10話 二度目のレベルアップボーナスと進化
イビル・ラプトルを討伐したレルゲン達は街を後にしようとしたが
召子とフェンが同時にレベル200を達成してレベルアップボーナスの選択画面が表示されていた。
召子が興奮気味に画面を見ながら
「出ましたねレベルアップボーナス!
フェン君も同時に!フェン君は…
おっ!また進化項目があるね!でも進化先が分岐してる…どうしよっか?」
召子がフェンを見ながら問いかけると
「クゥン?」
話しかけている内容が分からないようで、フェンは聞き返すような声を上げていた。
「先にフェン君の進化先を決めたいと思います!レルゲン先生、ご意見をお願いします」
「進化先は、前肢全体の強化と、巨大化か。召子は今のフェンの強みはなんだと思う?」
「やっぱり一番は速度面で他の魔物よりも速い所ですかね」
召子の答えにレルゲンも頷いて肯定する。
「そうだな。俺もフェンの強みは速度がとにかく出せる事だと思う。
仮に巨大化を選んだとして、室内戦闘の時には結局小さくなって戦う必要が出て来る可能性がある」
「つまり、これ以上の巨大化はあまり意味が無いかもしれないって事ですね」
「そうだ。前肢全体の強化なら今の大きさで速度を殺さずに戦える幅がきっと増えて来る。
さっきのイビル・ラプトルに与えた目潰し攻撃が強くなるイメージかな」
「なるほど…フェン君は大きくなるのと、前肢が強くなるの、どっちがいい?」
「クゥン、ワンワン!」
「フェン君も前肢でいいよって言ってますね」
「〈動物との会話〉か?」
「はい。今まではそこまで会話する機会が無かったので、断片的にしか伝わってこないことが多かったですけど
レベルが上がって理解できる言葉が増えてるみたいです」
「そうか、フェンもそれでいいと言っているなら、進化先は決まったな」
「はい。前肢全体の強化にします」
召子が進化ボタンを押すと一度目の進化と同様の変化がフェンに起こり始め
前足全体の筋肉が強化され、鉤爪が今までよりもかなり巨大になっている。
フェンは自身に起きた変化に若干戸惑いながらも、自分に起きた変化に慣れようと辺りを走り回る。
前足の強化で地面を蹴る力も強化された為か、更に速度が増しているようにも感じられた。
「フェン君凄い!本当にお話に出て来るような狼みたいになってきたね!」
フェンは召子に応えるように、遠吠えをして気分が良くなっているようにも見えた。
「さて、じゃあ次は私のレベルアップボーナスを見ようかな。
前回は〈能力上昇率UP〉を取ったから、今回もそれに近いものがいいよね…
あれ?私の能力値の数字が、なんか変です」
「どう変なんだ?」
「なんか全部同じ数字になっているんです。ほら」
レルゲンが召子のステータス画面を除くと、全ての能力値が1000と表示されており点滅しつつMAXとも表示されている。
「これ、多分これ以上は上がらないと思うぞ」
「えぇ?!それは困ります。〈能力上昇率UP〉を取ったからかな。どうしましょう…?」
「レベルは上がっても能力値が上がらないのはかなり勿体無いしな。〈能力上限突破〉がされていて尚上限に到達しているなら
また増えたポイントを全部使うくらいの消費量にはなるが、この〈能力上限突破の解放〉を選んだらどうだろうか?」
「一度押してみますね。ふむふむ、能力上限が1000から3000に増えるようですね!
取得しないとレベルが上がってもあまり強くなれないなら、これにしようと思います。
本当ならもっと自分で考えてやった方がいいと思うのですが、この手のゲームは全くやったことがなくて…」
「ゲーム?試合のことか?」
「いえ、なんでもありません。
とりあえずレルゲンさんのご意見を毎回頼ってばかりで申し訳ないですが
今回は〈能力上限突破の解放〉にしようと思います」
「ちゃんと納得できているならいいと思うよ」
「はい、これでまたお役に立てる機会が増えて来るかと!」
ボタンを押してスキルを取得すると、上限突破だけの筈が一律で能力値が1500付近まで上昇している。
召子やレルゲンでもこの変化は分からないようで一旦は幸運だったと飲み込んで
レベルアップボーナスの取得は終了するのだった。