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【11万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

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20話 天叢雲剣

拠点に帰還してからアンツヴェルトはすぐに情報収集を始める。


ヤマタノオロチの再臨は秘匿性が高い。

闇雲に聞き回る訳にもいかない。

アンツヴェルトはまず自衛隊の上層部に掛け合うべく、宗一郎に話し合いの場を設けるよう頼み込んだ。


そして数日も経たない内に、話し合いの場を設けられる。

アンツヴェルトの手には大量の手書きでヤマタノオロチを記した書類の山が持たれている。


「本日はこのような場を設けて頂き感謝致します。

私はあなた方の言う所の異世界で軍師を務めている。

アンツヴェルト・フォー・リヒテンシュタインと申します。


ここの駐屯地にある書物に記されていた伝承や神話から、ヤマタノオロチの弱点になりうる可能性のあるものと、その実行方法を記した物を用意致しました。


この書類は仲間の使用する魔術ありきにありますので、他言は無用で願います。さて、本題に入りますが」


「ま、待ってくれ」


早口で捲し立てるように話しを始めたアンツヴェルトに待ったをかけたのは、集まった三人の上層部のうちの一人の若めの男性だった。


「何でしょうか?」


「その見た目を差し引いても、君がそちらの世界で優れた軍師であるのはこの異国の地でここまで情報を集めた手腕からも判断できる。


だから認識にズレが生じている。

桜部隊隊長の最上から聞いた所によると、その魔物? であるヤマタノオロチは複数の頭を持ち、東京スカイツリーの地下大空間にある魔力の流れの中心部で力を溜めていると。


どうやら渡されたカメラは現場の判断で破壊し、記録も残っていない。


予想される被害規模は東京のみならず複数の都道府県にまで及ぶのが想定される。


この報告を信じろと言われて簡単に首を縦に触れる者はここにはいない。


私達は国民の命を預かっている。

嘘を吐くような内容でないにせよ、もう少しこちらに情報を開示していただかなければ、協力したくても出来ないのがこちらとしての意見だ」


「心得ております。

魔力を持たないあなた方であればヤマタノオロチを視察しても問題ないでしょう。

近い内に護衛をつけて対応致します。

嫌でも信じる事になるでしょうから」


ここで待ったをかけた男性が引き下がる。

アンツヴェルトをまだ舐めていた。思いもよらないカウンターを受けて押し黙ったのを一瞥して、尚も続ける。


「私達にはヤマタノオロチを倒す他に、世界と契約したマークスと呼ばれる人物を止める必要があります。


間違いなくヤマタノオロチ討伐の際に出張ってくるでしょう。

彼の使う武器は主に銃ですが、その弾丸には常に魔力が籠っている。


こちらの世界には戦車と呼ばれる装甲車を破壊するミサイル弾がありますね?

マークスの弾丸はそのミサイル弾と同様の威力が雨のように振りそぞいてくると認識して下さい。


奴の使う銃の威力が伝わったところで、私達はまずマークスを戦闘不能にする必要があります。


原理の分からない転移を使う為、もう既にここ東京の何処かに潜んでいると考えた方がいい。


ではどうやって奴を炙り出すのか。それは全員が揃ってからヤマタノオロチへと挑むと見せかけたブラフを使います。


奴はこのタイミングで間違いなく出て来ると予想されますが、それまでは騎士レルゲンを警戒して姿を隠しているでしょう。


闇討ちが得意ですから、これから皆さんには夜出歩く際は護衛を最低限付けることを勧めます」


真ん中に座る短い髭を蓄える上層部のトップが一通り話しを聞き終えて、問題の深刻さを認識する。


「視察についてとマークスについては了解した。事態は火急ということも。だから教えて欲しい。


君達はなぜそこまでこの世界について真摯に向き合える?

元の世界で似たような事が度々あったのかね?」


「ヤマタノオロチのような超大型の魔物は今までこちらの世界にも発生したことはありません。


しかし、私達の世界はかつてのあなた方の世界とは違って、そこまで秩序によって統治されていない。戦いは日常なのです。


可能性の域を出ませんが、このヤマタノオロチが解き放たれれば日本どころではなく世界を焼き尽くすでしょう。


それこそ一発で都市や国を焦土にできる武器があれば倒せるかもしれませんが、どちらにしても痛みが伴う選択です。


そしてこれが私の本音になりますが、世界を自由に行き来できるマークスという男がいる以上、この世界を全て破壊し尽くせば、

今度はこちらの世界にまでヤマタノオロチが移動して来るかもしれない。


故にこの世界で食い止めるのが私達にとっても最善策なのです」


「ようやく君の腹の中が少し見えた気がするよ。分かった、協力しよう。視察も結構だ。


すぐに大規模避難訓練と称して一番国土の大きく魔物被害も少ない北海道に全隊で移動。


ここに残るのは私、神田が総責任者として在留すると決定する。

アンツヴェルト君、他に必要なことは?」


少し拍子抜けの表情をするアンツヴェルトは、まだまだ納得させる為の情報を集めて反論の構えを準備していたが、


神田の潔さと決断力があって今の日本が何とか持ち堪えていたのだと考え直した。


「では最後に、ヤマタノオロチを討伐した際に回収したとされる、魔剣・天叢雲剣は今どこに保管しておりますでしょうか?」


歓迎ムードが一変して、口を閉ざす上層部達。


(やはり、まだ何か隠している事があるな)


話し合いはまだ続きそうだと、アンツヴェルトは着ていた服の襟を整え直した。

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