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24話 翼を奪い取る弊害

「お前達、そこをどいてもらおう」


マリーに向けられた指を塞ぐ様にレルゲン達が立ち、ギリエルの行手を阻む。


「なるほど、それが答えか」


「どうやら敵の狙いはマリーのようだ。だから俺達でマリーを護りながら戦おう」


マリー自身は少し不満気にレルゲンに言い返し、自分を囮に戦いを組み立てるように提案する。


「私は護られながら戦いたくないわ。こんなにこっちは人数だって多いし、私だってただのお荷物じゃない。アイツに言われたままなくらいなら私が囮になる」


「気持ちは分かるが落ち着いてくれ。まだあの天使の力は未知数だ。

恐らく上の層で召子とメアリーが戦った天使よりも強いだろう。


翼の見た目は十枚もないが、ミカエラ様の言っていたように翼を束ねていると考えた方がいい」


「…分かった。でも行けそうなら突っ込むから」


「ああ」


ギリエルは小声で作戦会議をしているのを欠伸をしながら余裕たっぷりで待っており、


意識が自分に向いたと感じてから翼で出来た剣を構え直した。


「作戦会議は終わったか?」


「どうやら待たせてしまったようだが、お前の情緒の高低には風邪を引きそうになるな」


レルゲンはミカエラに振り返って苦笑いしながら確認する。


「複数枚の翼持ちは皆ああなのですか?」


「翼には元々の所持者が持っている感情が少しですが移っています。


奪った翼の枚数が多ければ多い程、自分の人格が汚染されていっても不思議はありません」


ミカエラは悲しそうな顔をしながら答えたが、

それを聞いたギリエルはまたも怒りの感情を発露する。


「私は…!いや俺が!そんな翼如きに支配されてたまるか!どいつもこいつも馬鹿にしやがって!」


魔力を体外に吹かしながら翼で出来た剣に魔力を通してはいるが、見るからに剣に込められている量よりも無駄に消費されている分が多い。


しかし、その莫大な魔力量でカバーされた攻撃方法はレルゲン達にとって脅威になるレベルまで高められていた。


「来るぞ!」


ギリエルが翼を羽ばたかせて速度をプラスし、レルゲン達に向かって突進する。


「マルチ・フロストジャベリン!」


セレスティアが神杖を前に掲げて氷の上位魔術を発射するが、翼を折りたたんで身体を回転させながら氷の槍を躱す。


しかし、突進先が変更されたギリエルは、小さく舌打ちをしながらそのままレルゲンに向かって突っ込んでいく。


念動魔術で炎剣と氷華をクロスさせて前方に持って行き、ギリエルの勢いを吸収する。

それでも止まらないギリエルの攻撃を黒龍の剣で受ける。


大きく衝撃音が響くと同時に火花が散り、レルゲンが砂を巻き上げながら後方に押し込まれていく。


(重い…!)


予想よりも高い威力をキープして突っ込んでくるギリエルの攻撃に対し、足に通す魔力量を次第に上げて行き勢いを殺す。


「今の一撃を受け止めるか」


ギリエルは若干の驚きを感じながらもレルゲンを賞賛したが、呼びかけに応じることはなく上方に切り上げる。


「オオオオォォ!」


気合いの込められた腕からも魔力が溢れギリエルを引き離し、大きく翼を広げてギリエルもまた上空で滞空してレルゲン達を見下ろす。


「どうした?お前も早く上がってこい」


誘われるようにレルゲンがギリエルの高さまで上がっていくと、冷静に魔力を分析してセレスティアの隠蔽魔術を見破った。


「お前、本当に天使か?

その使っている剣もそうだが、翼に全く魔力が込められていない_というより魔力が巡っている様子が無いな。


何か魔力で固定しているなら分からなくもないが、それは戦いに邪魔だろう?貰ってやろうか?」


「セレス!」


レルゲンが下で戦況を見つめているセレスティアに声をかけ、隠蔽の複合魔術を解除する。


「やはりな。その翼は隠蔽魔術か。

こんな所に何の用だ?人間」


「お前達のボスを倒しにきた」


「お前が?セルフィラ様を?

ハッ、ハーハッハッハ!面白い冗談だ!


人間が天使に、それもセルフィラ様に勝てる訳が無いだろう!


いや、ここまで来るということは検問は抜けているはず。あながち只の人間というのも失礼な話か?


いやいや、そもそも人間がセルフィラ様を倒すと言う方が不敬とも言える」


一人でぶつぶつと話しながらレルゲンを見るギリエルは、少しずつ魔力を高めて行きながらレルゲンに向かって宣言する。


「初めは下にいる女、そして不敬なお前。

翼を奪ってやろうと思ったが、そんなお前達から翼をもいでやっても不敬が移り俺達天使が穢れそうだ。


だからお前達は一人残らずここで殺す。

セルフィラ様の下へと行かせるわけにはいかないな」


「お前の許可は別に要らない。ここで倒して俺たちは次に進ませてもらう」


「やってみるがいい」


再び両者がぶつかり、発生する衝撃派が下にいるメンバーの肌を叩いた。

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