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29話 空中都市の防衛ライン

フィルメルクの海上に出たレルゲン達。

そろそろメテオラが目視で見えてきてもおかしくない筈なのだが、未だにメテオラの姿は見えてこない。


海上に出る前にフェンの休憩がてら一度休みを入れているので、そろそろ見え始めても良い頃合いだ。


雲が出てきた。レルゲン達はメテオラを目視するために雲の上を目指して更に高度を上げてゆく。


雲を抜けると、不自然に雲の上に影になっている箇所があった。


「おっ、遂にご対面だ」


影より更に上空に、岩と土の集合物のような、そこだけ大地を切り取ったような不自然な形の浮遊物が見て取れた。


「あれがメテオラか」


「結構早かったわね!半日で行ける所じゃないけど、この分ならすぐに着けそう!」


マリーがはしゃいでいるのを脇目にレルゲンが更に高度を上げてメテオラを目指してゆく。


一方でメテオラでは、緊急警報がけたたましく鳴り響いていた。


「緊急警報、緊急警報、付近の上空に巨大な魔力反応あり。職員はすぐに防衛体制に入られよ」


「こんな平和な時に六段階目級の魔力反応が複数とはついてない!すぐに防衛体制を取る準備をしなくては」


管制室に鳴り響く警報は依然として止まる気配がない。メテオラではこうして付近の空に魔物の反応があると迎撃する時がしばしばある。


しかし今回は六段階目級の最高警報だ。


こうなればメテオラを目指して飛んでくる飛行船は止まり


最悪の場合はメテオラの浮遊魔石に傷が着いてしまい、機能不全を起こして墜落してしまう可能性があった。


「グリフォン隊、出撃します!」


メテオラ最大の迎撃方法で、グリフォンを使った魔術師達が一斉に魔術を放つ事で追い払う方法を取ることが稀にある。


グリフォンに跨った魔術師達は一斉に詠唱を開始し始めて、雲の上を悠々と飛んでいる六段階目の魔物


クラウドホルスを牽制しようとしている。


一方で魔力感知と目視でメテオラ周辺で戦いが始まっていることに気づいたレルゲン達も、全員が武装して向かっていた。


「レルゲン!あの魔物と戦うんでしょ?」


マリーが神剣を構えつつレルゲンに尋ねる。


「ああ、あれは六段階目のクラウドホルスだ。

メテオラの自衛機構も対処しているようだが


少し荷が重い。俺たちがやった方が安全な筈だ」


「なら、戦闘になったら私の分の念動魔術は解除していいわよ」


「自分で飛ぶのか?」


「ええ!そろそろ自由に飛べるようになった事、見せてあげる!」


「分かった、近接は任せた!セレスはまた遠距離から援護を頼む」


「分かりました。全員分のバフを展開しますので、少しお待ち下さい」


「こんな雲の上にも魔物っているんですねぇ」


ミリィが初めて見たと素直に反応していると、ディシアが補足情報を教えてくれた。


「もっと遥か上空にある宇宙から飛来した魔物も過去にはいた記録がありますよ」


「はえぇ、宇宙にも魔物っているんですね」


セレスティアがバフを無詠唱で全員分かけ終わると、一気に魔物との距離を詰めてゆくレルゲン達。


「まずは魔術で牽制して注意を引く!その後はマリーと召子で前衛を頼みたい!」


二人がいつでも行けるとばかりに返事をする。


「「了解!」」


「セレス、準備はいいか?」


「はい、レルゲンも一緒に!」


レルゲンは火の上位魔術を、セレスティアは氷のオリジナル魔術を準備する。


「ブルーフレイム・アローズ」


「マルチ・フロストジャベリン」


グリフォン隊に当たらないように正確に放たれた魔術は、クラウドホルスの体を掠めてゆく。


すぐにグリフォン隊のリーダーが大回りしてレルゲン達の方へやってきた。


「助力感謝する!君達は空を飛べるのか、心強いな」


「あれは六段階目だろう?」


「ああ、我々だけでは荷が重い」


「後は俺達で討伐するから、あんたはグリフォン達が前に出過ぎないように指示を出して欲しい」


「了解した!」


ピーっと笛を吹き、注目したグリフォン隊のメンバーがリーダーの出したハンドサインを確認して後退してゆく。


後退したのを確認してマリーとフェンを降りた召子が突っ込んでゆき、レルゲンとセレスは魔術による補助を行う。


特に後ろに流れてくることもなく、安定した前衛二人の攻防によってクラウドホルスは討伐され


還った魔石に魔力糸を瞬時に飛ばして確保したマリーと召子が戻ってくる。


「お疲れ様、いつの間にあんなに飛べるようになっていたんだ?」


「ふふん、これは風の魔術を併用して念動魔術の飛行を補助しているの!今なら空中で踊りだって出来るわ」


「なるほど、風の魔術を飛行に応用か。今度俺も試してみるか。


召子もお疲れ様。やっぱり成長が早いな。もう六段階目でも全然物怖じしなくなってたな」


「はい。皆さんがいると安心して戦えるので、いつも通りの戦いが出来ます」


レルゲンが頷き、グリフォン隊のリーダーに声をかけに行く。


少し話していると、ぜひメテオラでおもてなしを受けて欲しいと言われ、そのままメテオラに行く事になる。


責任者室にレルゲン達は通されると、銀髪を三つ編みにしている女性が後ろを向いて待っていた。振り返り、自己紹介をする。


「私は空中都市メテオラの責任者であるスカイです。


今回はあなた方の助力のお陰もあって無事に六段階目を退けられました。感謝申し上げます」


「あぁ、偶然ここに観光に来ていたんだが、丁度良かったよ」


「メテオラには観光でいらしたのですね。ここの観光客は飛行船でいらっしゃるので


空を飛んで直接来られたのは今までの歴史上でもいなかったかもしれません」


少し苦笑いをするスカイだが、すぐに表情を戻して


「ようこそメテオラへ!ごゆっくりお楽しみください」


と笑顔でレルゲン達を歓迎してくれるのだった。


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