文化が流入していますよ。


その点から考えれば、かつてこの世界に魔力がまだあったと仮定し、ヤマタノオロチという魔物を打ち倒した記録があっても不思議はありません。


あれだけの魔物です。こちらの今の技術を持ってしても精々豆鉄砲程度の域を出ない武器を見れば、ヤマタノオロチを倒したのは大昔に魔剣を使ったとしても、という推測が出来る訳です」


「ふむ……そのご慧眼。確かにその通りだ。

私達は貴女という軍師を少し軽んじていたようだね。


分かった。魔剣・天叢雲剣が現在奉納している場所を教える。


この情報は私の左右に控えている二人も知り得ない情報だ。他言は勿論無用で頼みたい」


「私達の仲間を除いて誓わせて頂きます」


神田は頷き、魔剣・天叢雲剣がある場所を伝えると、アンツヴェルトが部屋を後にする直前に小さく「頼んだよ、勇者諸君」と声をかけた。



愛知県名古屋市の上空。

レルゲンと召子、アンツヴェルトは空を飛びながら崖下に広がる瓦礫の山を見ていた。


人はおらず、魔物も東京程ではないが転々と存在していた。


襲いかかって来る魔物のみ片付けながら進み、東京からは数時間で到着。


「本当にこんな場所にヤマタノオロチを倒す魔剣が眠っているのか?」


「話によれば熱田神宮という場所に今も封印されているようだ。まだ君の魔力感知には引っかからないかい?」


「ああ、今のところは周囲の魔物だけだ」


たが、召子は魔力ではなくもっと別の純粋な力を肌で感じていた。


ビリビリと伝わって来るのは魔力ではない第六感が警告を感じ取っているような、そんな不安感。


「レルゲンさん。多分、本当にあると思いますよ、魔剣・天叢雲剣」


「何か感じるのか?」


「はい。鳥肌が立ってきました」


すると、レルゲン達が熱田神宮を上空から目視した瞬間、拒むように紫色の光りで出来た半透明のバリアのような、ドーム状の陣が形成されていく。


急制動をかけて空中で止まり熱田神宮を見下ろすと、下で白装束を着た女性が何人か走っている。


「熱田神宮には通信手段は無い。

私達が魔剣の存在に気づいて奪いに来たと思っているんだろう」


レルゲンは少し困った表情を浮かべながら防御壁のような光りに触れる。

するとバチッと完全に中へ入る事を拒否されるように弾かれた。


勿論この程度の結界なら魔剣に魔力を込めた一撃を放てば破壊は容易い。

しかし、今回は事情を説明して魔剣・天叢雲剣を譲ってもらうのが目的だ。


考える間も無く下に全員で降りて、結界の外で誰か来るまで待っていると、木の影から白装束を来た熱田神宮の関係者と思われる女性が現れた。


「こんな所に何用ですか? 強きお人よ」


「私は異世界から参った。ヤマタノオロチを討伐するためにこの世界へ馳せ参じた者。

どうか中へ入れて頂きたい。話しを聞いてもらえないだろうか」


「……!! そうですか。ではやはり……

少しそこでお待ち下さい。中の者へ伝えて参りますので」


待つ事数時間。境内よりも外にある瓦礫の上に座って待っていると、声を掛けてきた巫女と、白い髭を長く蓄えた老人が品定めをするように、レルゲンの瞳の奥を覗き込む。


「よい。このお方は間違いなく善なる者。入れて差し上げなさい。勇者が参られた」


紫色の防御壁が一部分だけ消えてレルゲン達を向え入れる。


古びた石で出来た階段を登り、門を潜る。

そこは外から見た光景とは全く異なっていた。


荒れた境内。

間違いなくここで一度戦闘が行われた形跡があるとすぐに気づく。


「ここに魔剣が?」


「はい、納められております。

しかし……これは一度目の前で見て頂いた方が早いでしょう」


先程とはまた別の強い結界が張られている蔵のような場所の前で立ち止まると、老人は素早く陣を切るような動作を取って二つ目の結界を解いた。


二重結界を施す程に厳重な護り。

仮にレルゲンが無理矢理結界を破壊しようとしても骨が折れるだろう。


蔵の扉が開いていく。

中には太い縄が上にぶら下げられており、その縄からは白い紙がいくつもぶら下げられている。


そしてその奥には入り口と同様にサイズを小さくした赤い門があり、最奥にある木の箱の上に包帯で巻かれた一振りの剣が置かれていた。


蔵の中にある物全てから微弱ながら魔力を感じる。恐らく中にある物全てにおいて魔剣・天叢雲剣を護っているのだと直感的に分かった。


「これが、伝承にあった武器ですか」


何重にも巻かれた包帯の上には呪いに近い紋様が描かれており、魔剣本来が放っている魔力は全く感じることができない。


「はい。これが伝説の魔剣・天叢雲剣になります。大昔にヤマタノオロチが討伐された際に、尻尾から取り出されたとされる剣です」


レルゲンは自然とその魔剣に手が伸びそうになったが、手がピクッと動いたのを制止した。


老人は少しだけ微笑み、蔵の中へ入る。魔剣を両手で大事そうに持ち一礼すると、振り返って言葉をかける。


「これからあなた方には試練を受けてもらいます。この魔剣を託すに相応しいかどうか、試させて下さい」

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