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【11万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

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14話 三つ目の降下地点

大阪の遥か上空。

マリー、クラリス、レイノールは空中に放り出されてから、すぐに空中浮遊をして辺りを見回して魔力感知を展開する。


濃い魔力は中央に近い環境に近く、星は見たことの無い配列をしている。


眼前には濃い雲が広がり、高い湿度は粘ついた風を感じることが出来るが、魔力感知にはまだ引っ掛かる魔物はいなかった。


恐らく下は雨が降っているのだろう。

三人はお互いを見合って降りるかどうか目配せをしたが、レイノールが転生武器のフラガラルクに魔力を込めて雨雲を吹き飛ばそうと振りかぶる。


だが、すぐに二人に止められて動きを止めた。


「なんだよ? この雲が邪魔じゃねぇのか?」


「来て早々そんなに魔力を上げた攻撃したら何があるかわからないわ。

雲の切れ目があればそこから降りればいいし、無ければもう仕方ないわ」


「ええ。悪目立ちするにはまだ早いかと」


「オーケー分かった。それじゃ降りる場所でも探しますかね」


星や月明かりを頼りに少しの間飛び回り雨雲の切れ目を探したが、どうやらどこにもそんな都合の良い場所はない。


仕方なく雨雲をそのまま突っ切って降りると全身がすぐにびしょびしょに濡れていく。


冷たい雨は三人の体温を少しずつ奪っていくが、魔力運用により体温の低下を軽減しながら降りて行く。


幸い雷を伴う雲ではなく、ただ多くの雨が身体に打ち付けるように降っていただけだった。



その頃、日本国対妖魔・第弐自衛隊大阪支部の管制官の一人が巨大な妖力反応が三つ、大阪城の上空に現れたとレーダー越しに発見する。


自動的に緊急速報が館内に流れ、職員達が足早に持ち場に着いた。


司令官の男が状況を確認するために声を発し、更に現場の緊張感が高まっていく。


「状況を説明しろ」


「現在、大阪城上空に未確認の妖力反応が三つ。雨雲の上を移動中。危険度はAプラス。

間違いなく災害級です」


「降下地点の割り出しは?」


「上空で少しずつ動いてはいますが、おおよそ大阪城付近で間違いないかと」


「すぐに大阪支部の半分を向かわせろ」


「は、半分ですか!?

となると千五百人、百の部隊を向かわせる事になりますが……」


「そうだ、待機人員もいつでも行けるように準備させろ。これは大阪の存続をかける危機だ。

早急に対処させろ」


「りょ、了解致しました」


すぐに館内アナウンスが流れ、廊下を走る隊員が増えて行く。


部隊長の一人である鎌田は慌ただしく準備に奔走する隊員達に、緊張感のある声色で指示を飛ばす。


「さっさと準備しろ! モタモタするな!

今回は今までの妖魔じゃない。支部の危機をかけた強力な個体だ。


祈りを済ませたらさっさと持ち場に着け!」


大阪城は支部から目と鼻の先。

すぐに展開の陣を組んでいき、光の線が雲の上を照らすように暗闇を消して標的を探すが、降りてくる影は小さな人型だった。



雨に濡れながら降りて行くこと数十秒。

三人は強い光に当てられていた。


「うわっ! 何だ?」


「光属性の攻撃?」


「確かに眩しいですが、これはただの夜払いかと……! そのまま降りましょう」


地面に降り立つとアサルトライフルを持った人間達が隊列を組んで待ち構えていた。


「どうやら人型のようだが、惑わされるな! 撃ち方構えー!! 撃て!」


号令と共に弾幕が襲いかかる。

クラリスは手を前にかざして、二人に小さな声で集まるように促す。


オレンジ色の半透明で出来た盾が取り囲むように展開すると、銃弾は全て空中で止まるように速度を落として行き、足元にバラバラと散らばっていく。


十秒程撃ち込まれてから射撃を止めるよう合図がかかり、鼓膜が破れんばかりに響いた轟音が止まる。


「何だと?」


心念の盾が消え、転がった銃弾が靴の爪先に当たる。


「あのー?」


「言葉を話すか! しゃ、射撃用意!!」


「はぁ……少しは話しを聞いて欲しいのだけど」


マリーが半ば呆れたような口調で魔力を解放し、下位の風魔法を唱えた。


「ウィンドカット」


風の刃が銃身部分に発生し、部隊が構えたアサルトライフルを全て真っ二つにする。


斬られた銃が地面に落ちた瞬間、部隊長が一言


「妖術も使えるのか……やはりこれでは我々に勝ち目は……」


「そろそろ話しを聞いてもらえるかしら?」


部隊長は滲んだ冷や汗を拭いながら、瓦礫に隠れていた身を乗り出した。


「わ、分かった。敵対の意思が無いのなら話し合いに応じる。だが少しでも妙な動きをした時は」


「はいはい。分かったから案内して頂戴」


部隊の中を割って進むように三人が移動する。

レイノールに至っては小声でマリーに


(斬っちまわなくていいのか?)


と物騒な確認をするが、戦いしか頭にないカリストルの将軍に頭を抱えつつ


(今ここで彼らを一人でも傷つければそれこそ戦争よ。私達は彼らを助けに、召子がいる世界の人達を助けに来たんだから。それを忘れないで)


と釘を刺したのだった。

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