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【11万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

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19話 巣食っていたモノ

「ここが大空間へ続く穴ですか。〈魔力眼〉を使っても今のところ魔物は居なさそうですね」


「そうだな。前来た時は既に反応があったんだが。

サンライトを使って一度降りてみようか」


三人は真っ暗な穴を下りていく。

サンライトをまた壁面に沿わせて配置すると、今度は以前会ったミコトと名乗る少女が初めから光りに照らされて待ち構えていた。


初めて会った時とは違う、落ち着いた口調でレルゲン達に声をかける。


「待ってたわ。東京に降りたのはこれで全員だね。

案内したいところがあるんだ。付いてきて」


二人はレルゲンを見て、どうするのか尋ねるような視線を送る。戦闘になるのか、ただ単に案内したい場所があるのかは不明。


このミコトと名乗る少女が味方なのかも分からない。

だが、レルゲンを真っ直ぐに見つめる少女は悪意ではなく、救いを求めている目に見えた。


「分かった。記録は残させてもらうが、それでもいいなら着いて行こう」


「好きにして」


ウルカが久しぶりに元の人型に戻りカメラを構える。何度か分かれ道があったがしばらく後を歩いて行くと、凄まじい魔力のうねりが渦巻く空間に出た。


ここは間違いなく地脈の集合地帯、レルゲンがこの世界に来た時に感じていたプレッシャーそのものがそこにはあった。


「ここは……地脈の集合地帯か?」


「そう。レルゲン君達をここに案内したかったの」


「お前、まだ俺は名乗ってないぞ。

それにここにはもっとデカい地脈以外の魔力の塊がある」


「ごめんね。騙すつもりはなかったんだけど、あれを見て」


言われるがままミコトが指した場所を見る。

ここは地下だ。なのに更に深く深く下が見えないほど広がっている穴の先に、


紫色に光る大結晶を取り囲むように、トグロを巻いている蛇のような魔物が鎮座していた。


(プレッシャーの中心点はアイツか)


「アレはまだ力を溜める為に眠っているの。

今攻撃して起こしても、きっと三人じゃ勝てない。それだけ強い魔物、というより神そのものになろうとしてる」


「神とは何だ? こっちの世界にもいる唯一神のようなものか?」


ミコトは首を横に振って否定する。


「善の神とはまた違うの。アレは邪神に進化しようとしてる魔物、ヤマタノオロチ。


大昔、まだ世界に魔力が溢れていた頃に現れた超大型の魔物。

ここまで通ってきた穴は全てあのヤマタノオロチが通った跡なの」


全員の言葉が詰まる。

そんな巨大な魔物、以前テクトが用意した七段階目の魔物工場、モンストルム・ファブリカを遥かに超える規模だ。


そんな魔物が、再び復活しようと地脈の中心点に渦巻くようにして眠っている。

こんな事態が外に漏れたら人々はパニックを間違いなく引き起こす。途方も無い話しに信じないものも多いかも知れない。


レルゲンもまた、自分の目で見なければ信じなかったかもしれない。


日本ではない世界の軍事施設から一斉に攻撃が始まってくる可能性すらある。


「ウルカ。撮ってるか?」


「うん。あの魔物? もバッチリ」


「貸してくれ」


「はい。ってえぇ! 何するのさレル君!

私の仕事なのにー!」


念動魔術で押し潰すように力を加え、捻られたカメラは一瞬で鉄屑と化す。


「これを記録に残すのは危険過ぎる。

もし外部になんて漏れたら間違いなくここへ集中攻撃が始まるぞ。それだけは避けなければならない」


頬を膨らませながらプンスカと怒っているウルカはさておき、記録を残さないという点については全員が賛成だった。


もしヤマタノオロチを討伐するとなれば確実に仲間の力が必要になる。


日本全土を巻き込んだ、言ってしまえばボスレイド戦だ。ヤマタノオロチがかつて討伐された記録があるなら、情報を先に集める必要もある。


「ミコト」


「何? 流石の貴方でもアレはやっぱり怖い?」


「怖くないと言えば嘘になる。それに、あんな魔物が地上に出たら俺達では無くこの世界の人達が全て殺される。


それだけじゃない、もうここは……この国全てが戦場になってしまう。俺はそっちの方が怖いよ」


「そう、ならこの世界は諦めて元の世界に帰る? 

私なら異界の門を開けられるよ」


レルゲンは不思議な気持ちになった。

この少女は助けを求めに来たのではないのか?

なのにレルゲン達を気遣っている矛盾。


仮に元の世界に帰ったとして、世界と契約したマークスはどう出てくる?


最悪なのはマークスが世界と契約した目的が自身の延命と引き換えに、この世界を混沌と共に沈めるのが目的だとしたら?


レルゲンに復讐を果たそうとしているマークスは、ヤマタノオロチを使ってこちらの世界にまで侵略を始めるかも知れない。


絶対に避けねばならないシナリオが頭をよぎる。


ここで、この日本で絶対に倒さねばならない。

レルゲンの心に火が灯った。


下で眠っていた筈のヤマタノオロチの瞼がピクリと動いたのを感じ取り、すぐに高まった心念を抑えると、再び規則的な呼吸へと戻っていった。


今の一瞬のやり取りで分かったことが一つ。

ヤマタノオロチは心念に反応する。


つまり、散り散りになった全員の心念が合わされば、フルパワーまでチャージされない内に無理矢理起こす事もできるかも知れない。


「門は開けなくていい。俺が、俺達がアイツを、ヤマタノオロチを討伐する。だから教えてくれ。

アイツは後どれくらいで力を溜め終わる?」


「そうね。正確には分からないけど、どんなに早く見積もっても一ヵ月はあのままのはず。

だからその間に仲間を集めて」


頷いて、ヤマタノオロチが眠っている超巨大空間を後にする。


「戻ろう。仲間集めとヤマタノオロチの情報収集を最優先に動く。知ってたらでいいが、俺達の仲間の場所は分かるか?」


「待って、今地脈に聞いてみる」


ミコトが地面に手を触れて集中すること数秒。

立ち上がって振り返り、少し申し訳なさそうに口を開いた。


「京都、大阪辺りに魔力が固まってる。魔物とは違う種類だから間違いないと思う。

ここから四百キロくらい離れた場所にいるわ」


「召子。宗一郎さんに話しをして欲しい。

これは俺ではなく、君からの言葉の方が信じてもらえるはずだ」


「分かりました。任せて下さい」


召子は、「お父さん、倒れないかな……」と少し心配そうに独り言を呟いていた。


「アンツヴェルト。情報集めを」


「言われなくても承知している。

あんな化け物がこの世界だけで収まるとは思えん。こっちの世界にまで来られても面倒だ。任せたまえ」


レルゲン達はヤマタノオロチの討伐と、世界と契約したマークスの二つの問題を解決しなければならない。


この世界の安寧は、文字通りレルゲン達の双肩に委ねられた。

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