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【10万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第六部 妖魔大戦編

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5話 合流

「助けてくれてありがとう。君の名前は?」


「レルゲン・シュトーゲンです」


「ふむ、レルゲン君か。これからよろしく。

初対面でみっともない姿を見せてしまったね」


「いえ、召子はこっちにきても家族や友人に会いたいと言っていましたから、ご両親でしたら尚更です」


「そうか。改めて礼を言わせてくれ。

あの妖魔を倒せなければ今頃私はここで娘に会えずに死んでいただろう。本当にありがとう」


レルゲンの手を強く握り締めると、再び何度も持っている剣を振り続けた証である豆を感じ取る。


召子もそうだったが、このレルゲンという青年はそれ以上に剣が日常の一部になっていると分かる程に、硬い手をしていた。


「それにしても、あの妖魔を一撃で倒してしまうとは、君は一体……?」


「では改めて自己紹介を、私は中央王国所属の騎士団で副団長を勤めています。

貴方の娘さんである召子とは、今から一年ほど前に知り合い、苦楽を共に過ごしました。


信じられないかも知れませんが、私は貴方の世界で言うところの異世界。つまり別の世界から助けに参った者です」


「ま、待ってくれ。何か特別なのはさっきの君の力を見れば理解できる。


だが、異世界が本当に存在し、そこからわざわざこちらの世界にまで渡ってきたということなのか?


つまり、召子もまた異世界に飛ばされたというのかい?」


「そうだよ、お父さん。

私は急にこのレルゲンさん達の世界へ召喚されて魔王や天使、国の戦争やらで大変だったの!」


「ええい! 待て待て!魔王に天使、そして戦争!?

もう何が何だか分からんぞ」


頭が痛いと額を押える宗一郎を介抱しながら、倒したアビス・アイビスの魔石を回収して、レルゲンは二人の後について行くが、宗一郎はまず亡くなった貝塚の下へ足を運んだ。


「レルゲン君。特別な力を持つ君だ。

この男性の意識を戻すことはできるかい?」


フロストジャベリンに胸を貫かれ、完全に心臓と肺が破壊されている。

手術で綺麗な状態まで戻すことは出来ても、死者の蘇生は出来ない。


「重症であれば何とかは出来ます。

しかし、この方はもう……」


「分かった。せめて遺体だけは持って帰りたい。この氷の槍を引く抜くのを手伝ってくれ」


レルゲンは念動魔術で氷の槍を引き抜き、貝塚を解放する。


すぐに出血箇所を魔力糸で縫合しこれ以上の出血を止めると、宗一郎は驚きながらも安心した表情で貝塚を担ぎ上げた。


「遺体でしたら私が魔術で運びます。少し休まれては?」


「いや、いいんだ。それよりも止血をありがとう。これでコイツもきっと、安らかに逝ける」


歩き出した宗一郎を護衛する形で三人はついて行き、他の仲間の下へと歩みを進める。


烏間の足が半分吹き飛ばされて尚凍っているため、思いの外早く桜部隊の仲間へ追いついた。


大声で先行していた仲間に宗一郎が声をかけると、まるで幽霊でも見たような青ざめた表情で向かい入れる。

しかし、何故か人が増えている事に疑問を感じているようで、重症の烏間が声をかけた。


「隊長! 生きてましたか! よくぞご無事で!!

それで、そちらの方々は?」


「馬鹿野郎。勝手に殺すな。

俺を助けてくれたレルゲン君と、娘の召子。

それに……」


「アンツヴェルトだ」


今の所父と娘の再会で完全に空気扱いになっていた天才軍師は、一言だけ自ら名乗った。


「へぇ……娘の召子さ、ん?? えっ??」


「さっき帰って来たんだよ。こっちの世界に」


「こっちの世界? またまた隊長。

命の危険から生き延びたって、そんなアニメやゲームじゃないんだから」


バツの悪そうな表情を浮かべる宗一郎に、烏間は笑っていた表情が固まる。


「マジですか?」


「大マジだ。そもそも妖魔の存在自体がありえない超常現象だろ」


「いや、それはそうですけど……」


二人が談笑を始めたのを見ながら、レルゲンは烏間が重症だと気づく。


すぐに駆け寄り状態を確かめるが、やはり血流が脚の部分だけ止まっている。

状態が長く続けば壊死する恐れがある。


すぐに治療が必要だと判断し、予めクラリスから持たされていた二本のフルポーションの内の一本の栓を躊躇いなく抜いた。


ここで今まで黙っていたアンツヴェルトが口を開いた。


「レルゲン。その男は魔力を持たない市民に近い。そこまでしなくても、君なら命を繋げることは出来るはずだ。


取っておく方が後々役に立つと思うよ」


「ここから拠点まではどれくらいありますか」


宗一郎が問いに答える。


「大体丸一日くらいだな」


「方角は分かりますか?」


「あぁ、問題ない」


レルゲンは少し考えてから、烏間に向けて声を掛けた。


「凍っている足を一度溶かすから痛みは出るが一時我慢すればすぐに治してやれる。


後どれくらい保つ?

強がりは無しで正直に答えてくれ」


「後数時間なら問題ない。

ぶっちゃけ俺はもう助からないと思ったから切り出してくれて助かるわ」


嘘は無い。

本当に正直に話したこの男を、レルゲンは助けたかった。


「烏間、お前……」


「良いんですよ、隊長。

本当に彼の言った通り治るんならありがたいですけど、そんな簡単に行かないのは分かってますから」


歩く速度で一日なら飛んでいけば数時間もかからない。問題は空をテリトリーにしている魔物だが、召子もいる。


レルゲンは一度抜いた栓を再び閉め、烏間を宙に浮かせた。

周りからは響めきが聞こえたが、次第に全員が空中に浮いていく。


「これから拠点まで飛んで向かう。最上さんには道案内を頼みたい」


「分かった。ここから真っ直ぐ、あの薄らと光が見える所が拠点だ」


「それならば一時間も掛からずに到着します。

皆さん。舌を噛まないように気をつけて」


レルゲンが少しずつ速度を上げ、出来るだけ魔物に見つからないように低空で飛んでいく。

彼らの拠点は、もうすぐだ。

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